2013年9月30日月曜日

旅のススメ


いまどきの若者は旅に出ないらしい。なんとも残念な話だ。若いときの鋭敏な感性で旅先でアレコレ吸収するのは人間形成上大きな意味があると思う。
もったいない。スマホをピコピコいじってるより得るものは大きいはずだ。

オッと、いきなり説教じみてしまった。

旅の効用って何だろう。ふとそんなことを考えてみた。

非日常の世界で刺激を受けること。まあ、一言で言えばそんな感じだ。変化のない日々が続けば人間の五感は鈍ってくる。五感をよどませないためにも旅に出ることは良いことだ。

お仕着せの団体パック旅行でも、友人との乱痴気騒ぎ旅行でも、はたまた新婚旅行、フルムーン旅行でも、知らない場所、馴染みのない場所に身を置けば、いろんな発見がある。その分、脳だって活性化する。

一人旅なら尚更、五感は刺激される。知らない場所で、「何者でもない自分」と対峙するのも悪くない。

肩書きや立場もなく、依存する相手もいない状態で旅をしていると、いやでも五感は鋭敏になる。

別にカッコ良い話ではなく、これ食っても平気かな?、この路地はヤバそうかな?、あと一杯でやめとこうかな等々、どんな場面でも普段より頭が動きだす。

油断しない感覚。これって意外に大事だと思う。

日々の暮らしが平穏にこなせるのは油断する場面がたくさんあるからだ。油断イコール快適である。快適な場面が多い日常こそ幸せだが、それだけでは味気ないのも事実だ。

幸せボケ、快適ボケが過ぎると、いわゆるフヌケになる。フヌケになると本来持っていたはずの五感、すなわちすべての感性がフニャフニャになっていく。

一人で旅に出ると、気ままさにウキウキする一方で、生き物が本能的に持っている適度な緊張感が甦ってくる。視覚、聴覚、嗅覚。すべてが明らかに普段と違うことに気付く。

だから楽しいし、色々なことに気付かされる。そして正しく疲れるから、泥のように眠れることも多い。

大げさに言えば、自分が再生されるような気分も味わえる。私の日常は、煩悩や後悔や懺悔ばかりだから、しょっちゅう再生が必要だ。だから一人で旅に行きたくなるのだろう。
おお、なんかカッチョいいことを書いている感じになってきた。

まあ、再生とか気取ってみても、私の場合、リセット後にまた一から煩悩と後悔と懺悔ばかりの日々を始めるのだから始末が悪い。

さてさて、この秋に予定しているヨーロッパ旅行の計画が徐々に固まってきた。スペインではバルセロナのほか、アンダルシアの名所であるグラナダ周辺に3~4日する予定だ。

アルハンブラ宮殿のオーラに圧倒されて、アラブ街をさまようのが目的だ。異国情緒ドップリの世界で五感を磨き直そうと思う。

きっかけは何のことはない。先日、暇つぶしに観た昔の「火曜サスペンス劇場」に刺激されたせいだ。

謎めいていた主人公の過去が、クライマックスシーンのアルハンブラ宮殿で明らかになって、船越英一郎が大げさにウルウルする展開だった。夕暮れのアルハンブラが美しくて、とにかく行きたくなった。

私の「再生ごっこ」の舞台としては、なんとも贅沢な場所だと思う。

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