2012年3月14日水曜日

香川照之の男気

今日は俳優の香川照之君について書いてみる。彼とは小学校から高校まで一緒だった関係で、これまでも何となく親しみを感じながら出演作を見てきた。

時に鬼気迫る演技で主役を食い、名脇役として日本の映像世界で欠かせない存在になっているのはご承知の通り。


そんな彼が46歳の今、歌舞伎という未知の世界に挑戦する。もともと彼の父は歌舞伎界の大御所である市川猿之助翁。幼い頃一度は関係を絶ったものの、その後の雪解けを機に彼の中の「血」が異例の行動を決意させた。

幼少の頃から稽古を重ねて道を究めていく歌舞伎の世界にあって、彼の行動は突飛だ。それでも「船に乗らないわけにはいかない」と語る彼の決意は重い。

歌舞伎界の端っこの一駒で構わない、客寄せパンダでも構わないという彼の決断には、当然、賛否両論さまざまだ。

事実上、親の七光りに頼らず、映像の世界で名を成した彼にとってはリスクの方が大きいかもしれない。事実、「俳優・香川照之」の関係者は揃って反対していたそうだ。どんな角度から見ても「何でわざわざ苦労するんだ」と言いたくなるのは当然だろう。

それでも突き進むのは、ひとえに彼の男気だろう。実に潔い。ついつい守りに入ってしまう中年男から見ると、彼のチャレンジスピリットにあやかりたくなる。

「困苦や欠乏に耐え 進んで鍛錬の道を選ぶ少年以外は この門をくぐってはならない」。

われわれが通った小学校の校門に掲げてあった言葉だ。彼のチャレンジ精神は、まさに進んで鍛錬の道を選ぶようなものだ。。

小学校から高校まで同じ学校に通ったとはいえ、彼は現役で東大に入るような人物だから、アホバカ連合だった私と親しい付き合いがあったわけではない。

それでも1学年わずか120人程度の小学校から一緒だったから、中学、高校時代も顔を合わせる機会は多かった。幼少の頃の一時期は学内のエリート集団?である聖歌隊で変な歌を一緒にうなったこともある。

高校時代の彼には、何となく斜に構えたヤツという印象があった。私がスーパー能天気全盛だったから、優秀な彼の哲学的、文学的な雰囲気をそう感じたのだろう。

大人になってからの彼の突き抜けた爽やかさは、進むべき道を順調に歩んでいる自負から滲み出るオーラなんだと思う。

売れっ子になってもそれを鼻にかけることもなく、誰に対しても謙虚に誠実に接している姿を見ると、そうした部分こそが彼の今のポジションに直結していることが分かる。

随分とホメまくってしまった。でも、気持ちのいい男という表現が的確だから仕方がない。

先日、母校の同窓生が中心になって、彼の歌舞伎界進出を「励ます会」を開催した。不肖私も名ばかりの発起人に名を連ねたのだが、本当の発起人たちの熱い思いや頑張りには心底敬服した。

会場となった丸の内の東京會舘には老若男女合わせて600人もの参加者が集まり大盛況だった。

学生時代、ナンパ目的のパーティー券ばかり捌いていた旧友が、卓越したオペレーション能力を見せる。地方自治の世界で活躍する旧友がこれまた指導力を発揮して手伝ってくれた後輩達を指揮する。

日本舞踊の大御所を親に持つ旧友が、わけのわからんシキタリや決まり事に対して知恵を出し、名門企業トップに就いている後輩は、VIP客対応をそつなくこなす。

撮影に汗を流していたのは、アメリカのボクシング記者協会から年間最優秀写真賞を受賞した旧友だったし、会場の花も園芸・緑地事業をプロデュースする旧友が手掛けた。

私なんぞは校歌斉唱の際に掲げる歌詞が書かれた幕を掲げる係だったらしいのだが、それすらやらずに会場の旧友とベチャクチャやってる始末。反省。

まさに手弁当で応援していた旧友達だが、俳優・香川照之の男気に惚れて損得抜きに精一杯奮闘していた感じだ。

旧友達が奮闘したくなるのも会場での香川君の様子を見れば納得できる。実に丁寧で誠実にすべての来場者に接していた。

ほんの数分だけ時間が空いても、旧友が休ませようとするのを制して挨拶回りに精を出す。おまけに全員の目を見て一生懸命に感謝の気持ちを伝える。

文字で書くのは簡単だが、なかなか出来ることではない。

激励会終了後の見送りも同様。発起人達がやきもきするほど、いちいち丁寧に一組づつ対応する。会場の撤収が始まっても1時間ぐらいは見送りの挨拶が続いた。

決してアイコンタクトを欠かさず、誰が相手だろうと真摯に接する。仕事の依頼がひきもきらない彼の人気は、結局、人間性に尽きるのだろう。

「激励会」が無事終わった後の少人数の打ち上げの際にも、彼は座りもしないで、旧友や後輩達をもてなし続けていた。そこに集まっていたそれぞれが改めて自己紹介した場面でも、彼はひとりひとりを持ち上げるエピソードを披露する。

あんなに気配りしていたら長生きしないだろうと変な心配もしたくなる。

東大組だから頭脳明晰なことは百も承知だが、そういう明晰さとは別な意味で、頭がいい、すなわちスマートなんだろう。

スマートな彼がスマートさをかなぐり捨てて挑む初舞台は6月に迫っている。

こんな雑文を書いている暇があったら、とっととチケットを捌けと言われそうだからこの辺にする。

2 件のコメント:

千葉県民 さんのコメント...

素晴らしい会でしたね。

発起人の皆さんの頑張りにも感激しました。

香川君を励ます会であったのですが、参加させてもらった自分自身が何か奮い立たされる気持ちになりました。

我々もまだまだこれからですね!


追伸:
富豪さんの見事な日記のおかげで、自分の日記に書くネタがなくなりましたので、引用させていただきました(^_^;)

富豪記者 さんのコメント...

千葉県民様

確かなことは、彼のせいで、こっちもヘナヘナしちゃいかんなあ、と思えたことかも知れませんね。

オフ会やりましょう。