「あそこに座ってるのが富豪記者よ」
「どれどれ。葉巻くわえているアイツか。ふーん、なるほどねえ」
とある夜、銀座の某クラブで、そんな会話が交わされたらしい。調子よく呑んでいる姿を見知らぬ人に観察されていたようだ。小っ恥ずかしい。
シュっとした表情で田村正和ばりにクールな雰囲気を漂わせていたのなら良いのだが、そんなはずはない。たいていはスケベ満開の顔で過ごしているから実に恥ずかしい話である。
このブログも8年目である。時々、クラブ活動の話も書くので、そっち方面の情報を探している人が割とマメに覗いてくれる。有難い限り。
飲食店からも時々、お褒めの言葉をいただく。このブログを読んだお客さんが訪ねてくることがあるそうで、ちょっとばかし「社会貢献」している気分になる。
好き勝手な雑文といえども、自分自身の行動記録という便利な側面もあって何だかんだと辞めずに続いている。
ラーメンばかり食べている友人が、食べ歩いた歴史をブログ形式にまとめている。センスの無いネーミングはさておき、本人としては、これから食べるラーメンが過去に既に食べたものかを簡単にチェックできて便利なんだとか。
確かに中年になると、自分の行動に関する記憶が日に日に薄らいでいく。記憶を勝手に美化したり、改ざんしたり、それ以前に時系列がメチャクチャになってくる。
「いつかキミをここに連れてきたかったんだよ」。あるレストランで、既に連れてきたことがある女性にそんな発言をして怒られたこともある。
いつか行きたいと思っていた店が過去に訪問済みの店だったこともある。あと10年もしたら着実にボケていそうで恐い。
さて、今日は、初めて訪ねた店の話。銀座の日本料理「三亀」である。不倫小説『失楽園』にも登場した人気のお店だ。
銀座の数寄屋通りに構える店だ。私は10年、いや20年以上前から何となくこの界隈が好きで、このブログでも7年前に「数寄屋通り」を取り上げた。
「三亀」は気軽なカウンターもあって、特別かしこまった日本料理店ではない。そんなに敷居が高いわけではなく、玄関周りの風情も入りにくい雰囲気ではない。
「モノのわかった大人がちゃんとした和食を食べたいときに肩肘張らずに使える感じの店」である。
そういう路線が大好きな私だが、なぜだか一度も入ったことがなかった。店の前はここ10年の間に数百回は通り過ぎたはずである。
で、初めて行ったみた感想は、「とっとと通えば良かった」である。居心地は良いし、お店の人の感じも良いし、食べ物はバッチリだったし、長年、素通りしてきたことが残念である。
完璧にダシの風味が活かされている煮物なんかを味わっていると、つくづく日本料理の美味しさを痛感する。居酒屋や小料理屋が頑張っても簡単には届かない境地だ。
もちろん、コストパフォーマンス的には万人ウケする店ではない。でも、ものは考えようである。よく分かんない味の西洋料理屋でよく分かんないワインを頼まされて、最後までよく分かんない気分でウン万円も払うのなら、正統派日本料理に軍配を上げたい。
とんがって気取っちゃったカッチョイイお寿司屋さんで、よく分かんないウンチクを聞かされてウン万円も払うなら、ドッシリ落ち着いた王道の日本料理を味わっているほうが嬉しい。
「三亀」でノホホンと飲み食いしている時間は、真っ当な料理旅館で美味しい夕飯を食べているような感じだった。実にホッコリした気分に浸れた。
この日は、コースではなく一品料理をあれこれ注文してみた。全部ウマかったので、コース仕立てで全部まかせるのも料理旅館の夕食みたいで悪くないだろう。
カウンターの中の店主は腰掛けているせいで客と目線の高さが同じ。その座った位置がお燗番を兼ねるポジションだから、ゆったりと湯煎する姿を眺めていると、こっちもゆったりした気分になる。
選ばせてくれるぐい呑みには、さりげなく人間国宝の作品も混ざっている。ぐい呑み集めに血眼になった時期もある私にとっては天国みたいな話だ。
ちょこちょこ通ってみたいと思った。
ついでにいえば、数寄屋通りの外れにもう一軒、これまた10年以上前から気になっていたのに訪ねたことのない料理屋さんがあるので、そっちも覗こうと決意した。
しばらくサボっていた「初めての店探検」。やはりマメに動かないと自分のいろんな感覚がなまってしまう。
そこそこ頑張ってみよう。
2 件のコメント:
この度は私のブログをとりあげていただき誠にありがとうございます。
当館も富豪記者様のブログに負けないくらいの高品質な情報提供を通じ、ますます皆様に喜んでいただけるページ作りを心掛けていく所存です。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
チンポ様、いや、珍宝館さま
気の利いたコメントありがとう。。。。。。
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