春である。春は瀬戸内海で魚を食べたくなる。よく分からない理屈だが、ちょこっと岡山に行ってきた。
瀬戸大橋である。相変わらず雄大な姿に圧倒される。日本人はとてつもなく凄いモノを作ったものである。
完成時の日本中の熱狂ぶりも凄かった。20年ぐらい前の話かと思っていたが、記念碑を見てビックリ、もう32年も経っていた。
どうも最近、時間の経過に関する自分の感覚がヘナチョコである。
「最近」という言葉の意味、時間の幅がどんどん拡がっている。冗談ではなく、「平成」はすべて「最近」という感覚である。
この春、わが社に平成4年生まれの若者が入社した。卒倒しそうになった。私に言わせれば、つい最近生まれた人である。
その前にも若い女子とシコタマ騒いでアレコレしていたのだが、あとあと平成生まれだと聞いて複雑な気分になった。
肛門いやがられ、いや、光陰矢の如しである。
話がそれた。旅の話だった。
十数年ぶりに倉敷を散策した。岡山といえば、兵庫寄りの備前焼の里である伊部周辺に出かけることが多かった私だが、今回はそっち方面はパスした。
行けば行ったで、わんさか焼き物を買ってしまうので、万年金欠太郎としては、テキトーな散策で時間をつぶすことにした。
そうはいっても、倉敷にも備前焼の販売店がゴロゴロあったので、ついつい覗いてしまった。でも運良く、観光土産チックな商品が中心だったので冷やかすだけで済ます。
とかいいながら、渋い品揃えの店を見つけて珍しい発色の徳利を衝動買いしてしまった。黒備前の手法で注目されている40代の作家の作品。
個人的にオーソドックスな備前焼以外には興味が湧かないのだが、この徳利には一目惚れしてしまった。
備前の土に黒く発色しやすい別な土を塗って焼成しているのだろうか。景色が素晴らしい。口元の青い発色がなかなか出せないらしい。
掌で転がしながら眺め続けたい一本である。この画像を眺めているだけで、酒を飲みたくなる。まいったまいった。
さてさて、岡山で楽しみにしていたのが、生のシャコである。東京で生シャコを出す店など聞いたことがないが、瀬戸内海エリアでは割とポピュラーだ。
その昔、備前焼の里・伊部の寿司屋で初めて口にして以来、機会があれば食べたくなる珍味である。
想像以上に甘味が強い。エビカニ方面数々あれど、生で食べる時の身の甘さはシャコがトップレベルではないだろうか。
肝臓疾患がある人が食べると、ヘタをすると死んじゃうと聞いたこともある。今のところそこそこ元気な肝臓を持つ私としては積極的に食べておかないとなるまい。
握りで食べる前には、刺身でワンサカ食べた。冷酒と合わせて幸福の絶頂を味わう。画像は食べ散らかした後の頭の部分です・・・。
この店、下調べして訪ねた評判の良い寿司屋。生シャコ以外に、サワラや穴子など瀬戸内海の魚をいっぱい食べた。正直言ってオススメできるほどの店ではなかったので店名は伏せる。
生シャコ以外で印象的だったのは、名産品の黄ニラの握りぐらいだった。まあ、楽しくグビグビ飲んで酔っ払ったから満足する。
やはり、日本中からウマいものを集めている東京の寿司屋で好き勝手に食べていると、味覚が図々しく?なってくるのだろう。
地方に行っても余程珍しいものに遭遇しないと感激できない。若い頃は、地方の安酒場で出される魚にいちいち喜べた。あんな純真さはすっかり消えてしまった。
加齢のせいだけではない、流通事情の劇的な進化が「地方ならではの珍しいもの」をいつの間にか普及品にしてしまった面もあるのだろう。
帰りは高松空港から飛行機に乗る予定だったので、瀬戸大橋を渡って香川県に入る。
橋1本で結ばれているほど近距離だが、瀬戸大橋が出来て、たかだか32年で岡山と香川が融合するはずもなく、四国に入った途端、景色?が変わる。すなわち、岡山では見かけなかった「うどん」の看板ばかり目に入る。
高松は30年近く前に初めてふらっと旅した。当時、東京ではまず見かけなかった本物の讃岐うどんに驚愕した思い出がある。
あの頃、東京でうどんと言えば、「真っ黒つゆにフニャフニャの麺」が一般的で、讃岐うどんのシコシコ感は希少価値だった。
それにしても「うどん県」と名乗り始めた香川県の決断は凄いと思う。恥ずかしげもなくスッポンポンになって歌い出すような潔さである。
うどん関係者以外の県民にとってはオヨヨなネーミングだろう。でも分かりやすくて良い。投げやりというか、開き直りにも思えるが、とにかく英断だ。
確かにいろいろ考えても他の呼び名は無い・・・。
この写真は高松空港で見たオッソロシイ装置である。県内の名産品が陳列されているコーナーの一画に設置されていた。
冗談だと思って半信半疑で蛇口をひねったら、冷たいうどんダシが出てきた。実にビミョーである。美味しいとかマズいとかそういう問題ではない。単なる悪趣味だろう。
変なまとめになってしまった。
0 件のコメント:
コメントを投稿