2024年8月14日水曜日

坊主頭、中川家、甲子園


野球少年だった頃、プロ野球選手にはなりたかったが甲子園に出たいとは思わなかった。その理由は坊主頭がイヤだったことである。なんとも軟弱な子供だった。

 

それから半世紀近くを経て初めて甲子園に行ってきた。仕事関係で世話になっている人を表敬訪問する予定があったから、そっちの用事をチャッチャと済ませて他の時間は野球観戦に明け暮れた。開会式から3日間観戦しまくってきた。

 

ちなみに多くの高校球児が坊主頭じゃなかったことにビミョーな気持ちになった。坊主頭はイヤなのにナゼか坊主頭のチームを応援していた。このあたりが私が既に「昔の人」であることの証である。

 

さてさて、ナマでみた開会式はなかなか壮観だった。千人ほどの球児が行進して例の「栄冠は君に輝く」が鳴り響く。数十年に渡ってテレビで見てきた光景が目の前で展開されている。かなり気分がアガった。選手宣誓にちょっとウルウルしそうになった。

 



 

最初の3日間は午前の部と夕方の部の2部制。私は帰京する日の午前の部までのすべてのチケットを「チケットぴあ」で頑張って入手した。発売初日に速攻で買った。プロ野球のチケットよりははるかに安価だからガンガン「大人買い」をしてみた。

 

球場の座席図とにらめっこしながら通路横の席を確保することにこだわった。ある時は1塁側、ある時は3塁側、はたまたある時は内野最上段に設けられたテーブル付きボックス席まで押さえてみた。いろんな角度から観戦できて楽しかった。

 

テレビ中継ではたいして映らないチームが入れ替えになる際のガチャガチャした感じやグランド整備の様子、試合前のノックの風景など試合以外の時間もみっちり観察してきた。ついでに言えば、智弁学園の試合でブラスバンドが響かせる魔曲「ジョックロック」をナマで聴けたのもラッキーだった。

 



なんといっても猛暑である。スタンドより地表温度が高いはずのグランドで躍動する高校生の勇姿に感心した。完投するピッチャーなんてもはやイジメの世界かもしれない。でも汗と陽射しこそ夏の甲子園である。私も冷感スプレーや冷感タオル、小型扇風機など対策グッズを持ち込んで頑張って観戦した。




 甲子園名物「かちわり」の有難さと有用性も身を持って経験した。首や後頭部を冷やしたり椅子と背中の間に挟んでみたり短パンや半袖からむき出しの足や腕に当てて冷やしてみたりマメに活用してみた。あれは甲子園観戦の必需品だろう。

 




球場グルメ?もあれこれ堪能した。牛すじ焼きそば、カレーに唐揚げ、牛すじ丼にタコ飯おにぎり、そばめし等々、コテコテ系を中心に面白がって食べてみた。シチュエーションのせいで全部ウマく感じた。人間の味覚なんてそんなものだろう。

 





 炎天下の昼に飲むのは熱中症が怖かったから夕方の試合ではしっかり生ビールやハイボール、サワー類を楽しんだ。必死に頑張る球児には悪いがのんびりと風を感じながら過ごす晩酌タイムは最高の時間だった。

 

ラジオを持っていったのも正解だった。イヤホンで中継を聞きながら観たほうが詳しく状況がわかる。個々の選手の特徴も把握できて、注目すべき選手の登場場面も見逃さずに試合に熱中できた。

 




野球好きになって半世紀。ちょっと大げさだが、死ぬまでにちゃんと「聖地」での熱闘をナマ観戦できたのは我が人生における一つのトピックだったと言えよう。

 

午前の部と夕方の部の空き時間も無駄にせずに動き回った。球場併設の「甲子園歴史館」もなかなか見応えがあって時間を忘れて展示品や昔の映像などに見入ってしまった。バンビ坂本、荒木大輔フィーバーなどリアルに記憶している出来事が既に「歴史」と化していることに我が身の加齢を実感した。

 






別な日の空き時間は阪急電車に乗って梅田経由で「なんばグランド花月」にも行ってみた。これもまた一種の聖地である。運の良いことに私が大好きな「中川家」が出演中でナマで爆笑漫才を見ることができた。ブラマヨなど有名漫才師も出ていたがやはり中川家は別格だ。円熟の域にあると思う。

 




朝から甲子園で熱戦を見て、昼間に串カツ屋で軽く一杯やってから中川家の漫才を見て、夕方からまた甲子園で酒を飲みながら野球観戦である。なんとも贅沢かつ充実した時間である。生粋の東京人にとっては極上の「コテコテ関西の旅」である。

 

ホテルも甲子園球場から徒歩3分の「ヒューイット甲子園」をかなり前から予約した。普段より高い値段設定だったようだが、人生初の甲子園体験だからケチってはいられない。午前の部と夕方の部の合間には部屋に戻ってシャワーを浴びてリフレッシュできたし、コスパをまるで無視した計画だったが結果的には正解だったと思う。

 




なんだか、すべてが抜かりなく、かつ順調に運んだので我ながら妙な充実感と達成感を味わえた34日だった。

 

 

 

 

 

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