2016年5月25日水曜日

銀座「久保田」 飲み比べ


相変わらず外食ざんまいの日々だが、最近は知った店ばかりに出没して新規開拓にあまり興味が湧かない。こんなことでは自分の感度が鈍りそうである。

というわけで、久しぶりに初訪問の店に行ってきた。銀座8丁目に昨年オープンした「久保田」がその店。

日本酒の久保田である。酒造メーカー直営の人気店らしい。ありがちな日本酒居酒屋かと思っていたのだが、ちゃんとした日本料理店という感じ。

とはいえ、照明がかなり明るめで、しっぽり系ではない。不倫関係のカップルには似合わない感じ。高級和菓子店が経営するカフェのようなモダンな雰囲気。

オジサマ族よりも余裕のあるマダムがターゲットなのだろうか。日本酒がウリの店なのに禁煙だったからガッカリ。


いつの頃からか、ウマい日本酒の代名詞になったのが久保田である。私が日本酒を勉強?していた25年ほど前には有名ではなかった。

やはり企業努力とイメージ戦略と世間の風向きが大きいのだろう。30年以上前に多くの人が熱狂した越乃寒梅がちっとも話題にのぼらなくなったように四半世紀も経つと世間の常識は変わる。

私が日本酒と真面目に向き合ったのは、社会人になって割とすぐの頃だ。国税庁や国税局の記者クラブに出入りしながら「鑑定官」という人々と仲良くなったことがきっかけ。

お酒は税金の塊という側面もあって、監督官庁は国税庁である。全国の国税局に酒関係の鑑定官室がある。そこでは一般的にイメージされる税務職員ではなく、農大を出たような技官の人達が日々活動している。

鑑定官室の総元締めのような醸造研究所(広島)も当時は醸造試験所という名称で都内にあった。筆の立つ技官に依頼していた酒のコラムの担当編集者として暇があれば一杯ひっかけに、いや、打ち合わせに行った。

査察や資料調査課あたりの猛者達にあしらわれて取材が出来なかった時でも鑑定官の皆様は優しくしてくれた。若造の私が知らない酒をしょっちゅう味見させてくれた。

ヘロヘロになりながら様々なことを学んだ。本醸造だ、吟醸香だ、精米歩合だ、等々、身体で?覚えた。実験用のようなスペシャルな特製大吟醸のウマさに驚いたこともある。

随分と話が逸れてしまった。

で、若い頃に学んだのは、日本酒は思っていた以上に劣化が早いということ。開栓したらさっさと飲むに限る。これが大原則。当たり前なのに、なかなか守られていないのも現実だろう。

シケた飲み屋でいつ開けたのか分からないような一升瓶の底に残った酒を飲まされたってウマいはずはない。貴重な銘柄だろうが幻の酒だろうがそんなことは関係ない。時間が経ったら味は変わる。

一部の店ではグラス売りの酒を注ぐたびに一升瓶の空気抜きをして保管している。そんな「シュボシュボ管理」が徹底されているのが理想だが、なかなかそこまで手が回らないのが実情である。

そういう点では酒造直営の「久保田」はバッチリだろう。いかに美味しく飲ませるかという部分に細かく配慮しているから日本酒好きの人だったら素直に楽しめると思う。


萬寿や千寿など様々な種類がある久保田だが、この店では少しずつ飲み比べできるセットが用意されている。

一通りのラインナップの飲み比べだけでなく、純米酒飲み比べ、吟醸酒飲み比べなど、油断していたらベロベロになりそうだ。

料理は懐石コースが中心だが、単品メニューも豊富に用意されている。酒に合うようなものばかり。ウッシッシって感じだ。


新潟の銘酒だから料理もそっち方面の郷土色が強い。珍味類も豊富で味付けも丁寧。やっつけ仕事のような居酒屋的な店とは一線を画している。

魚貝中心だが、肉類も酒粕漬けの焼物があったりして飽きさせない。繁盛しているのも納得だ。


すっかり高値が当たり前になったのどぐろもかなり立派なサイズ。焼き方も丁寧でこれなら奮発したくなる。

ウマいツマミにウマい焼魚にキチンと管理された日本酒である。コロっと酔っ払ってしまう。

保冷温度を変えた「萬寿」を飲み比べるセットが運ばれて来た頃には「何でもかんでもウマいなあ~」状態だったから違いがよく分からなかった。10℃と20℃それぞれの違いを楽しめるらしいが、結論としては両方ともウマかったとしか言えない。

使い勝手の良い店だと思う。男同士でも女同士でもデートにも使えそうである。

つくづく、明るすぎる照明とシッポリ感が感じられない雰囲気が残念だと思う。

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