2010年12月6日月曜日

おでん国見

旧友がおでん屋の主人になった。12月2日に開店。試運転の日に覗いてきた。浜松町にある「おでん国見」がその店。

場所は浜松町駅、大門駅にほど近い雑居ビルの地下。店主の人柄を表わすかのように、地下の店でありながらオープンな雰囲気。変な隠れ家感や窮屈感はない。

旧友はおでんの修行にこれまで25年ぐらい費やしてきたツワモノだ。大阪で10年近く、その後は東京で死に物狂いで酒とかおでんの研究に励んできた。

私とは中学、高校、そして大学まで一緒だった間柄だ。おでんと酒の研究のせいで年々肥満化していく姿を目の当たりにしてきた。あの過酷な日々もすべてこの店のためだったのだろう。

10代の頃は良く言えば北大路欣也のような風貌だった彼も今では小錦に似ている。その雄大な腹の中には20ウン年の修行が詰め込まれているわけだ。

「修行」にもいろいろある。名店に丁稚奉公するのも修行だし、客としてあちこちで味覚と肝臓を鍛えることも立派な修行だ。

彼の場合、後者の“修行”しかしていないのだが、常人とは比較にならないほどの“鍛錬”に励んできた甲斐あって、おでん鍋の前でネタを愛でる姿はもはや貫禄だ。

スマートな北大路欣也におでんを盛ってもらうより、私はニコニコした小錦から供されるほうが嬉しい。そのほうが美味しそうだ。

六大学のなかでもとくに厳しいことで知られる応援団生活を送り、社会人時代は世界的大企業を主戦場としていた彼だが、一念発起して今回の開業に至った。

私が訪ねた日は正式オープン前だったので、細かい論評はできない。おでんがウマかったことは確かだが、沖縄出身の料理人さんがいるため、一品料理がちょっと面白い。

テビチの唐揚げを試食したが、下処理がキチンとしているのだろう。かなり上等な出来映え。沖縄の居酒屋あたりではポピュラーになったが、まだまだ東京では珍しいメニュー。コラーゲンたっぷりだし、女性受けしそうな味だった。

肝心のおでんにもテビチがラインナップされている。個人的に沖縄に行った際には、ついつい頼んでしまうメニューなので、私としてはこれを目当てに通うことになりそうだ。


ホール部分にはカウンターとテーブル席、それ以外にも奥まったスペースに6~7人は余裕で入れるお籠もりスペースもある。そっちには私が開店祝いに持参した備前焼の大壺を置いてもらった。

ぐい呑みも結構な数を持っていった。旧友の好みや店の方針も聞かずに勝手に進呈したのでどう扱われようが構わないが、どうせならバンバン使ってもらおう。

器だって“実戦”で働いてこそナンボだ。割れたら割れたで追加進呈すればいい。そうなれば繁盛している証しだろう。

オープン当初はバタバタ、もたもたするだろうが、こなれてきた頃の店の様子が興味深い。

店の行く末は未知数だが、彼の選択した道が彼自身の風貌に呆れるほど似合っていることは確かだ。

●おでん国見

港区浜松町2-2-5 地下1階
電話03-6459-0596

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