季節ごとにウマいものを食べられるのは日本人の幸せな点だ。四季それぞれの変化を食で感じられることは私のように食い意地の張った人間には有難い。
先日、近所の焼鳥屋さんでタケノコを焼いてもらった。焼鳥を焼く炭台で丁寧に仕上げられたタケノコの香りは春そのものである。
若い頃は季節感に関係なく好きなものを食べていたが、年齢とともに季節モノに惹かれるようになった。年の功みたいなものだ。加齢も悪くない。
春到来とともにやたらと遭遇するのがホタルイカだ。酢味噌で食べたり、ショウガ醤油で食べるのが一般的だが、一工夫した食べ方も楽しい。
銀座にある何でもウマい店「そうな」で食べたのはカラスミをぶりぶりかけたバージョンだ。激的に美味しかった。
この店で必ず食べるカラスミビーフンと被ってしまったが、ホタルイカの濃厚なはらわたのせいで口の中に広がる味は別物だ。
カラスミをまぶしてネチョネチョっとさせた画像がこちらだ。見るからにマズいはずがない。酒のアテとして抜群の一品だった。
ホタルイカの食べ方はついワンパターンに陥りがちだが、一工夫すると楽しみが広がる好例だろう。
春と言えばハマグリも美味しい時期だ。普通に酒蒸ししてもらうだけで充分ウマい。さほど特徴的な味わいではないが、ハマグリ独特の味わいもオジサマ世代向けと言えるだろう。
シジミ、アサリもウマいがその系統の大親分みたいな姿が美しい。エキスが染み出た汁の味わいは日本代表と呼んでもいい。
さきほどの「そうな」を訪ねた際は、バター炒めで食べた。ホッキやホタテなどもバターとミックスすることで貝の甘さが引き立つがハマグリも然りである。
美しいハマグリがバターと融合することでウマい汁が一層芳醇に変化している。器の中でほうれん草の緑色とコラボして何とも魅惑的だ。
まさに器の中でショーが繰り広げられている感じだ。ハマグリのショーである。「ハマショー!!」だ。意味不明でスイマセン。
普通に食べればヘルシーな印象で、バターと合わせれば一気に不良っぽい色気が漂う。ハマグリ恐るべしである。
ハマグリといえば寿司屋で食べる煮蛤も捨てがたい。東京寿司の定番だ。いまどき“煮ハマ”を常備してある店ならマズいものに当たる心配はほぼ無い。
二枚の画像のうち下の画像は新富町の「なか山」で食べた一品。上の画像はどこの店だったか忘れてしまった。いずれにせよ、東京の寿司は一仕事を施した“非ナマ系”に面白さがある。
マグロのヅケ、白身の昆布締め、コハダに穴子、茹で海老に煮ハマ、タマゴにかんぴょう巻き。そんな顔ぶれが美味しい店なら結局は間違いなく良い店だと思う。
ちょっと話は逸れるが、この1年ぐらいの間に私の職場の近くと自宅の近くに良さそうな雰囲気の寿司屋が合計3軒も新規開業していた。
気になって下調べしてみたらどの店もコース専門だとか。コース専門の寿司屋ばかりが増殖している現状は何ともヘンテコだ。
あくまで個人的な考えではあるが、そんなものは寿司屋じゃないと思う。カウンターを挟んで職人と対峙する意味がまるで無い。
客と店側がお互いの経験や知識などの引き出しを覗き見しながら、その日の気分や状況に合わせて好きなモノを好きなペースで楽しむのが寿司屋のカウンターという世界だ。
そんな大原則を取っ払ったスタイルは、人によっては便利でラクチンなのだろうが、個人的にはちっとも興味がわかない。
そういう店ばかりがネットで評判を集めて予約の取れない人気店になり、おまけに随分と強気な値段設定だ。都内中心部ではいつのまにかそんなパターンが広まっている。それを客も当然だと思い込む。
実におかしな状況だと思う。
何だかハマグリの話から随分と脱線してしまった。スイマセン!
4 件のコメント:
富豪記者様、ずっとブログ読んでます。おそらく貴殿より、4歳くらい私が上です。しかし、好きな食べ物があまりに似すぎてて、寿司、うなぎ、とんかつ、洋食、そしてピラフ、更に野菜嫌い、しかも寿司やにおけるおまかせが嫌いで、そっくりです。いつも素晴らしい文章に感動致します。
名古屋のえいちゃん様
コメントありがとうございます!
そうですか。好みが似ている先輩に読んでいただき有難いです。
雑多な話ばかり書いていますが、これからも覗いていただけたら嬉しいです!
最近、コロナで東京行ってませんが、丸ノ内のパレスホテルのシャトーソースのピラフ大好きですし、あと、富豪記者様のブログには出てきませんが、八重洲のはし本のうなぎも何回も食べてます
名古屋のえいちゃん様
先週パレスホテルのピラフを食べてきました。八重洲のはし本も何度か行きました。昭和っぽい風情が魅力的ですよね!
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