2020年2月7日金曜日

バカには敵わない


交渉事において大事なのは理論武装だろう。知識の多い方が有利になるのは当たり前の話。

とはいえ、こんな常識が通用するのは「理屈対理屈」で交渉が進む場合に限っての話だ。

どんなに理論武装してもどんなに知識が豊富でも敵わないのが「感情的かつ無知な人」である。

弁護士さんによると、法律絡みの紛争時に交渉当事者がインテリであればあるほど、話を進めやすいという。

用語ひとつとっても理解が早いし、なによりも法律などの趣旨を感覚的に知っているため要点を絞り込むのが比較的簡単だとか。

これに対して、日常生活のなかで法律的なことにまるでタッチしない人々の中には「理屈より感情がすべて」というパターンが少なくない。

たとえば相続を例に取ると、遺言が公正証書だろうがお構いなし。「なんでアイツの方が多い」、「オレは認めない」、はたまた「こんな遺言でっち上げだ」ときりがない。おまけに心底そう思っているから厄介である。

公正証書の意味や法的位置付けを理解している人であれば、たとえ納得できなくても「公正証書まで用意されたら仕方ない」という意識が心の奥底に芽生えがち。

直情型の人の場合、公証人だろうが弁護士だろうが民法だろうが、雨が降ろうがヤリが降ろうが関係なし。「絶対ダメ」の一点張り。

結果、法律的には正当な立場であるはずの相手方が白旗をあげてしまう。まさに摩訶不思議な結末になったりする。

私もこれまで裁判を始めいくつも紛争事を経験してきた。法学部を出て、法律的な言葉が飛び交う環境で仕事をしてきたから、そういう課題にうまく対処できそうなものだが、実際は逆である。

しょせんは中途半端な経歴だから、いわばインテリもどきである。中途半端に裁判官や弁護士の言い分に納得したり頷いたりしちゃう。簡単に言いくるめられてしまうタイプだと思う。

その昔、不動産絡みのちょっとした揉め事の当事者になった際に、理屈も常識もいっさい通用しない無知な人と対峙してヘトヘトになったことがある。

あの時に学んだのは「無知は最強」という困った真理である。イヤミでも何でもなく感心した。「無知を前面に押し出して感情のまま一方的に主張し続けること」こそが最強の交渉術だと実感した。



随分と前振りが長くなったが、安倍首相の処世術?はそんな最強戦術に近いものがあるような気がする。

モリカケ問題にしても「桜を見る会」にしても理屈の外に身を置くことで逃げ切っている。

理屈対理屈という土俵に上がらないわけだから、攻める側も思うように戦えないというヘンテコな事態に陥っている。

思想家の内田樹さんの評論を読んで、つくづく安倍政権の強さというか、フニャフニャぶりの実相をみたような気がした。

安倍首相の振るまい方を愚者戦略とみなす内容だ。とても分かりやすい例えを用いた考察なのでゼヒ読んでいただきたい。



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