カニを食べる頻度が相変わらず多い。自宅の隣駅に貴重な魚屋を見つけたことがきっかけだ。安い魚屋なのだが生きたままおがくずに埋まっている毛ガニを常備している。
おまけに安い。一ぱい800円とかで買えたりする。ちょろっとした刺身より安い。
どこの馬の骨か分からない毛ガニでも、さすがに生きたまま茹でると美味しい。小ぶりでミソは少ないものの拾いもんだ。
生きているとはいえ弱っているので、おがくずから出す時に抵抗するものの水道水をジャーとひっかければすぐに瀕死状態だ。
たっぷり塩を入れて沸騰させた大きめの鍋に投入する。投入した瞬間、恨めしそうに私を睨みながら身体をピクッとさせてご臨終。
心の中で謝る私。せめてもの供養にスミからスミまで食べ尽くすことを誓う。
大きめのハサミで適当にカットして、あとはカニフォークを駆使してホジホジするだけだ。一応、調理したような気分も味わえる。
小ぶりなヤツなら2杯同時に茹であげて食べれば、ちょっとした富豪気分も堪能できる。
残った殻は奥方様が味噌汁の出汁に使用することが多い。とことん利用し尽くすことが、煮えたぎる熱湯の中で私を睨んでいた毛ガニへのマナーだ。
カニといえば、やはり冬の日本海のズワイが最高だと思う。越前ガニだ、間人ガニだ、松葉ガニだなどなど騒々しいが、全部同じようにウマい。
とはいえ、ウン万円もするので、さすがにお手軽感がない。上物のズワイは間違いなく日本のカニ料理の最高峰に位置するが、だからこその大げさな感じがうっとうしい時もある。
カニを日常食としたい私としては、季節限定のスーパースターも魅力的だが、いつも馴染みの安い毛ガニへの義理も欠かせないって感覚だ。
季節限定のカニといえば上海ガニだ。和食系の店で呑むことが多い私としては、ついつい上海ガニの存在を忘れがち。もったいない。
紹興酒漬けのカニミソをすする感じは他のカニとはまったく違うエロスの世界に導いてくれる。
今年の初物をひょんなことで食べた。
旧友が経営する溜池山王の「美食菜館」でチューチューとすすりまくった。
この店、近隣のオフィス客需要で繁盛しているようだが、旧友たちのたまり場的な一面もある。お客さんのなかにはわが母校の卒業生も結構多く、私の学年を基準にすると上は20年先輩、下も10年以上の後輩まで出没するらしい。
私も同窓の会合の際に利用しているが、いつも旧友達と飲む時は、ザーサイと餃子と焼きそばあたりが中心。それぐらいしかメニューが無いのかと思っていたが、さすがにそんなことはなかった。
メニューは多種多様。上海ガニもちゃんとあった。
その日、たまたま客人と会う予定があり、合流場所が溜池あたりになったので、会食場所を「美食菜館」にした。客人と行った以上、ザーサイと餃子だけというわけにはいかない。いろいろ食べた。
フカヒレだの海老だの牛だのアレコレ食べたが、“酔っぱらい上海ガニ”が絶品だった。いい塩梅に漬かっていて黒いタマゴとオレンジのミソがたっぷり。
すっかり悩殺された。客人の真面目な話を右から左に聞き流しチューチューする。客人も私が話すいい加減な話を聞き流してチューチューしている。
紹興酒をグビグビ。そりゃ相性バッチリだ。
9月から始めたダイエット生活だが、最近は、だいぶテキトーになってしまった。結構食べちゃっている。
もっとストイックにならないといけないのだが、この季節は、私の秘術?であるカニダイエットは上海ガニを素材にしてみようか。
普通に蒸したやつと酔っぱらいガニを両方頼んでホジホジする。それ以外は、クラゲとか蒸し鶏なんかをつまんでいれば低カロリーで済む。
それにしても最近やたらと身体が冷える。普通じゃない。どうもカニの食べ過ぎが原因みたいだ。
2009年11月25日水曜日
上海ガニ 美食菜館
ラベル: 中年グルメ
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