泊まるわけじゃなくても、何気なく使うのがホテルだ。食事やお茶、バーも使うし、待ち合わせ場所にすることもある。
ホテルで過ごす時間は、どこかゆったりした気分になれるから好きだ。私自身、帝国ホテルやパレスホテル、第一ホテルのカフェなどは商談や軽い打ち合わせでも使う。
喫茶店よりやたらと高いが、そこはショバ代であり雰囲気代が加算されるから仕方がない。
ちなみに、ウサンくさい経済ゴロや詐欺師みたいな連中は、やたらと高級ホテルのロビーやカフェを使いたがる。日頃そうした場所に行き馴れていない面談相手に微妙な“圧”をかける狙いらしい。
私にはそんな思惑はない。談話室滝沢やルノアールよりも、ちょこっと気分がアガるから仕事に関係ない時でもホテルをあれこれと使っている。
まっとうなシティホテルとなれば、日本特有の「おもてなし」精神が根付いている。何かを尋ねたり頼んだりしても、マニュアル的反応しか出来ないコンビニのバイト君のようなスットコドッコイな対応はない。
いわゆるニッポンの洋食系の食べ物がウマいのも魅力だ。文明開化とともに花開いた日本流の洋食は、たいていホテルレストランが発祥だったりする。
シチューやグラタン、ピラフといった昭和の子どもが狂喜乱舞したメニューがホテルの伝統と看板を背負って高尚に?調理されるわけだから味のほうも間違いがない。
いつもここで書いているパレスホテル系列のピラフしかり、ホテルオークラのフレンチトースト、赤坂のキャピトルホテルのパーコーメン、ホテルニューグランドのドリアしかり、名のあるホテルには名物料理が多い。
名物ではなくても、カレーやオムライスといったド定番の料理は、たいていウマい。安くてマズいものを食べるなら、時には“上質なド定番料理”をワシワシ食べたほうが幸福だ。
新興の外資系ホテルとは一線を画すのが、そうした物語性のある歴史だと思う。新しくてカッチョいいホテルに話題は集まりがちだが、ベテランの味はやはり捨てがたい。
部屋に関しては外資系のオシャレなホテルに軍配が上がるが、なんてったって高いから気軽には使えない。予約サイトで格安料金を探しても目を引く値段は出てこない。
その点、日本の老舗は時にベラボーな値段で投げ売りしている。チェックインを18時とか20時にすることで通常の半額ぐらいにしたり、曜日限定でバーゲン料金を設定していることが珍しくない。
うがった見方をすればラブホテル需要を意識しているという見方も出来なくはない。
なにぶんラブホテルがあるエリアは限られている。都内中心部のシティホテルをそういう目的で利用する人も多い。それはそれでアリだろう。
実際、あちこちの高級ホテルがデイユースとして数時間単位の部屋貸しをしている。ホテルの公式サイトでは扱っていないが、各種予約サイトを覗けばそんな情報はいっぱい出てくる。
私も商談?や密談?などで部屋を使うこともある。現場記者時代は紙面に掲載する座談会の会場にホテルの部屋を使うこともあった。
今ではすっかり個人的な使い方ばかりだが、都会に家があるわけだから、いちいち朝まで泊まっていくことはない。
ひとときの非日常空間である。窓から都会の雑踏を眺めながら思索にふけったり、哲学的に人生を考えたりする。
そんなはずないか・・・。
最近は、ビジネスクラスをちょっと高級にした中堅クラスのホテルが増えている。旧来型のホテルに比べると全体にゆとりの無いことが残念だが、部屋は機能的で使い勝手は良い。
そうはいっても、ルームサービスがなかったり、部屋の冷蔵庫が空っぽだったりすると、いっぱしの料金が腹立たしく感じるのも確かだ。
ちょっと古めかしくても、そうした機能面がちゃんとしているホテルを格安サイト経由で手配するほうが間違いがない。
だいたい、今どきのシャレたホテルは、カードキーを持っていないとエレベーターが動かない。実に面倒な仕組みになっている。すなわち、部屋での待ち合わせが出来やしない。
「12階の〇〇号室で待ってるよ」などという艶っぽい待ち合わせが出来ないわけだ。困った問題である。
いにしえの名曲「ホテル」のような怪しい展開に期待したい人にとっては迷惑千万な話ではある。
♪ホテルで会って、ホテルで別れる♪ なんとも悩ましい歌詞だ。
学生時代、家族と一緒に行った団体旅行のバスの中でのこと。若い人向きの曲を何か歌ってくれとバスガイドさんにマイクを渡され、この歌をアカペラで歌った。
すべてのお客さんにドン引きされたことを思い出す。
この動画、歌詞付きなので暇な方は熱唱してください。
https://www.youtube.com/watch?v=HDz0-JQzZNk
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