2011年4月25日月曜日

池袋村 怪談 ホッピー

このブログを始めて3年半が経つ。もともとは、会社のSEO対策の一環として始めた。

「富裕層が興味を引きそうな題材を面白おかしく書いて、上手にわが社の商品に誘導する」という当社システム担当者の壮大なもくろみが背景にあった。

そんなウマく事が運ぶわけもなく、最近では、単純に私自身の身辺雑記に終始している。まあ、それでも何だかんだゴタクを並べてモノを書くことが嫌いではないので、こうして続いている。

「富豪」を名乗る以上、100円ショップで商品を吟味している話とか、吉野屋より松屋が好きだとか、実はペヤングを愛しているとか、閉店間際のデパ地下の割引商品を買いあさっている話は書かないようにしている。

綺麗に着飾った銀座のオネエサンが、休日は、ザンバラ頭でシミのついたジャージ姿で咥えタバコで近所をウロつくのと同様、「扮飾富豪」である私もホッピーをガブ飲みしてゲップを連発する時がある。

わが社のある池袋は、魔界のような街だ。そんな魔界でホッピーをグビグビ呑んで目が座る。

そもそも池袋というエリアは、江戸時代には、ジメジメとした湿地帯で、中心部からも離れており、独自の習俗もあったらしい。「池袋の女を嫁にもらうタタリがある」と恐れられていたことは知る人ぞ知る。

戦後は三業地もあってそこそこ栄えたらしいが、今ではマンションばかりで面影はない。ほんの少し霊感のような感覚がある私から見ると、イヤな気が漂うエリアもあって、まさに魔界だ。

サンシャイン60にしても魔界伝説のイメージしかない。戦犯が収容された巣鴨プリズンの跡地に建つ「墓標」があのビルという話。

あそこで処刑された人は60人だからビルが60階建て、処刑はたいてい明け方だったからビルの名前はサンシャイン。おまけにビルの形自体が土台と墓石を摸しているとか。

周辺の再開発を指示したのが、自身が巣鴨プリズンに収容されていた岸信介元首相で、事業共同体はGHQに解体された恨みを持つ旧財閥系の集合体だというから、さもありなん。

あの周辺はお化け目撃情報も多い。わが社が独身社員用社宅にしているアパートが、サンシャインのすぐそばにあるのだが、幽霊に慣れっこになった社員が何人もいたのは事実だ。

話が大分それてしまった。

池袋村でホッピーをガブ飲みする話だった。

時々ひとりで池袋の居酒屋に行く。残念ながら池袋には気の利いた小料理屋とか居心地の良いオトナの店は見あたらない。

随分探索したが、やはり若者がワイワイ騒ぐセントラルキッチン系の店が大半で、ちょっと高級路線の店は、ヤクザ系か風俗系の人々が占拠していることが多い。

私のお気に入りは、その名も「南国ファミリー」だ。なんでそういう名前なのだろう。実にシュールだ。駅近くの妙な路地にある。

会社の人間と池袋で飲む際にも、ここは使わない。いつも一人酒だ。私にとって内緒の隠れ家みたいなものだ。理由は不明だ。

客層はオジサン中心。でもネクタイ族が中心なので安心だ。池袋にはもっとベタベタなホッピー系飲み屋がいくつもあるが、下手するとネクタイ姿だと浮いてしまうぐらいディープな店もある。

その点、南国ファミリーは安心だ。蛍光灯が光り輝き、疲れたネクタイ族が健全にウサを晴らしている。

時にはフィリピン人ホステスを同伴したお父さんが一生懸命口説いている微笑ましい光景が日々繰り広げられている。

「シャチョウさん、スケベダネエ」とか言うセリフをBGMにカウンターでボーと呑む一時が堪らない。

たいていエッチグラビア満載の週刊誌を持ち込んで、ハイボールかホッピーだ。食べ物メニューが異常に種類豊富でオーダーに悩むところも嬉しい。

だからいつも注文しすぎてしまう。想像出来る居酒屋メニューや定食メニューは何でも揃っている。壮観だ。

しめ鯖やナンコツ唐揚げ、やきとんあたりはいつも注文するが、海老フライトかコロッケとかソースマンを喜ばせるメニューも多い。

時々、生きた毛ガニがあって、一杯丸ごとひとりでホジホジすることもある。この辺は富豪としての矜持?だ。

ササミにチーズをベットリ載せてわさびを塗った一品とか、卵黄をブリブリ混ぜ合わせる馬ユッケあたりをつまみにホッピーを呑むと明日への英気が養われる。大袈裟だ。

10年ぐらい前、「ホッピーとやきとん」というゴールデンタッグに魅せられて、あちこち名店?を巡ったことがある。グルメとか高級料理とは無縁な孤高かつ独特な存在感にはまった。

その後、ふとしたきっかけで足を洗った。「こんなことではいけない」という心の囁きがきっかけだ。自分が身を置く場所として、その手の店が標準になりそうだったので、それはそれでマズいと判断した。

とある店のカウンターでのこと。隣に座っていた一人酒のお父さんが泥酔・熟睡状態で目から涙をこぼしている。おまけになんか唸っている。負け負けモード全開だ。

気付けば、そのお父さんの「負のエネルギー」がこっちに移りそうだったので、慌てて退散した。

一応、それなりの中年紳士を自負する以上、身を置く場所は考えないといけない。明日にも首をつりそうなお父さんが泣いている店はNGだろう。

ホッピーとやきとんに罪はないが、ディープな店のなかには、「気」がダメダメな店もある。「哀愁漂う酒場」と言えばチョット格好良いが、一歩間違うとヤバヤバだ。

「シャチョウサン、スケベダネエ」というBGM?が流れる店ならセーフだ。だから南国ファミリーは貴重な存在だ。

客単価3千円で充分な店だが、注文しすぎてしまう私のお勘定はその2倍、3倍ぐらいにはなってしまう。

そのあたりは富豪だ。

2 件のコメント:

Nami さんのコメント...

はじめまして。
富豪記者さんのブログをひょんなことから発見して以来、いつも仕事中にコッソリ楽しませていただいております。
「南国ファミリー」や「おでん国見」、どんなところか興味があって色々サーチしてしまいました。両方ともとてもお手頃な価格で、ほんわかな感じなお店ですね。機会があれば是非行ってみたいです。
これからも楽しい記事を宜しくお願いいたします。

富豪記者 さんのコメント...

Namiさま

コメント有り難うございます。
二つのお店は、とくに「富豪」っぽくない店ですが、居心地は良いです。感動はありませんが満足はできますよ。ぜひ覗いてあげてください!