2015年10月2日金曜日

銀座大野


金木犀の香りが漂ってくると秋も本番である。

食欲の秋である。太る。

このところ、日本料理屋さんのカウンターに陣取ってばかりである。

ここ2か月ほどタバコを忘れている(やめているわけではない・・・)ので、全面禁煙の店でもニコニコ過ごせる。

ということで、初訪問の店にいそいそと出かけていく機会が増えた。

食欲の秋という厄介な事情も加わって自制心のカケラも無いダメ人間のようにグビグビ酒を飲み、ワシワシ食事をしている。


先日、初訪問してみた和食店は銀座にある「日本料理大野」。コリドー街に近い立地に目立たない様子で佇む店だ。

立て続けに2度お邪魔した。2回とも夕飯には遅めの時間に入店。居心地よく楽しい時間を過ごさせてもらった。

コース料理が基本の店だが、8時半を過ぎるとアラカルトでの注文も可能。初めて行った時は酒肴っぽいものを中心に煮魚、焼魚を適当に選ばせてもらった。

2度目はアラカルトメニューには用意されていないお吸い物を味わってみたかったので、魚中心のコース料理を注文。最後の釜焚きご飯は握り飯にして土産用に包んでもらうことにした。


そうはいっても、完成品を見せられたら、さすがに出来たてを食べたくなる。茶碗に軽く一杯よそってもらって食べてみた。

キノコの炊き込みご飯だったのだが、大げさではなく絶品だった。余計な装飾や余計な味付けを排除したシンプルだけど奥深い味わいだった。

水気の多いビチャッとした炊き込みご飯ばかりが世の中に出回っているが、この店ではコメがしっかり立っていて、強飯好きな私にとっては狂喜乱舞したくなるほど。

決め手はダシの味に尽きるのだろう。これが日本料理を世界遺産にまで昇華させたポイントである。


この料理はシマアジのみぞれ鍋。シマアジと大根おろしとダシの風味が渾然一体となってウットリである。

こういう逸品を肴に酒を飲む時間は何ともいえない幸せを痛感する。オッサンに生まれてつくづく良かったと思う。生まれ変わってもオッサンになりたいと心から思う。

店主の人あたりの良さもこの店の特徴だろう。2度目に出かけた時は、9時半頃だったので1階のカウンター席は貸し切り状態。結局、食事を終えるまでずーとアレコレと話をさせてもらった。

店主は料理人としてパリに長く住んでいたそうで、ヨーロッパの話や銀座の食事情に始まり、昭和の若者文化や下世話な話題に至るまで、こちらは日本酒、店主は白ワイン片手に2時間ばかり話し込んでしまった。

価格的にもあの街にしては良心的で、肩肘張って出かけるほど極端に緊張感が漂っている店ではない。実に頃合いのよい料理屋さんだと思う。

深夜2時まで営業しているそうで、遅めの時間だったら居酒屋的使い方も出来る。実際、深夜にそんな使い方をする常連さんもいるそうだ。

極めて真っ当な日本料理をツマミ感覚で楽しめるわけだから贅沢な話である。

また近いうちに食べに行こうと思う。でも、最近は新規開拓店の探検にハマっているので他の店も攻めてみたい。

胃袋は一つしかない。なかなか大変である。

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