2015年10月28日水曜日

金沢に詣でる


この前の週末、金沢に行ってきた。カニを食べに行ったわけでもなく、北陸新幹線に乗りたかったからでもない。

「参拝」である。

私にとっての神?であるハマショー師匠のライブのために出かけてきた。ファンクラブ先行予約の抽選で当たったのが金沢公演だったわけだ。


今年で63歳になるハマショー師匠の健在ぶりを目の当たりにして感激の時間だった。

オヤジバンド活動を始めてからは初めて参加したライブだったので、大いに刺激を受けたし、まだまだ老け込んではいけないと決意も新たである。

ライブ中はギリギリ泣かずに過ごしたが、「花火」から「五月の絵画」へと続いた師匠のニクい構成にウルっときたことは内緒だ。

コアなファンの人にしか分からない話でスイマセン。要は「家を出て行ったものの、残してきた子ども達を思って切なくなっているオヤジの歌」と「家を出て行ったオヤジが何年か経った後に美しく成長した娘と再会して感慨にふける歌」を連発されてウルっとしたわけだ。

さてさて、今回はネット上であらかじめセットリスト、すなわち曲順などをチェックしておいた。そのせいもあって最後の最後まで聞かずに引き上げることにした。

「J-BOY」が終わったところですでに2時間半。あと2曲ほどやるようだったが、この曲でシメるのも悪くはない。

50歳になっても「J-BOY」で拳を振り上げている自分が嬉しい。それにしても30年も同じ曲でライブ会場が一体化するのだから、私が『参拝』と表現するのも大げさではない。

師匠にはいつまでもカッコよく現役でいてもらいたいものだ。

そんなこんなで、少し早めにライブを切り上げ街に出た。気分は寿司である。事前にリサーチをしてこなかったのでキャバクラばかりの繁華街を挙動不審な人のようにさまよう。

絶対にアタリだと確信できる風情の店を見つけたが残念ながら満席。待つのもイヤなので、そこそこ立派な門構えの別の店を見つけて入ってみた。

金澤玉寿司本店という店。なんだか能舞台を模したような造りで職人さん達の装束もちょっと凝っている。ビミョーといえばビミョーだが、旅先ではこのぐらいの“演出”はかえって心地良かったりする。

それなりの規模の店なので一品メニューも豊富でゆっくり酒を飲みながらダラダラすることに決める。


北陸の冬の醍醐味であるカニの解禁には2週間ほど早かったのだが、香箱カニが用意されていたので迷わず注文。聞けば新潟からわざわざ取り寄せているそうだ。

観光客需要を考慮したこの手の店のこうした小細工というかサービス精神は率直に評価したい。新潟産だろうが何だろうが、「金沢で香箱」という初冬の風物詩を堪能できたわけだから有難かった。

職人さんと無駄話を交わしながら地モノを中心にあれこれ食べる。ハタハタを煮付けで食べてみたり、ブリの若魚や定番のノドグロ、はたまたコノワタなんかで熱燗をキュッキュキュッキュと飲み続けた。


握りもいくつか食べたが、鯛の蒸し寿司が印象的だった。出し汁の餡の味わいが上品で酩酊気味の身体の奥の方がジンワリした。

御勘定も思ったより安くて満足しながらフラフラ歩いてホテルに戻る。温泉付きのアパホテルである。とっとと寝たかったが、温泉に入らなければアパホテルを選んだ意味が無い。フラフラしながら屋上の露天風呂に浸かって月を眺めて鼻歌。大好きなはずのサウナに入らなかったから、やはり飲み過ぎていたようだ。




翌日、定番の兼六園とひがし茶屋街を散策した。ほんのりと色づき始めた紅葉も見ることが出来て実に気持ちよい散歩が出来た。

ついでに北陸新幹線にも触れておこう。今まで数え切れないほど金沢方面は訪ねてきたが、初めての電車旅である。初体験を記念してグランクラスとやらに乗ってみた。グリーン車の発展系だと思っていたのだがグリーン車はグリーン車で用意されていたので、グランクラスは一応『別格』扱いらしい。


アルコールを含む飲み物や軽食が無料で提供され、座席も独特な形状の最新式だとか。

今回はヒモを引っ張れば熱々ホッカホカになるという画期的なウナギ弁当を持ち込んでいたので軽食はパス。したがって内容は不明である。

椅子は飛行機の座席のようにリクライニングしても後ろに背もたれが倒れないシェル型。とはいえ、リクライニングの角度は中途半端。それよりも座席幅のゆとりの無さのほうが気になった。


長時間乗るわけではないので、飛行機と比べること自体が正しくないのだろう。東京から金沢までわずか2時間半。充分快適だった。

ただ、グリーン車のほうが空いていたし、アテンダントのサービスがいちいち煩わしい人にとってはグリーン車のほうが快適かもしれない。

ひょんなことから楽しい小旅行ができた。これもひとえにハマショー師匠のおかげである。もっと帰依しようと思う。

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