2017年10月23日月曜日

男のカカト


靴好きにとって靴磨きは楽しい作業である。。。はずだ。私自身、磨き始めると飽きずにゴシゴシスリスリしている。

しかしそれも2,3足ならばという前提が付く。それ以上になると苦痛であり苦行である。

寒くなったら履きたくなるショートブーツを今のうちに磨き上げておこうと思ったのだが、どうにも億劫で気分が乗らない。

そんなわけで、靴磨きという私の精神性を支える?大事な作業を初めて人様に頼んでみた。言うなれば堕落である。

都内各地にある靴やカバンのメンテナンスショップ「靴専科」が自宅から割と近くにあったので持ち込んでみた。


こんな感じになって戻ってきた。当たり前と言えば当たり前だが、目からウロコである。ピッカピカだ。

大事な靴は自分で磨いてこそ愛着が湧くという理屈も重々承知しているが、いとも簡単にこんなピカピカにしてくれるなら四の五の言わずに頼んでしまえばいい。

魂を売り渡したような気分がしたのも事実だが、私の魂なんてそんなものである。痛くも痒くもない。いや、財布はちょっと痛かった。


ショートブーツを4足だけ磨いてもらったのだが、仕上がりが気に入ったので、それ以外にも断続的に12足も持ち込んだ。合計16足もの人任せである。

靴好きの風上にも置けないヘタレぶりだ。

磨きに出さなかったバッチリ綺麗な靴もいくつもある。ということで、いま私の自宅の靴棚にはピッカピカばかりが並んでいる。嬉しくってしょうがない。

堕落を嘆くより、綺麗な靴ばかり並んでいる壮観さに酔いしれる方が前向きである。今後もシンドくなったら人様に磨いてもらおうと決意した。

さてさて、靴磨きをする際の“主役”はつま先部分だろう。人間の目線はそこに向かうわけだから必然的に靴の先端を中心に磨きたくなる。

先っぽの先っぽの革の硬い部分には光らせるクリームを塗って鏡面仕上げにすることもある。一番上の画像のいくつかのショートブーツも軽く鏡面仕上げにしてある。

「先っぽの輝き」が綺麗な靴の基本ではあるが、同じぐらいこだわりたいのがカカトである。


こちらは7年愛用しているクロケット&ジョーンズの靴。7年モノだが、しっかり手入れをすればナマめかしい艶が生まれる。


こちらは昨年買ったジョンロブである。新しいから綺麗なのは当然だ。これはこれで美しいが、どちらかといえば7年モノのほうがネットリと魅惑的に思える。

まあ、気のせいというか、長く愛用しているヒイキ目がそう感じさせるのかもしれない。

その昔、銀座のオネエサンに見送られた後で「いつもカカトが綺麗ですね」と言われて妙に嬉しかった記憶がある。

見られている意識のない部分を誉められるとアマノジャクな私は舞い上がる。そんなこともあって、靴磨きの際はカカトをやたらと綺麗にする。

かかとのあたりはヒールカップと呼ばれる部分だ。丁寧に作り込まれた靴は、この部分の造りが愛らしい。見た目もコロンと丸くて優しく包まれている気分になる。

しっかり磨き上げた後に、ついついヒールカップの曲線を掌で包むように愛撫しちゃうのが私の隠れたクセである。小ぶりなオッパイみたいで可愛い。

まあ、フェチみたいなものだ。

俗に「男は背中で語る」などと言われるが、腹筋背筋が弱ってきた私の背中はヨレている。その分、後ろ姿は靴のカカトに頑張ってもらおうと思う。

2 件のコメント:

ポテ珍3号 さんのコメント...

新入社員の頃、靴の先が光ってないと先輩社員に馬鹿にされ、それ以来、KIWIの靴クリームに水を少し付け、シュッシュッ。2カ月後にはガラスのように光りました。
凄く嬉しかったのを思い出しました。靴のかかとは仰る通り、男の背中と同じですね。
気を抜けません。見ればその人の生き様が・・・。

富豪記者 さんのコメント...

ポテ珍3号サマ

その昔、うら若き少年の頃は、カウボーイブーツにフレアのジーンズの裾を眺めにしていたこともありました。平べったいデッキシューズだったり、ワラビーブーツだったり、いま思えば若者時代はカカトを綺麗にしようという発想がなかったです。
大人になったものです!