2010年12月22日水曜日

格差って何だ?

富裕層への課税強化を政策に掲げていたアメリカのオバマ大統領。議会対策などもろもろの理由で路線転換。先日、富裕層に対しても所得税減税を継続する法案に署名した。

片やわがニッポン。先週まとめた来年度税制改正大綱で、べたべたな大衆おもねり路線の富裕層大増税を決めた。

富裕層といっても年収2千万円超の月給取りが主なターゲット。給与所得者、すなわちサラリーマンのわずか0.4%しかいない階層をイジメて悦に入っている。

結局、来年の統一地方選のための選挙対策。このところ地方選挙で連戦連敗の民主党だけに実にわかりやすい政策だ。

オバマ大統領の判断も端的にいえば議会対策だが、野党・共和党が訴えていた景気対策としての中堅・高所得者層減税に乗っかった格好だ。

「お金持ちにお金を使ってもらって景気を牽引する」。わが国では、こういう単純な理屈がどうして大きな声として盛り上がってこないのだろうか。

これも一種の情報操作だろう。そう思っている人は想像以上に多いはずだが、メディアも金持ち優遇というレッテルを極端に恐れるあまり、こうした角度からモノを言わない。

「みんなの党」・渡辺喜美代表の父親で“ミッチー”の愛称で人気のあった故渡辺美智雄氏などは堂々と金持ち優遇論を語っていたが、それこそが経済通の本音だろう。

米国の政策はそのあたりの機微が理解できている。相続税だって廃止するほどの英断に踏み切った国だ。活力とパワーを考えるとわが国とはまさに対称的だ。

「金持ちは敵だ。みんなで平等に貧乏を目指そう」という民主党の政策が色濃く出た来年度税制改正だが、そんな思いを強くしたのが、そもそもの税制改正の目的だ。

雇用拡大などと並んで絶対的な柱に位置付けられたのが「格差是正」。一見何でもない言葉にも見えるが、よくよく考えれば実に抽象的かつ情緒的だ。

そもそも、この国に存在する格差ってそんなに大きいのだろうか。主要先進国、いや先進国以外の国々に比べても格差が大きいとは正直思えない。

識字率の高さなんておそらく世界一だろうし、進学率にしても高校進学率は確か95%を超えている。大学進学率ですら50%超だ。

生活保護受給世帯が増加中とはいえ、行き倒れなどニュースになるぐらいの珍しさだ。

リッチマンにしても、宮殿のような豪邸に住み、遊んで暮らせるようなスーパーリッチがどれだけいるのだろうか。

テレビの豪邸拝見みたいな番組を見ても、先進諸外国のスーパーリッチあたりと比べれば可愛いレベルだろう。

経済大国という割には、超が付くスーパー豪邸だけが建ち並ぶような街が存在しないことだけでもその証しだろう。

民主党が言う「格差是正」の定義って何だろう。結局闇雲に「金持ちを減らせ」といっているだけに聞こえる。

旧社会党系の残党が牛耳る集団の正体見たりだ。

税制改正大綱をまとめた某大臣は嬉しそうに「格差是正の目的に対してきちっと手当が出来た」と語っていたが、どういう理念あっての政策なんだか大いに疑問だ。

古今東西、文化、芸術、消費行動すべてにおいて牽引役となったのは高所得者層であり、資産家層であることは間違いのない事実だ。

低所得者対策は確かに政治課題だが、ブラブラしているプー太郎とか、努力すらしない階層までひっくるめて「弱者」といって哀れむ発想が気持ち悪い。

不労所得には特別な課税も用意されている。それとは別に必死に努力して頑張って人より稼げるようになった人に対してだって累進課税という仕組みで多めに税金が取られる。

そもそもそういう大原則がありながら、新たに追加して収奪のごとき発想で税金を更に取ろうとする発想って、嫉妬や逆恨みに基づく実に不健康な考え方だ。

社会経験のない小役人や司法試験しか頭になかったお勉強ちゃんや市民運動家あたりに政治をまかせると、結局こういう意味不明な屁理屈政策のオンパレードになる。

私も早く本物の富豪にならねばなるまい。「金満党」を結成して魑魅魍魎達と闘おう?

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