2024年7月29日月曜日

安い店、高い店


夏バテ防止のためにしっかり食べるせいで毎年この時期は太ってしまう。夏に痩せちゃう人の話を聞くとちょっとうらやましい。水分を多めにとるから水太りの可能性もある。

 

すし通を気取って生きてきたせいで回転寿司をナナメから論評しがちな私だが、進化した回転寿司の形態は今では日本の食文化を語るうえで欠かせないぐらいになった。国民食と言えるのかも知れない。

 

そうは言っても子連れで行ったり、飲んだ後のついでに立ち寄ったりいちいち言い訳みたいな状況を作りながら店に足を運ぶのが私のダメなところだ。

 

先日、酒は飲みたくないもののジャンクな寿司を腹いっぱい食べたい気分になって夕飯の時間に一人堂々と?回転寿司のノレンをくぐった。京樽が経営する回転寿司チェーン「みさき」の人形町店である。

 

自宅から徒歩圏というのが有難い。こちらは赤シャリを使っていることが自慢みたいだ。回転寿司で一番ダメな部分がシャリだからこの部分がマトモなことは素晴らしい。回らない寿司屋でも大衆店のシャリはヘロヘロなことが多いが、こちらはその点で安心できる。

 

お茶の粉を湯呑みに入れてカウンターにある蛇口からお湯をいれる。ビールすら飲まずに黙々と寿司を食べるのは学生時代を思い出して気合が入る。

 

アレコレとメニューは揃っているが、やはりこういう店では邪道系こそ魅力だ。コーンマヨ、ツナ軍艦、エンガワを名乗る謎の深海魚など普通のお寿司屋さんでは注文できない品々がちょっと幼稚なオジサマの心を幸せにしてくれる。

 

トロタクならぬツナタクという巻きモノも美味しかった。ツナとたくあんである。ツナ缶とたくあんを用意すれば自宅でも簡単に再現できそうな点も良い。

 

合間にはちゃんと本マグロも何度か注文する。オニオンスライスとマヨが乗ったサーモンなんかも食べてみた。普段はお寿司屋さんで必ず頼む青魚や貝類は何となく怖いから回転寿司ではパスする。マグロとジャンク系で充分楽しい。

 


 14皿で終了である。昔は20皿ぐらい余裕だったがシャバダバになったものである。ただ、3巻盛りや巻物系もいくつも頼んだから単純に28貫ではない。普通の握りに換算したら33貫ぐらいだろうか。

 

出前の1人前が10貫程度だからそう考えると歳の割には健闘したほうかもしれない。それでもたかだか14皿だと何かに負けたような残念な気持ちになった。

 

これだけ食べても5千円弱だった。回転寿司の一人利用としては豪勢なのだろうが、とりあえず寿司をとことん食べてこの値段はやはり安い。ロスのドジャースタジアムだったらデカいホットドックとコーラだけでそのぐらいは必要らしい。

 

さて、安い店は有難いが、高くても上質な満足感を味わうことも大人の暮らしには必要だろう。これはこれで心を豊かにしてくれる。ちょっと強がった言い方だ。ホントは財布がちょっとツラい…。

 

久しぶりに銀座の「まかない・きいち」を訪ねた。大ざっぱに言えば高級居酒屋というジャンルになるのだろうか。何を頼んでも素材が上質で味にも間違いがない。メニューにはいっさい値段表示がないあたりが銀座ならではである。

 





マグロの赤身やヒラメ、シマアジのごま醤油和えにイクラの醤油漬け、馬のレバ刺しあたりを肴に山崎ハイボールをグビグビ飲む。どれもハズレ無しで美味しい。

 

テーブル席だとタバコもOKなのが今どきにしては有難い。銀座8丁目ならではの大人向きの店はこうであって欲しい。

 

肉焼売もアサリの酒蒸しも抜群だった。アサリも滅多に見ないような大振りなものを使っていた。のどぐろもホンモノだった。ムツ系のそれっぽいシャバダバな魚をのどぐろと称して売る店もあるが、この日の立派な一品は身肉もたっぷりで大満足。

  

この店は元々千葉で人気のラーメン屋さんのオーナーが開いたとのことでシメのラーメンも何種類か用意されている。それもハーフサイズや41サイズも選べるのが有難い。私のおすすめは鯛ラーメンだ。飲んだ後のシメにこれほどバッチリなラーメンはそうそう無い。

 



ついでに鯛スープかけご飯も注文。生姜風味が聞いた鯛ダシの優しく滋味あふれるスープが身体をリセットしてくれるような感じがする。安い店ではないのにいつも混んでいるのも納得だ。

 

で、お勘定してビックリ。さすがに高い。覚悟していた値段の3割増しだった。冒頭で書いた回転寿司での食べ方を10回繰り返しても全然足りない。あの回転寿司で300貫以上食べてもこちらより安く済む計算だ。

 

さすがの私も少したじろいだが、そこは富豪記者を名乗るナイスミドルである。にこやかに平然と「美味しかった。また来ますね」などとアイドルのような顔をして店を後にした。

 

男たるもの痩せ我慢を楽しむぐらいでいたいものである。ちょっとツラい…。




 

 

 

 

 

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