今もバカだが昔はもっとバカだった。
マカロニサラダやポテトサラダを「サラダ」だと信じていた。
「サラダ」=「野菜」=「身体に良い」。
大バカ三段論法である。味付けや製造過程で野菜的健康エキスがたっぷり含まれているのだろうと勝手に解釈していた。
私にとって切ない闇歴史である。
野菜のことを指すと思っていた「サラダ」は、もともと塩で漬ける料理の総称らしい。世の中の大半の料理がいわばサラダである。
現実を突きつけられた今でもマカロニサラダが大好きである。淡水化物の塊だろうが気にせず食べてしまう。
マカロニサラダは大衆酒場の王道メニューである。高級路線の店では見かけない。残念なことだが、高級路線の店だと余計な野菜をゴチャゴチャ入れてマズい逸品に仕上げそうだから仕方がない。
富豪などと自称しながら大衆酒場ファンである私にとって、ホッピーを飲みながら突っつくマカロニサラダは神である。
純粋にマカロニサラダが食べたいという一念だけでその手の飲み屋に出かけることもしょっちゅうだ。
マカロニといっても、ショートパスタなら何でもOKである。ペンネだろうとネジみたいなやつでもウマい。
炭水化物とマヨネーズで作られているくせに、サラダという爽やか路線を狙ったネーミングがニクい。正体はあくまで「パスタマヨネーズ」だ。
異様なほど体型補正が可能な矯正下着を愛用する女性のようである。それはそれでイジらしい。
さて、大衆酒場のマカロニサラダの嬉しい点は「余計な野菜が少ないこと」である。例外はあるが、安くするために具材をケチっているのだろう。
本来なら哀しく情けない事態なのだが、マカロニサラダの場合、ゴテゴテと余計な野菜が入っていたら興ざめだ。どんどんケチってほしい。
ハムは大歓迎だが、キュウリは薄~い状態のがチラッと顔を見せる程度で充分、あとは薄~いタマネギスライスが少しだけ入っていれば他には何もいらない。キャベツも不要だ。
いや、本音を言えば野菜など一切入れずにマカロニと少しのハムだけで作って欲しいぐらいだ。
ニンジンやパプリカなんかが混ざっていると殺意を感じる。上にパセリを載っけるのも法律で禁止して欲しい。
作り手は色合いのためや貧乏くささを隠すためにオレンジ色や緑色を投入したがる。でも、マカロニサラダは貧乏くさいぐらいがベストだ。
ヒドいのになるとリンゴのカケラが混ざっていることがある。私に言わせれば愚の骨頂である。
リンゴは果物である。デザートでありスイーツである。大衆酒場には場違いだ。ホッピーの相棒として「黒コショウ&マヨ風味」を楽しみたいのにリンゴが登場すると台無しになる。
パイナップルチャーハンや冷麺に入っているリンゴ、ひやむぎに浮かんでいるサクランボなんかと同罪だと思う。
食べ物に果物をそのまま混ぜるヘンテコな行為を一体どのぐらいの人が喜んでいるのか昔から不思議で仕方がない。
この画像は、巣鴨のディープな大衆酒場で出されるカレー味の逸品である。食べ物に関しては創作系が苦手で、古典的かつ王道の味付けが好きなのだが、この店の邪道系?マカロニサラダは素直にウマい。
マカロニの他に余計なモノがほとんど入っていないのが嬉しい。ピリ辛で黒ホッピーの友として抜群である。
たかがマカロニサラダでやたらと熱く語ってしまったが、私にとっては「されどマカロニサラダ」である。
最近、考えているのがマカロニサラダの呼び方である。盟友?であるポテトサラダには「ポテサラ」というスッキリした愛称があるのにマカロニサラダはそのままである。
マカサラ、ロニサラ。なんかシックリこない。でも「マカロニサラダ」と全音を発声するのもどうにも収まりが悪い。語呂も悪いし。
黒ホッピーは「黒」、おかわりの焼酎は「中」の一言で通用するのが大衆酒場である。だったらマカロニサラダにも気の利いたニックネームをつけてやりたい。
マカロニだから「ロニー」なんかどうだろう。ちょっとイケてる。
どことなくイタリア系アメリカ人のギャングみたいで素敵だ。ちょっとシャレた響きである。
「ロニー、もらえるかな」。うん、なかなか渋い。
店の人に言っても間違いなく伝わらないから、心の中で「ロニー!」と叫びながら食べようと思う。
2 件のコメント:
富豪記者殿
マカロニサラダ、小生も大好きです。ちなみにゆで卵が入っているのが最も好きです。
ナポリタン同様に西洋料理全般にニュートラルな日本でこそ生まれえた傑作パスタ料理だと思います。
そして、ロニー!良いですねえ、そのネーミング。通じなくてもこんど酒場でその名前で注文してみようかって思わせる良い響きですね
道草人生サマ
そうですね。ナポリタンに通じる日本人のセンスを感じますね。
下手なイタリアンで意味不明なパスタを食べるなら大衆酒場でロニーです!
コメントを投稿