2014年10月3日金曜日

ふるさと納税に学べ


カニとかコメや肉がお礼として送られてくる「ふるさと納税」が何かと話題を集めている。

地方自治体に対する寄附金のうち、2千円を超える部分が一定限度額まで税額控除される制度だ。2千円の実費であとはそのまま税金が安くなるのだから人気になって当然だろう。

寄付する相手はふるさとである必要はない。どこでもOK。各自治体もお礼としてさまざまな特産品などをラインナップ。一種の競争みたいな感じで賑やかだ。

インターネット上でも各自治体の特産品を比較できるサイトが存在する。まさに百花繚乱である。

言い方は悪いが、全国名産のお取り寄せ通販みたいな状態である。

先日、地方創生とやらが御担当の石破大臣が特典がどんどん豪華になっていくことに苦言を呈したそうだ。

税の趣旨から逸脱しているという論調だったようだが、どうも違和感がある。自治体の“企業努力”にお上意識まる出しでケチをつけているようにしか聞こえない。

税金を納めることは国民の義務である。そんなことは百も承知だ。子供だって分かる。そうはいっても、税負担の不公平感、使われ方への不満を表す手段がない。

ふるさと納税制度は、納める先を自分の意思で選べるという意味で画期的な制度である。わけの分からない使われ方をされるより、故郷に納めたい、好きなエリアに納めたいという希望が叶えられる。

もちろん、景品目当ても多いだろうが、そういう納税者の見えざる意思が働いているのだから、ある意味、不満解消のちょっとした受け皿でもある。

お国を預かるエラい人は、そうした納税者心理にケチをつけるより、あえて国以外に納めようという風潮が強まっていることを謙虚に認識すべきだろう。

納税に対して特典などというと、不真面目だという印象を抱く人がいる。はたしてそうだろうか。特典がない方が不自然だ。

いまの時代、どんな分野でも特典の提供で顧客満足度を高めている。お客様を大事にする目線がなければ何事もうまく進まない。

国だって自治体を見習って納税者への特典を考えたっていい。いや、考えるべきだろう。その昔は高額納税者は国会議員(貴族院議員)になれたし、一定の納税額がある人だけが選挙権を持つ時代だってあった。

そこまで大げさな特典を考える必要はないが、いくらだって「お礼」は考えつく。

国宝の特別鑑賞会に招待するとか、迎賓館でパーティーを開催したっていい。潜水艦乗船体験とか、戦闘機や戦車にちょこっと乗れますとか、流氷観測飛行に混ぜてもらえるとか、いくらだって楽しい?企画は浮かんでくる。

なんだったら政府系金融機関から特別な金利で借り入れが出来るとか、長年高額納税を続けている人には抽選で1千万円がキャッシュバックされるとか、政府専用機で遊覧飛行が出来たり、東京オリンピックでは優先席が割り当てられたりなど、真面目に納税して良かったと思ってもらえるサービスを考えたってバチはあたらない。

そんなことを言い出すと、金持ち優遇というお決まりの批判が起きるだろうが、人より頑張って人より多くの税金を納めた人に一切感謝しない現実そのものが「金持ち冷遇」である。

どんなに頑張って税金を納めても、感謝状一つ出す発想すら出てこない現状こそがよくよく考えればおかしなことだと思う。

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