2009年6月23日火曜日

キモ・キモ・キモ

冬の間、珍味の話をさんざん書いてきた。暑い季節の到来とともに話題に乏しくなってしまった。それでも私は珍味が好きだ。

もともと西洋料理が好みだった私が一気に和食方面専門に舵を切ったのは、20代後半の頃。目白台にあったお寿司屋さんに通い始めたのがきっかけだったように思う。

プライベートで一緒に旅行したり遊びに行ったりするまでの仲になった寿司屋の親方にアレコレと教えてもらった。

残念なことに親方は若くして亡くなってしまったが、今でも珍味の王様ともいえるアワビのキモを食べるたびに彼のことを思い出す。

20代の終わり頃から数年の間、すこぶる旨いアワビのキモをバカのひとつ覚えのように食べていた。決まって富山の銘酒・銀盤をお供にしていた。実に懐かしい。

まだ尿酸値という概念とは無縁だった。いつの間にか顔見知りになった寿司屋仲間のオヤジサン達に羨ましがられた。今思えば、年配のオヤジサン達はすいぶんと忠告してくれた。

「そんなもんばっか喰ってると後々大変だぞ」。若い私にはまさに馬耳東風。ケッ!っていう感覚だった。

今になって当時の忠告が身に染みる。後悔先に立たずとは良く言ったものだ。

今は無きその目白台の店では、知らぬ間にいろんなことを覚えた気がする。酔っぱらい方や飲み仲間との距離感、寿司屋での流儀とかいろいろだ。

馴染み客の中では圧倒的に若造だったせいで、お客さん達に随分と可愛がってもらった。大手企業の経営者や高名な学者さん、世界的なオーケストラ指揮者、天声人語の執筆者OBなんかも顔を見せていた。勉強するつもりなんかなくても勉強になった。

珍味の話を書くつもりが思い出話になってしまった。

さて、アワビのキモの話だ。画像は池袋の隠れた名店「鮨処やすだ」で出された“アワビのキモメシ」だ。見るからにヨダレ太郎になれる。

アワビ自体は好きなほうではないのに、キモだけは別。いにしえの目白台の店では、ブツ切りを特製ポン酢とモミジおろしたっぷりで味わうのが定番だったが、最近はいろんなパターンで食べている。

画像のキモメシ。見るからに反則だろう。旨いに決まっている。この店の酢飯は割としっかりした味付けなので、肝と一緒にグジャグジャにすると良いバランス。ゴマと海苔がアクセントになって、納得の風味。

いつの日かどんぶりで大量にかっ込んでみたい。。。

「鮨処やすだ」は、本来は握りが非常に美味しい。寿司飯に対する工夫を怠らない大将の情熱がなせるワザだと思う。珍味ばかり喜んでは申し訳ないと思う。

ダラダラと呑んでしまって、握りを4~5貫しか食べられないことが多い私は、いつもちょっとした後悔とともに店を後にする。「握りをもっと食べておけば良かった・・」。酔っぱらいながらそう思うことが多いわけだ。

そうはいっても、この画像のような珍味皿を出してもらっちゃうと性懲りもなくニンマリとアルコールを舐めはじめてしまう。

味の濃厚な明石のタコ、ウズラの卵黄を落としたコノワタ、そしてこの時期ならではのマスコのすじこだ。やっぱり珍味は捨てがたい。結局、尿酸値とのニラメッコはこれからも続く。

キモ!何とも愛すべき存在だ。その響きだけでウットリだ。もし私が作戦将校なら作戦成功の伝聞符号は「トラ・トラ・トラ」ではなく「キモ・キモ・キモ」にするだろう。

さてさて、まもなくサンマ様がやってくる。「サンマのキモ」。想像するだけでヨダレが出る。「サンマのキモ」と活字を入力するだけで興奮する。

変態みたいだ。

2 件のコメント:

rinrin さんのコメント...

ああ、会長もうやめてください!!
アワビの肝飯なんて召し上がって。
「珍味祭・夏」を勝手にテープカットされて。
そして共に患い通院する約束だったではないですか(+_+)

富豪記者 さんのコメント...

夏場までキモに没頭してたらマズいですよね。冬の楽しみとして割り切らないと、、、。

同伴通院もオツですね!