2008年7月30日水曜日

お役所感覚

いわゆる「居酒屋タクシー問題」を契機に公務員のタクシー利用状況が問題視されるようになった。税金でタクシー代を負担しているのに、公務員個人がタクシー運転手から酒やつまみのサービスを受けていたことが問題視されたわけだが、それだけの見返りを受けるほど上客になっている実態が問題なのだろう。

中央官庁の公務員が多忙なのはよく知られているが、毎日のように“ロング”の距離のタクシーを使い倒せるのは、民間企業の感覚では信じられない。

運転手から見返りを受けていた事実よりもタクシー乗り放題の構造が深刻だろう。これに関して、間抜けなニュースが報じられたので紹介したい。

国土交通省が、本省職員4千人を対象にタクシーチケットの使用を停止。すると毎月1億円以上に上っていた職員のタクシー代が、10分の1以下に激減したそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080726-00000136-jij-pol

間抜けと表現したのは、国交省の得意げな見解がおかしかったから。いわく「終電までに帰れるよう、急がない仕事は翌日に回すなど職員の意識が変わりつつある」とか。

そんな程度で月に1億円単位の税金のムダ遣いが是正されるわけだから、これまでの“タレ流し”に気が遠くなりそうだ。

ちょっと意識を変えただけで、わずか1省庁のタクシー代が月間1億円も浮くわけだから、全国の出先機関も含めた全官庁関連のタクシー代のムダはまさに天文学的数字だ。

財政が逼迫して増税が避けられないという話も、こうした氷山の一角みたいな話を聞くだけで説得力が失せる。

そういえば、「増税やむをえず」を叫ぶ国会議員のセンセイがたの“交通費感覚”にも呆れる。こちらの超贅沢な実態を知っている公務員達にすれば「タクシー代ぐらいで騒ぐな」という感覚になってしまうのかもしれない。

国会議員が海外出張する際には、「最上級の運賃」が国会から支払われることになっており、ファーストクラスの利用が認められている。

出張といっても夏休みシーズンの「外遊」も数多く、緊急の要件などほとんど無いと言ってもいいだろう。

このファーストクラス運賃、あくまで正規運賃、すなわち定価なのだから恐れ入る。いまどき航空券を正規運賃で購入することは民間の常識では考えられない。

ちなみにニューヨーク往復の航空券はファーストクラスの正規運賃で157万円ほど。国会議員であればこの金額を負担してもらえる。

若手国会議員あたりからは、せめてビジネスクラスを利用すべきという声が聞かれる。もっともらしく聞こえる話だが、これだって充分な厚遇ぶりだ。ニューヨーク線のビジネスクラスの正規運賃は84万円ほど。実際に流通しているディスカウントのビジネスクラスチケットに比べたら非常に高額だ。

ニューヨークより、誰にでも分かりやすい場所を例示しておく。ハワイ・ホノルル線のファーストクラス正規運賃は、98万円ほど。国会関係の視察なんかだと、こんな金額が当然のように使われているわけだ。

最近では、せっせとマイルを貯める議員センセイも多い。税金で払ってもらって個人のマイルを貯めて、プライベートの旅行代を浮かすなんて芸当も簡単だ。

税金で払ってもらった航空券で個人のマイルを貯める問題は、国会でも問題になったが、貯めたマイルを具体的に個人の特典として使うと、経済的利益として課税対象にもなりえる。負担すべき税金を負担していないなら当然、脱税という話になる。

いずれにせよ、上級クラスの正規運賃航空券は、マイル実績も割増加算される。役所単位で業務利用したマイル全体を管理すれば、無料航空券がバンバンもらえてコスト削減になるはずだが、そういう建設的な取組みは存在しない。

こんな杜撰な話を思うと、缶ビールもらって処分される末端の公務員がちょっと気の毒にも思える。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

末端の公務員は、まじめな方多いですよ。
組織になると弊害がいろいろあるのでしょうけどね。
国会議員は報酬に見合った働きをして欲しいものですね。
キムタクの目線で・・・(笑い)
たまには私のブログにも遊びに来てくださいね(笑い)

富豪記者 さんのコメント...

コメント有り難うございます。株式も税制動向が大きく影響しますよね。ブログ拝読いたします。