2016年7月27日水曜日

焼鳥問題 葡萄屋


焼鳥と一口に言ってもスーパーで売っているベトベトの甘いタレをまとったヤツから銀座あたりでワインを主役に1700円ぐらい取るヤツまで様々である。

基本的には安くて気軽に食べられるものだが、安すぎてもマズい。ここが問題である。

ひとり気ままに大衆酒場で安酒をあおっている時に出てくる焼鳥は「フツー」である。マズいとまでは言わないが、ウマくはない。



幸せだなあ~とつぶやくぐらいウマい焼鳥を食べるには、それなりの店に行く必要がある。

ただ、「焼鳥の気分」だから豪華だとかオシャレだとかそんな要素は不要である。さりげなくウマい焼鳥が食べられれば充分である。

エラそうな親父が威張ってる店はイヤだし、かといって、さもこの店は特別なんだぞ的アピールがプンプンの店も何となく居心地が悪い。

普通にウマい焼鳥が食べたいわけだから、ソムリエが得意になってワインを語るような店もイヤだ。ワインに無理やり合わせたがる昨今の風潮はちょっとウザい。

たかが焼鳥、されど焼鳥である。わがままなシングル・オジサマとしては「頃合いの店」に行きたいわけだ。

頃合いの店といっても様々だ。20代、30代のオニイチャン達と私が同じ感覚であるはずはない。あまりカジュアルで大衆的に過ぎる店もビミョーだし、騒がしすぎる店も困る。

安くてウマいのは大歓迎だが、実際には、そういう店は予約が必須だったり、ぎゅうぎゅう詰めで息苦しかったり、食通らしきオッサンが哲学的な顔でうなずいていたり、なかなか厄介である。

大衆的過ぎず、かといって大袈裟な感じでもなく、予約なしでも入れて、常連が我が物顔で騒いでいることもなく、肝心の味も間違いない店。こういう路線の店は見つけにくい。

なんだか前振りが長くなったが、銀座一丁目というか有楽町の「銀座インズ」地下に構える「葡萄屋」は、そんな私の望みをかなえてくれる店だ。

落ち着きのある民芸調の造りで、席数も多い。無愛想ではないが、物静かに黙々と焼き場に立つ職人さん。お運びのおばさん達もこなれている。

やたらと威勢の良い掛け声ばかりが耳障りなイマドキの飲食店をうっとおしく感じる私にとっては居心地が良い。



この画像はこの店の名物「鳥味噌」である。先月、このブログでも紹介した。店でも買えるし、ネットでも買える。素直に絶品である。店に行くとこれが突出しで出てくる。

酒の品揃えが凄いわけでもなく、奇をてらったメニューがあるわけでもない。かといって気の利いた一品料理もあって、のんびり過ごすには丁度いい。



鴨のタタキである。他のものより高い値段設定だったからあえて注文してみた。残念ながら安い鴨がウマくないのは世の常である。変な言い方だが、高い方が期待できる。

高いといっても、それなりのお寿司屋さんで大トロを頼むことに比べれば、ボリューム、味わいともに満足感がある。

肝心の味だが、旨味たっぷりでウホウホニンマリするレベルだった。亡き大橋巨泉さん風に言えば「ウッシシ」である。

つけダレの味も最高だった。ワインが苦手なくせに、ついつい赤ワインを頼んでしまうほど鴨鴨しい味を堪能できた。



こちらは鶏レバの燻製だ。スモーキーかつネットリで酒のアテにバッチリである。こういう1品があればグダグダと飲める。突出しの鳥味噌、鴨のタタキ、レバの燻製。これだけで充分だと思えるほど。

もちろん、串焼きも正しく美味しい。肉質、焼き加減ともに上質だと思う。全体を通して感じるのは丁寧だということ。これは大事な要素だ。



こちらはシメの鳥茶漬け。ゴマだれベースのタレで食べて良し、ダシをかけて混ぜ混ぜ状態で食べて良しというパターンだ。

サラリーマンが毎日のように気軽に立ち寄れるほど気軽な感じでもないが、かといって、敷居が高いわけでもない。大人が時々ふらっと暖簾をくぐるのに適した店だと思う。


どことなくヨソ行きの空気が漂う銀座と、かしこまらずに気楽な有楽町という街の特徴がちょうど良く混ざり合った頃合いの良いお店だと思う。

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