2021年4月7日水曜日

ちゃんとした人

何度目かの独身生活になって丸8年が過ぎた。すっかり自分のペースが染みついて勝手気ままに生きている。

 

それはそれでハッピーなことだが、大袈裟に言えば、糸が切れた凧みたいな感覚もある。

 

時々、これで良いのかと自問自答するのだが、答えはいつだって「これで良い」である。そんなもんだ。

 

そんな私がちょっと充実した気分になるのが子供サービスに励む時だ。“元家族”で年に2度ほど小旅行に行くのが習慣になっているのだが、さすがにその時間は「ちゃんとした父親」みたいな顔で過ごす。

 

この時ばかりは何となく自分が「真っ当な人」だと認識できて妙な安堵感がある。うまく表現できないが、家庭人として失敗した負の部分を少しだけカバー出来たような感じとでも言おうか。

 



 

先日、箱根の仙石原のほうに1泊で出かけた。ここ数年で何度か訪ねている東急ハーベスト系の「翡翠」というリゾートホテルだ。

 

中学3年になるダウン症の長男にとっては、昨年一人暮らしを始めた姉も合流するし、甘甘父ちゃんがやたらと遊んでくれるハッピーな時間だ。

 

今回も私のほうが湯あたりするほど一緒に温泉で遊んだ。そろそろ体力面で息子に勝てない部分が多くなったことを感じる。“いとをかし”である。

 



 

夕飯は宿ではなく、歩いて数分の距離にある餃子中心の町中華に行く。ここも毎度訪ねている勝手知ったる店だ。食べ盛りの息子は気が狂ったように餃子とラーメン、肉料理をがっつく。

 

翌日は御殿場アウトレットに出かけて散歩に励んだり遊具施設で遊ぶ。一緒に暮らしているわけではないので、私もここぞとばかりに息子優先で行動する。そんな面倒くさい感じも時には悪くない。

 




さんざん遊んで夕方東京に戻った後は回転寿司に行く。これまた食べ盛りの息子が主役だからなかなか楽しい。

 

息子は王道系のマグロや白身、イカを中心にばくばく食べていたが、私はコーンマヨやらサーモン何ちゃらマヨみたいな回転寿司ならではの変わり寿司をガっつく。

 




 

帰宅した日、息子は12時間ぐらい寝たらしい。よほどフルパワーで楽しく過ごしたのだろう。ホスト役?の私としても大満足である。

 

最初にも書いたとおり、息子のために過ごした時間ではあったが、私自身の精神面にも癒やし効果があった。まとわりついてくれる子供がいることは幸せなことだと思う。

 

別な日、杉並区にある実家に出かけた。高齢の母親のご機嫌伺いである。「実家の親を訪ねる」という行動も、自分が“ちゃんとした人”だと認識できるから大事なことかも知れない。

 

実家の庭には樹齢80年ほどの桜があるのだが、見頃は逃したものの花びらの絨毯状態が圧巻で、ライトアップした夜は何とか妖艶な感じも堪能できて良かった。

 





 

実家といっても建て替えているので、私が暮らしていた家ではない。郷愁みたいな感覚は無いのだが、庭自体は私が子供時代に過ごした名残りがある。しばし懐かしい気分になる。

 

母親にとってはいくつになっても息子は息子だから話したいことは山盛りみたいだ。ウーバーイーツで中華料理を注文してアレコレと話に花を咲かせた。

 

会おうと思えばすぐに会える身内がいて、その身内が私と会うことを喜んでくれるのは、考えてみれば幸せなことだ。

 

気ままな暮らしといえどもこんな時間も織り交ぜないと無軌道に走りがちだ。結局は身内に救われている部分が大きいと感じる今日この頃である。

 

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