今更ではあるが先日のジャニーズ事務所の記者会見のことを書く。かの少年隊で飛んだりはねたりしていたヒガシが年商1000億円とも言われる会社の社長になった。昔の紅白で司会の加山雄三から「仮面舞踏会」を「仮面ライダー」と曲名紹介されたのも今や昔である。
いろんな方向からの質問攻めに黙り込まずに答えていた姿が印象的だった。ああいう場で何も読まずに淀みなく答えるのはなかなか難しいはずだ。話している内容はフワフワと抽象的で、かつ精神論ばかり。まあ、政治家の答弁と同じで何となくそれっぽく答えることが彼の役割だったわけだからソツなくこなした点には感心した。
そもそもジャニー喜多川という創業者個人の犯罪の話だ。本人は死んじゃっているわけだし、単なるタレントだった新社長さんや副社長が集中砲火を浴びるのはちょっと気の毒だとも言える。
いずれにせよ、社名は変えない、ジュリー社長は代表権を持ったまま役員に残る、おまけに彼女が株を100%持ったままという部分を見れば、単純に何が変わったのかよく分からないのが普通の感覚だろう。
それにしても今になって一気に多くの企業がジャニーズタレントを使ったCMなどを取りやめる動きを見せているのは凄く気持ち悪い。それこそ「何を今さら」って感じである。周知の事実だったわけだから急にコンプラ大明神みたいな態度を取り始めるのはいやらしい感じだ。
出演タレント自身の不祥事ではないのにキリがない話に思える。そうした企業はよほど清廉潔白で世間から非難されることは何一つ無いのだろう。たいしたもんだ。ジャニーズ事務所の肩をもつ気はサラサラないが、そんなイマドキの風潮が何だか気味悪い。
ジャニー氏の変態話などある意味周知の事実だったわけだから、まさに手のひら返しだ。それなら今までジャニーズタレントを起用してきたことを謝罪するぐらいじゃなきゃウソだと思う。
さてさて、100%株主である代表取締役が別にいる状態で新社長は何が出来るのだろう。会社組織の現実を考えたらそういう話でしかない。非上場会社である。絶対的オーナーが代表権を持って常勤役員にいるわけだから単純に考えてその会社は紛れもなくオーナーの会社である。すべての重要事項はオーナーの意向でしかない。組織人なら誰だって分かる理屈だ。
既に亡くなっている創業者の犯罪でその会社が損害を被り莫大な補償をする事態になったら、普通に考えて会社としては創業者の遺産を相続した遺族に賠償請求をするのが当然だと思う。
今回の騒動の場合、ジャニー氏の犯罪に伴う賠償を会社が負担するのなら、ヒガシ新社長は相続人であるジュリーさんに賠償請求を起こすのがスジだろう。
仮にそうしたくても遺族に賠償請求をするという内容が取締役会で決議できるのか、請求相手は自社の代表取締役であり100%株主である。実際にはありえない話である。
性犯罪以外のいわゆるメディア側の「忖度(そんたく)」の話はまた別問題だ。一般的に力がある会社なら協業他社を敵対視して自社に有利になるようあの手この手で努力する。どんな業界でも同じ。競合する相手を蹴落とそうとするのは営利企業なら当たり前の話。
メディア側が自分の都合を考えてジャニーズ事務所にもろもろ忖度するのも言ってみれば自由ではある。あくまでタチの悪い性犯罪を知っていた上で報道や検証を放棄した部分が問題であって、追及されるべきはその体質だ。
広告などで大スポンサーになってもらっている企業の不祥事を報道することに及び腰になる構図と同じ。原発報道で煮えきらない報道にとどまる現実も東京電力というスポンサーへの忖度でしかない。
大手メディアはNHK以外すべて純粋な営利企業である。持ちつ持たれつの構図は報道機関を名乗るメディアの限界という話でもある。
なんだか話がまとまらなくなってきた。
それにしてもあの会社の株は100%ジュリーさんが持っているのが凄い話だ。配当はいったいどのぐらいなのか、そもそも役員報酬はどんだけ凄いのかなどと下世話な興味が湧いてしまう。
ちなみに今のような窮地に立たされたら私だったら責任を取る格好で役職すべてを辞任して全株売り払って逃げ出しちゃうと思う。そのほうがよっぽどラクだ。
年商1000億円の会社である。はたして全株を手放そうとしたらいくらで買い手がつくのだろう。想像もつかない。あれだけの人材、コンテンツを抱えて莫大な収入が間違いなく見込まれるわけだから買い手はいくらでも見つかるはずだ。
M&Aの世界では会社の純資産の他にのれん代をどのぐらい見込むかが売買価格のカギを握る。ジャニーズ事務所が年商1000億で仮に営業利益が150億円だった場合、のれん代は営業利益の5年分ぐらいで見積もってもおかしくないだろうし、不動産などの純資産もかなりあるらしい。何よりエンタメ業界で独自のノウハウもあるわけだから企業価値は相当なもの。そう考えたら少なくとも1000億円ぐらいにはなるのだろうか。
「もしジャニーズ事務所が上場したら時価総額は2000億円」という読み物を見たこともある。もろもろの数字を分析して弾き出していたみたいだからマト外れでもない数字なのだろう。
仮に1500億で売却したと仮定すると税金は分離課税の譲渡所得だから2割程度の負担で済む。手取り1200億円である。どんだけ遊んで暮らしても死ぬまで使い切れない金額である。
大王製紙の御曹司経営者が会社のカネをギャンブルで使っちゃって刑務所行きになった事件ではその金額のデカさが話題になったが、それでも溶かしちゃった金額は100億円である。そう考えるととてつもない金額だ。それもたった一人の株主個人に入るわけである。
比べる対象がトンチンカンですいません…。
というわけで話がとっちらかってしまった。
あれだけの高収益企業のオーナーだったらイバラの道を歩むよりとっとと大金を手にして隠棲しちゃいたくなるのが普通だと思うのだが、それを普通だと思っているところが私が富豪になれない理由なのかもしれない。
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