2013年9月9日月曜日

一人暮らしエレジー


今のマンション暮らしは間もなく1年。秋が来れば一通りの季節を過ごしたことになる。

若い頃以来の一人暮らしだ。寂しさも時々は感じるが、年とともにワガママになってきた私にとっては気ままな暮らしは快適だ。

「しがないヤモメ暮らし」、「優雅な独身貴族」。同じ境遇でも表現の仕方によって随分イメージは違う。まあ、どっちも正解だろう。

先日、暇つぶしにネットのニュースサイトを見ていたら「一人暮らしが寂しく感じる時」みたいな特集記事を見つけた。

「病気で寝込んでいる時」が、寂しさナンバー1だとか。そりゃそうだ。至極普通のことだろう。先週突然見舞われた「尿路結石七転八倒事件」の際には、救急車を呼ぶまでの数時間、独り身の怖さを痛感した。

心底、一人暮らしの怖さを知った気になって、性懲りもなくまた家庭を持ちたいなどと思ったりした。

我ながら実に単純な思考回路に呆れる。

そうはいっても、不仲な相手と暮らしていると、病気で寝込んでも不快な顔をされたり、迷惑そうな態度をされる悲劇もある。

これはキツい。つくづく一人になりたいと思う。それを思えば、重度の病気とかならともかく、普通の発熱レベルなら一人でウンウン唸っているほうがマシかもしれない。

「一人で食事をしている時」。これも多くの人が寂しさを実感する場面だとか。そんなもんだろうか。私自身、これはまったく抵抗ない。偏屈なのだろうか。

常にひとりメシでは確かに気が滅入るだろうが、時々、誰かと楽しく外食する機会が持てるようなら問題なし。一人気ままな家メシも誰にも気を使わない点で悪くない。不仲な相手とドンヨリ食卓をともにするのなら一人でドンブリをかっこんでいたほうが快適だ。

「映画やドラマを見ても感動を共有する相手がいない」。これも寂しさを感じる場面らしい。

まあ、わからなくもないが、そんなことぐらいで寂しさを感じるようじゃ甘い甘い。
不仲な相手と殺意を伴うチャンネル争い?を展開することに比べればケッケッケである。

そう書いてくると、結局、「不仲な相手」が問題なのであって、「仲良し」と一緒だったら、ひとりより二人が楽しいのが真理なんだろう。いや、それはそれで人間誰しも一人になりたい時間は欲しいし、私の場合には、現在の「お一人様生活」は身の丈?にあっている。

さて、私の場合、どういう時に一人暮らしを寂しく感じるか、よくよく考えてみた。

で、ひとつ思い当たることを発見した。

「カギを忘れて家に入れなくなった時」。

まあ、滅多に起きることではないが、先日、思い切りやらかしてしまった。寂しさを感じるというより憂鬱になったという表現のほうが的確かもしれない。

深夜1時過ぎ、自宅マンション前でタクシーを降りる。酔っ払い完成済みだ。眠い。ポケットを探ってもカギがない。

じぇじぇじぇ!である。

不思議なもので、ああいうハプニングに遭遇すると人間はおかしな行動に走る。着ているものを半分脱ぐほどの勢いで、ひとりで全身をバタバタまさぐってカギを探す。

パンツの中に落ちていないか、靴下の中に挟まっていないか、まさにそんなマヌケな動きだ。

無いものは無い。どうやら会社に忘れてきたようだ。会社のカギも家の中だ。

これまでの人生で通算10年ほど一人暮らしをしているが、家に入れない事態に陥ったのは初めてである。

さてどうするべか。

しばし沈思黙考である。

いや、仮死状態みたいなものだ。眠いし、酔ってるし、絶望?だし・・・。

深夜1時半頃になって、誰かに助けを求めるのもマズい。この辺は紳士である。

というか、誰かの家に転がり込むにしても、ペコペコしなきゃならないし、そこから世間話したり、アレコレするのも面倒である。

で、近所にある某シティーホテルにタクシーで向かう。カプセルホテルやサウナでもいいのだが、それだとチト侘びしそうだから普通のホテルにする。このあたりは富豪?である。

そしてチェックイン手続き。

じぇじぇじぇ!

禁煙の部屋しか空いてないという。そんなのウソだろ?と毒づいたが徒労に終わる。冷静に睡魔とタバコを秤にかける。10秒ほど真剣に悩む。

結果はタバコに軍配。またまたタクシーを飛ばして別なホテルへ。深夜2時過ぎにようやくチェックイン。

シャワーを浴びて一服しながら横になる。自分のアホさにイライラしながら、妙な寂しさとウツウツ感に襲われた。孤立感、疎外感みたいな感じ。地球上のすべてからソッポをむかれた感覚だ。

ガラにもなくセンチな感傷に浸りかけたが、ものの5分で爆睡モードに切り替わって、おセンチモード終了。睡魔に救われた。

というわけで、翌日から自宅マンションのカギの予備を財布に忍ばせるようになった。もう安心である。

ところが、その翌日、帰宅途中に食事に寄ろうとしたところで会社に財布を置いてきたことに気付いた。

じぇじぇじぇ!である。

家のカギは持っていたので、会社に戻るのもかったるいからそのまま真っ直ぐ帰宅。

バカである。

若い頃と違って中年になると変に緊張感が足りない。これからますますマヌケな行動に拍車がかかる年齢だろう。

先日も会社にスマホを置いたまま帰宅しちゃったので、会社にそれを伝える電話をかけようとスマホを家の中で探すというブサイクな行動に走ってしまった。自分のアホンンダラぶりに絶望しかけた。

もう少し緊張感を持って暮らしていかないとヤバいと思う。







2 件のコメント:

miiko さんのコメント...


初めまして。
コメントは初ですが
もう何年も読ませて頂いています。

最近のブログを読んでいますと
「寂しくなんかナイ」とか言いつつも
きっと寂しさが身に染みているのでは?
なんて思って読んでおります。ふふふ

先日の貞子救急車の件もありますし
一人だと本当にこういった時に困りますね…

どうぞお気をつけてお体もご自愛なさって
おひとり様を満喫してくださいませ。

富豪記者 さんのコメント...

miikoさま


コメント有り難うございます。
なかなか鋭いご指摘、いたみいります!?

健康こそ楽しく生きる基本だと今更ながら痛感しています。

今後ともよろしくお願いいたします。