この冬は「あんこ」ばかり食べている気がする。洋菓子も好きだが、和菓子が大好きな私にとってあんこは幸せを運んでくれる嗜好品である。
我が家の冷蔵庫には常にあんこが保存されている。あんこだけをチビチビ味わいながらお茶をすすって映画を見る時間は至福の時間である。
最近はイチゴにもあんこを塗りたくなって食べるのが習慣になった。いちご大福の餅なしバージョンである。餅がないから太ってしまう罪悪感が無いのが嬉しい。
子供の頃、実家でイチゴを食べる時は練乳を加えるのが定番だった。イチゴをつぶして練乳と混ぜ合わせることでエロティックな色合いの極上な一品になった。
今になって思うと練乳って美味しいけど乱暴な味がする。繊細さとは無縁だ。ガツン系である。こしあんの情緒あふれる?味わいをイチゴに加えたほうがイチゴ本来の味が生きるような気がする。
私のあんこラブは今はこしあんが中心だ。イチゴとの組み合わせを人に勧めると意外にビックリされるが、間違いないウマさだから未体験の方にはゼヒ試してもらいたい。
あんこは効能面でも優れている。むくみ解消や肌や髪の維持、血糖値やコレステロールの上昇も抑え鉄分も豊富でアンチエイジング効果に優れているらしい。いいことづくめである。
生クリームべっとりの洋菓子もウマいが、健康面を考えたらあんこ様を選ぶのが間違いないわけだ。粒あんのほうがヘルシー効果が高いそうだが、もともと健康面を狙って食べているわけではないので私はあくまでこしあん派である。粒あんしか無い時に限ってそっちも食べる。
同居している娘は粒あん派だ。年頃だから体重を気にして砂糖が入っていないマズい粒あんを買ってきて、そこにパルスイートみたいなニセ甘みを混ぜ混ぜして食べている。果たしてどのぐらい健康に影響があるのかビミョーなところだろう。
冬の散歩の途中で甘味処に入っておしるこを味わうのは日本人の醍醐味とさえ感じる。こしあんは意外にコーヒーにも合う。ブラックコーヒーとおしるこをセットで味わうと自分という存在が大人なのか子供なのかオッサンなのかオバチャンなのか分からなくなる。
日本橋を中心とした私の行動範囲にはあんこがウマい店はたくさんある。まだまだ未開拓のお店が山ほどあるのが結構嬉しい。新たな感激に出会えそうだ。
時々、立ち寄る東京駅の丸の内南口に直結している「TORAYA TOKYO」などは穴場の一つだ。かの虎屋の直営カフェである。とにかくあんこの上質さを実感できる。夏の冷やししるこ、冬のぜんざいともにニンマリ出来る。
こういう店にオジサンが一人で座っているのを見かけることは案外多い。そんなオジサンの姿にはどこか哀愁があって悪くない。きっと善人なんだろうななどと想像してしまう。私も一人あんこ大会をすることがあるから他人からそんなふうに見られてほしいものだ。
書いているだけであんこが欲しくなってきた。今日もどこかでウマい和菓子を買って帰宅することにしよう。
なんだかお爺さんみたいである。
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