2012年4月11日水曜日

フィリピン

水中写真を撮るようになってもう25年以上が過ぎた。そんな書き方をすると、さぞハイアマチュアなのかと思われそうだ。全部自己流だし、コンテストなんて興味がないから、ちっとも大したことはない。

10年ぐらい前までは、かなり必死になって気合い充分に撮影に向き合っていたが、最近は、グータラダイバーになってしまい、昨年は、ついに一度も潜らなかった。

四半世紀を超える潜水歴のなかで、一番長いブランクが開いてしまったが、今月末にフィリピン・セブに行って仕切り直しすることにした。

カリブ海に頻繁に出かけた20代の頃とか、エジプト・紅海をはじめとする未開の海に行きたがった30代前半の頃を経て、ここ10年ぐらいは東南アジアばかりになった。

近くて便利、物価が安いという理由だけでなく、水中の面白さに惹かれる。世界地図で見れば一目瞭然だが、東南アジアのようにごちゃごちゃした島がいっぱいある海は、生物層が濃くなって当然だ。

ハワイあたりは大げさに言えば絶海の孤島みたいな立地条件だから、透明度はすこぶる良くて空を飛んでいるような水中異空間が楽しめるが、魚の種類や数では、ごちゃごちゃな、まさにチャンプルーな東南アジアの方に軍配が上がる。

これまでマレーシア、インドネシア、タイ、フィリピンあたりのいろんな場所に行ってきた。いろんな思い出がある。

今日はフィリピンについて書いてみたい。

海の話はさておき、旅行にまつわる変な思い出はいっぱいある。

マニラのディープさには毎度驚く。夜の繁華街なんてよほどエリアを限定しないと危なくて歩けやしない。いつも信用できそうなガイドさんとかタクシードライバーを1日単位でチャーターして一緒に行動してもらう。

ある時、親しくなったドライバーさんの家に連れて行かれた。その日は、後学のためにスラムっぽいエリアを車で流してもらって貧困の現実を車窓から眺めていたりしたのだが、彼の家は、そうしたエリアに程近い結構ゲゲゲって感じの場所にあった。

外国人である私見たさに近所の人も集まってくるし、彼の家はオイオイオイって感じのバラックだったし、かなり緊張した。

おまけに、最大のもてなしのつもりだったのだろう、フィリピン名物の甘味・ハロハロを作りはじめた。ごちゃ混ぜかき氷みたいなものだ。

場所柄、どうしたって氷はダメだろう。普通なら遠慮するのだが、彼の厚意をムゲに出来ずに頑張って食べた。当然、速攻でお腹を壊してピーピー。重症にならなかったのが幸いだ。

別な時の話になるが、あまりに退屈だったので、マニラ市内の大きな公園でまったりしていた。すると、軍のパラシュート部隊の演習が。なぜかその公園に降りてくるという不可思議な設定で行われていた。

普通に市民が憩っている公園に軍人が大勢パラシュートで降りてくる。その大らかさに驚いた。

おまけに格好良く着地するヤツには市民が大喝采、ちょっとこけるヤツにはブーイング。パラシュート隊員も上手に着地するとポーズをとって観衆にアピールしている。

軍隊である。軍人である。でもフィリピンである。お国柄って実に面白いと思った。こう言っちゃ悪いが、ちょっと弱そうだなあというのが感想だった。

その他にも、遠方での潜水三昧のせいで、帰国便乗り継ぎのためのマニラの宿を決めずにいた時のこと。

たまたまアセアンの本会議があって、市内の真っ当なホテルはほぼ満室状態。仕方なく確保したオンボロホテルがひどかったのも懐かしい思い出だ。

部屋の主はゴキブリだし、シャワールームは汚すぎて使う気にならず、窓や壁も薄くとにかく騒々しい。しょっちゅうパトカーとかのサイレンと怒声や悲鳴が聞こえてくる。若い頃だったから平気だったが、今なら気が狂いそうだ。

優雅なマニラの一面も見る機会があった。ある時、小学校の頃からの親友がマニラで結婚式をあげた。

奥さんも日本人なのだが、奥さんの実家がフィリピンで事業を成功させており、マニラ在住のオジイサンのためにハデ婚をすることになった。

場所は副大統領だったか、とてもエライ人の自宅。自宅といっても、そこは現地の有力者の豪邸だ。プールを望む庭を使ってのガーデンパーティー。

周辺は徹底的に高級住宅地の気配が濃厚。格差のある国で見る高級なエリアは、日本のそれとはまったく異質。経済大国ニッポンといっても一般人なんてはじき飛ばされそうなスノッブな印象だった。

招待された我々も変な民族衣装みたいな服を着て参加した。その時は宿泊も高級エリアの高級ホテルだったし、普段、潜水旅行のついでに感じるマニラとは格段に違う空気を味わった。

パラワン州・プエルトプリンセサでは、世にも珍しい刑務所見学を体験した。そこの刑務所は、広大なエリアで囚人達の自治が成り立っているらしく、塀とか檻とか囚人服とは無縁。普通の村みたいな感じ。

レストランや売店もあるのだが、働いているのは皆さん囚人。案内人が「こっちのゾーンは凶悪犯ばかり」とかあれこれ説明してくれるのだが、皆さんニコニコ手を振ってくれたりして実に妙な場所だった。

さすがフィリピンである。

マニラは別格として、私が訪ねたような地方の海側はのんびりとした楽園のような場所ばかりだった。

セブ島のメインリゾートエリアはそれなりに俗化しているが、南方のモアールボアールとか、もう少し離れたボホール島とかは、漂う空気もユッタリしており、ホゲホゲするにはもってこいだ。

マニラから3時間ぐらいで行けるプエルトガレラは適度にガヤガヤ感はあるが、海は綺麗だし、アジアの熱気を感じられる独特なリゾートだ。ゴーゴーバーだってちゃんとあった。

ネグロス州のドマゲッティは、近郊に珠玉の海を持つ一方で学園都市の一面もあるのどかなエリアで、上記したプエルトプリンセサ周辺も秘境ムードがありながら、マニラから空路1時間で着いてしまう穴場だ。

長い休みが取れないならセブ島の空港近くのリゾート群がオススメだ。成田から直行便で4時間ちょっとで着くお気軽感は捨てがたい。

なんか今日は、観光ガイドみたいな話になってしまった。

さて、ゴールデンウィークのセブの旅ではどんな思い出が加わるのだろう。

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