2023年9月27日水曜日

胸キュン


「趣味がJKみたい」。最近、大学生の娘からそんな事を言われる。若者が観るような映画にハマってオイオイ泣いている私の純情ぶりが娘にはまるで女子高生みたいでブキミに映っているようだ。

 

以前、帰宅した際に「頬っぺたにラメが付いてるわよ」と指摘され、以来、ウチでは時々「ラメ男」と呼ばれている。いわば「ラメ男なのに趣味が女子高生みたいなオジサン」である。ヘンテコである。

 

だいぶ前に全国の高校生が涙した映画「君の膵臓が食べたい」に感激して以来、若者の胸キュン映画をナゼかよく観るようになった。我ながら変だと思う。

 



先日は、今年始めに若者界隈で評判を集めたNetflixの配信ドラマ「初恋」にドハマりしてほぼ一気に観てしまった。これまた感涙の極みだった。主人公の高校生時代を演じた八木莉可子という女優さんが何とも素敵だった。

 

Netflixの配信ドラマといえば「聖域」という相撲道を極めていく不良少年の成長物語もとても面白かったが、胸キュンを求める私としては「初恋」のハラハラドキドキ感のほうが堪らなかった。

 

純情、純愛という私にとっては無縁になってしまった大昔の感覚を今になって切なく懐かしがっているのかもしれない。これもまた人生を振り返る年代になってきた証なのだろう。

 

青春胸キュン系ではないが、「そしてバトンは渡された」という最近の映画も素晴らしかった。青春ジャンルとは違うがこれもまた胸キュン映画と言える。永野芽郁ちゃんが実に可愛かった。大森南朋や市村正親がいい味を出していてなかなかの名作だと思う。

 


単なる恋愛映画よりもちょっとファンタジーがかった作品に昔から惹かれる。悪くいえば奇天烈な話に妙に引き込まれる。

 

若い頃はトムハンクスが名を売ったB級コメディみたいな奇天烈系にハマった。愛した彼女が実は人魚だったという「スプラッシュ」、子供の頃に戻りたいと願っていたらホントに子供になってしまった「ビッグ」などは何度も観た。

 

デパートのマネキンが人間に変身するその名も「マネキン」という奇天烈ラブロマンス映画も大好きで今もスターシップが歌った主題歌「Nothing's Gonna Stop Us Now」をしょっちゅう聴いている。

 

それらの洋画は1980年代の作品だ。時代の空気も相まって能天気に楽しめてちょっぴりホロっとする名作ばかりである。

 

その後の私の趣味を決定的にしたのが1990年の洋画2本だ。「ゴースト・ニューヨークの幻」と「オールウェイズ」である。両方とも主人公が死んじゃって生き残った彼女を必死に守る奇天烈なラブストーリーである。

 



単純明快な私はこういう映画を見ると妙に感情移入してしっかり泣く。正直に言えば号泣する。ちょっと変かもしれない。

 

要は「死んじゃったけど成仏しないで誰かのもとに出てくる」みたいな作品は総じて私の好みである。浅田次郎原作、高倉健主演の「ぽっぽや」、東野圭吾原作、小林薫と広末涼子の「秘密」あたりの日本映画も泣けた。

 

やはり東野圭吾原作の「ナミヤ雑貨店の奇跡」、浅田次郎原作の「地下鉄(メトロ)に乗って」あたりも本来ありえない奇天烈話なのだが、そこが私にとっては魅力的だった。

 

アニメ映画「君の名は」もそっち系の話だと聞いたので今年になってようやく観てみたのだが、しっかり泣いた。子供が観る映画だろうとまったく興味がなかったことを後悔したほどだった。

 

「死んじゃってる」「タイムスリップしちゃう」。こういう要素をうまく織り込んだ映画だと私の涙腺は崩壊する。現実から遠すぎるから逆に感情移入しちゃうみたいだ。

 

そんな私をまた大泣きさせた映画に出会った。昨年暮れに公開された「月の満ち欠け」がそれ。大泉洋と目黒蓮、有村架純が熱演している。

 


メメと架純ちゃんの切ないラブシーンに泣き、大泉洋の切なさに泣き、この30年ぐらいの軌跡を時代を交互に描きながら感動の終盤に持っていくストーリー展開にすっかりやられてしまった。

 

親子の愛、夫婦の愛、恋人への愛がすべて詰まっていた。悪役なんて一人しか出てこない。上で紹介した映画「そしてバトンは渡された」で最高の善人役だった俳優だけが悪者。とにかく私には刺さりまくる作品だった。

 

気付けば50代も半ばをとうに過ぎ、純愛だの夫婦愛だのとはすっかり無縁になった私だ。そんな環境に身を置いていると、映画が描く美しく尊い人間の絆みたいなものに憧れにも似た気持ちを抱くのだろう。ちょっとセンチな気分になる。

 

いま思えば夫婦愛はさておき、若い頃の胸キュンな純愛は人生経験の中でも貴重な時間だったと痛感する。あんな気持ちになるのは来世までお預けである。

 

もし私が池に斧を落として拾ってくれた神様に願いを一つだけ叶えてやろうと言われたら、きっと純愛の気持ちを感じさせてくれと願うはずだ。きっとそうする。

 

いや、やはり「どぶろっく」の歌と同じように「大きなイチモツをください」と頼んでしまうような気がする。

 

以上です。

 

 

 

 

 

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