2010年1月25日月曜日

コーヒー一杯の・・・

小沢民主党幹事長の土地問題をめぐってメディアはまさに大騒動。やいのやいのと連日細かい話を必死に報道しているが、はっきり言ってすべてピンボケ。論点ずれまくりだ。

ひょっとすると、あえてピンボケになるようし向けられているのかも知れない。すべての根源はただひとつの制度上の問題に尽きる。国民が騙された形の悪法を俎上に載せなければ意味はない。

政党交付金制度がそれ。

「コーヒー一杯の政治」というフレーズをご存じだろうか。1994年、世の中で政治改革の議論がスッタモンダしている時に得意になって使われた言葉だ。

当時、不正の温床と言われた企業や団体から政治家個人への献金を廃止するかわりに、国庫から政党へお金を配りましょうという話になった。

政党交付金とか政党助成金といわれる制度だが、人口ひとりにつき250円を基準にした金額が毎年ばらまかれるようになったわけだ。その際、国民に理解を得ようと言う趣旨で盛んに使われたフレーズが前記の「コーヒー一杯の政治」。

いまや、こんな制度が存在していることすら知らない人も多い。税金を納めている人なら誰もが日本の政党にお金を寄付している形だ。支持政党があってもなくても、国会での獲得議席に応じて勝手に分配されている。

違憲論争も根強く、学者の多くが違憲という見解を示しているが、司法の世界では合憲とされて存続中。

問題は、肝心の「企業団体献金の廃止」がウソだったこと。事実上は何も変わっていない。

たとえば、「貧乏商事」が「金満党の富豪太郎」という政治家に献金しようとする。富豪太郎は「金満党衆議院選挙区支部」という組織の代表でもある。政党の支部という形だが、実際上は自分が完全支配している。

企業からの寄付は、政党や政党支部であれば受け取れるため、貧乏商事は金満党支部に寄付する形を取って富豪太郎に寄付をする。なんともバカげた話。日本中でこれがごくごく普通の行為として通用している。

一方、企業団体献金を廃止する変わりに導入されるはずだった政党交付金制度は、悪びれることもなくこれまで15年以上にわたって総額5千億円以上の血税を政党に垂れ流してきた。

極端な話、キャバクラでの飲み食い、芸者さんを呼んでの料亭会合、視察名目での海外旅行だろうと「政治活動に必要」という理由が付けば使い放題のカネだ。

納税者をバカにするにもほどがあるって感じだ。交付金制度そのものが国民をあざむいた形で堂々と成り立っているだけでなく、制度上のお粗末ぶりもひどい。

政党が解党しても助成金の返還義務がないというデタラメな部分はまさに異常だ。

いま騒がれている小沢氏の問題も、結局は、こんな欠陥制度が根源にある。検察サイドはゼネコンからのヤミ献金も視野に入れているようだが、結局は旧自由党解党時に曖昧になった政党交付金の流用であれば、刑事事件にまで発展する可能性は低い。

解党時に返還義務がないというお粗末な欠陥は、事ここに及んでも是正される見込みがない。政界に自浄作用を求めるのは難しいと分かっていてもヒドい話。

1994年、海部、宮沢、細川各内閣と渡ってスッタモンダが続いた政治改革騒動は記憶に新しい。シロウトである一般国民にとっては、漠然と「浄化」に期待が集まった。

あれから15年。当時の騒動は、結局「政治家による政治家のための政治改革であり、政治改悪」でしかなかった。

残念ながらそれが歴史の評価だろう。

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