2018年1月29日月曜日

祭りのあと 女呼んでブギ


サザンオールスターズが今年でデビュー40周年なんだとか。40年って物凄い話である。あのインベーダーゲームも今年で誕生40年だ。そのぐらい昔から人気を維持している。

それだけ長期間にわたって、一線で活躍しているわけだから、まさに希有な存在だ。

あの美空ひばりだって、40年ぐらい第一線で活躍したが、世代を問わず幅広く支持されているという点では、やはりサザンは歴史的なバンドだ。

サザンがデビューした頃、私はまだ小学生気分が抜けない年頃だった。「勝手にシンドバッド」というデビュー曲のタイトルに子供なりにぶっ飛んだ覚えがある。

沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンクレディーの「渚のシンドバッド」を合体させた意味不明のタイトルである。当時、サザンをコミックバンドだと思った大人が多かったのも当然だ。

そして、翌年になって大ヒットしたのが「愛しのエリー」である。その落差の激しさというか、天衣無縫ぶりに世の中が圧倒された。

と、わかったように書いているが、私はサザンのファンではない。若い頃にCDを買った覚えもないしカラオケで熱唱することもない。

とはいえ、世代的にいつもサザンの曲が身近にあったのは確かだ。

最近、よく聴くようになったのが「祭りのあと」という桑田佳祐のソロ曲。メロディーラインの心地良さに加えて歌詞も泣かせる。

https://www.youtube.com/watch?v=NTH7We3tS_w

♪ 野暮でイナたい人生を
   照れることなく語ろう

  悪さしながら男なら
  粋で優しい馬鹿でいろ

  底無しの海に
  沈めた愛もある
  酔い潰れて夜更けに独り
  月明かりのWINDOW

  悲しみの果てに おぼえた歌もある
  胸に残る祭りのあとで
  花火は燃え尽きた ♪


とても素敵な詩だと思う。「粋で優しい馬鹿でいろ」の部分が格好良いが、人生を「野暮でイナたい」と表現するところが凄い。

長く一線で活躍するロックバンドやミュージシャンの多くが、教条的というか“硬質”な詩の世界をウリにしている。

サザンや桑田佳祐に対する世間のイメージは、どちらかといえば、歌詞ありきというより、パフォーマンスや曲のパンチ力にあるように勝手に思っていたのだが違ったみたいだ。

そういえば、不倫を描いたサザンの名曲「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」にも何とも言えない絶妙な歌詞表現がある。

♪ 愛の雫が果てた後でも 
 何故にこれほど優しくできる ♪

この感覚は禁断の恋に身を焦がした男であれば、激しく大きくうなずいてしまうはずだ。実にグッとくるフレーズだ。

恥ずかしながら、わがオジサマバンドにも不倫をテーマにしたオリジナル曲がある。昨年のライブでも披露したのだが、作詞は不肖ワタクシである。

あーだこーだと言葉を盛りまくってそれっぽい世界を描いたつもりだが、上で紹介した桑田サンのわずか2行の言葉に比べれば稚拙そのものである。

まあ、比べること自体が図々しいのだが。

今年も新たなオリジナル曲を披露しようと頭をひねっているのだが、大人の男の哀感をテーマにしたくても、冒頭で紹介した「祭りのあと」の歌詞を思うと、自分の凡人ぶりが哀しくなる。

やはり詩の世界にも天性の才能が必要なんだろう。

桑田サンの詩といえば、彼が若い頃に作った「女呼んでブギ」が秀逸である。当時は単なる悪ふざけにしか聴こえなかったが、酸いも甘いも噛み分けた今になって思えば、こんな詩がかける人は純粋に天才なんだと思う。

 
♪ 女呼んで もんで 抱いて 
 いい気持ち  ♪


真理である。これを歌にしちゃった感性が、40年も活躍できる源だと思う。 


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