2019年6月14日金曜日

銀座、六本木とは違う世界


東京で大人の街といえば銀座だ。職場が池袋にあった反動?で30代の頃から銀座にはずいぶん足を運んだ。

飲食店に関しても「真っ当な店」が揃っているから、背伸びしていた30代の頃から色々な店を覗いてきた。常連になった店もいくつもある。

良い店に共通するのは矜持だ。銀座という街に店を構えて長い間勝負しているという自負が大きく影響している。

そんな銀座ファンである私が京橋に拠点を移してまもなく2か月。銀座通いと同じぐらい京橋界隈を探索している。

大衆店も楽しいが、少し凜とした空気が漂う店で飲み食いしていると、お江戸の中心にいることを実感できて気分が良い。

こちら界隈のまっとうな店も「矜持」を感じさせる。東京のど真ん中、はたまた江戸の名残りを大事にしているような自負を感じる。

京橋駅近くにある「京すし」もそんな店だ。ネットの評判が高いことは前もって知っていた。ただ、クチコミのすべてが名物らしき昼のメニューに集中していた。


夜は穴場かも知れないと思い、ふらっと訪ねてみた。初めて行ったときは運良く混雑していない日で、ゆっくり過ごせた。

仕事を施した江戸前の仕事がしっかりしてあるのが特徴だろう。奇をてらったところはない。

おまかせコースを押しつけられることもなく、普通に好きなものを好きなペースで楽しめる正統なお寿司屋さんだ。

大将も自然体の接客で居心地が良い。酒のメニューとともに、さほど数は多くないが、一品料理のメニューもある。


刺身の他にいくつかツマミを注文。たらこの西京焼きという酒のアテには抜群の一品もあった。

握りもキッチリと正統派の江戸前。酢締め、昆布締めの加減も安定しており、シャリも変に凝りすぎた感じはなく、握り自体の加減も良い。

カウンター席の間隔もゆったり。個室か小上がりもあるようだが、動線の関係でカウンターからは見えない造り。


まっとうな街場のお寿司屋さんをちょっと高級路線にして、凜とした雰囲気を加えた感じと表現すると分かりやすいかも知れない。大人が時々シッポリ過ごすには良い店だと思う。

まだ2回しか行っていないが、肝心のお値段は、銀座の似たような雰囲気の店で似たような食べ方をするのに比べて、3分の2、いやもう少し安い。適価だと思う。

お次は京橋より東京駅に近い八重洲側にある割烹「嶋村」を覗いてみた話。


なんでも江戸末期からある老舗で、明治の元勲も訪れた由緒ある店だとか。とはいえ、格式張った雰囲気ではなく、ちょうどいい感じの和食屋さんと呼びたくなる雰囲気。

歴史があるのに仰々しくないというパターンは私にとってはドンピシャである。肝心のお味の方は「ちゃんとしている」という言葉がピッタリだろう。

上の画像は名物だという「うずら椀」、内臓を取ったうずらを骨ごと細かくミンチにした一品。お吸い物の味が実にキチンとふくよかで、うずらを食べ進むうちにその風味が溶け合って味に変化が付くのも楽しい。



こちらは鯛のぶつ切りをポン酢で食べる一品。薬味がこれでもかってぐらいトッピングされていて驚いたが、混ぜあわせて味わうと絶品。最近、野菜嫌いのくせに薬味にハマっている私にとっては最高だった。


天ぷらのレベルもチェックしてみようと(偉そうでスイマセン)、稚鮎とメゴチとキスの盛り合わせを注文。これまた文句なし。

すべてが実に丁寧に作られていた印象だ。こういうところが中央区界隈の老舗たるゆえんだろう。間違いない味とでもいおうか。

そんな店なのにタバコも吸えちゃうぐらい敷居は高くない。お値段もどうでもいい居酒屋の2回分といったところ。内容を考えたら決して高くない。

こういう店が簡単に見つかるから、こっち方面の散策がもはや趣味といえるレベルになってしまった。

意欲に反比例して肝臓はバテバテである。

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