2015年10月21日水曜日

ウィンナーシュニッツェル、ザッハトルテ


旅行ネタを4回も続けてしまって恐縮ですが、今回は最終回・ウィーン編です。

ウィーンと聞くと何となく高尚な響きに感じる。ベートーベンみたいな髪型をした人がウロウロしていそうな雰囲気だ。

帰国便がウィーン発だったので、せっかくだから帰国する前の日はマドリッドを朝っぱらに発って午前中にウィーン入り。せっせと散策してみた。

とはいえ、小雨模様の薄ら寒い天気だったし、さすがに旅の疲れも溜まっていたので、中心地を散歩した程度でアレコレ語れるほどではない。

でも、なんとなくキッチリとした感じが強かったし、日本人が思い描くヨーロッパの雰囲気そのものだったから根強い人気があるのも理解できた。


ホテルは「シュタインゲンベルガー」。ドイツの名門である。ウィーンでは高級ビジネスホテルといった位置付けだったようで、割と安く手配できた。可も無く不可も無くごく普通。

ランチでさっそくウィンナーシュニッツェルを食べに行った。ウィーンのトンカツである。



肉であり、揚げ物である以上、男子ならウホウホ言って食べまくりたいところだが、私ももう50を過ぎた分別のある大人の男である。

「トンカツ食わせるならソースだろ!ボケッ!」。

そんなセリフは胸の内にひっそり収めてレモンをぎゅぎゅぎゅっと搾って薄っぺらいトンカツを味わってみた。

マズくもないけどウマくもない。一般的には美味しいのだろうが、根っからソースマンとして生きてきた私としては「トンカツをレモンで食べる」という行為がダメである。


海外旅行には欠かさず持っていく「ソースの小瓶」はこの日の朝、マドリッドのホテルを出る際に処分してしまった。一歩早まってしまった。大失態である。

一緒に味わった郷土料理のナンチャラがたっぷり入ったコンソメスープもごく普通の味だったので、私の中のオーストリア料理はこれにて完結である。実にテキトーで安直である。オーストリアの人、すいません。

で、一生懸命に散歩に励んで夜に向けて消化を促進する。旅行の最後の晩である。まっとうな店で旅が無事に終わることへの祝杯を挙げたい。

寿司、焼き鳥、おでん、それ以外にもカウンターでの食文化が世界で一番発達している日本で暮らしていると、ヨーロッパを旅している際の「お一人様ディナー」に不便を感じることは少なくない。

カフェみたいな店やファストフード系の店、はたまたホテルのルームサービスなどで済ませることもあるが、時には真っ当なレストランにも行きたい。

この日も、一応、そういう固定観念が頭に浮かんだのだが、そこは50歳である。世界的に見ても50歳である。若造みたいに遠慮する必要などない年齢である。

気になった店には遠慮せず入ってみようと決意する。そんな気持ちになって街中を歩き回るとやたらと洒落たレストランが目に入る。

イタリアンが思った以上に多い。気軽な店から高級そうなリストランテまでアチコチで見かける。

で、イタリアンを最後の晩餐にすることに決定。とはいえ、店選びは失敗したくない。数件に絞った候補の店の様子を外からうかがいながら空腹待ちの散歩を続ける。


夜も更けてきて私自身がしっかり空腹になった頃、行きたい店を決めた。確か「Danieli」という名前の店だった。

かなり繁盛している。地元客が多いみたいだ。ボーイさん達もキチッとしているし、店の雰囲気が良い。




前菜に出てきた薄切りハムのトンナートソース、続いてパスタ、そしてメインの鶏肉料理である。

パスタはタコとトマト、バジル、ガーリック、鷹の爪である。オイルソースとクリームソースの中間ぐらいに仕上げられていて絶品だった。

メインのチキン料理は鶏が食べたいというより、メニューに書いてあった「リゾット添え」のひと言に惹かれてオーダーした。風味の強いキノコとパルメザンチーズがたっぷりのリゾットが絶品だった。

いい店だった。

で、気分良くなったので、あえてレストランでデザートは食べずに本家本元の「ザッハトルテ」を食べてみようとテクテク歩いて名門ホテル「ザッハー」に向かう。夜11時ぐらいまでカフェで味わえるらしい。


私は元々チョコレートケーキがあまり好きではない。そんな私がアーダコーダと論評してはいけないのだが、ちっとも感心しなかった。ウリは何なんだろう?

付け合わせのクリームの味も??だし、ケーキ自体の甘味に関する感度にも??である。

帰国便のオーストリア航空の機内で出されたチョコレートケーキが美味しかったから、「名物にウマいもの無し」という格言通りなのだろうか。ファンの人、すいません。

でも、土産に買って帰ったこの店のザッハトルテを食べた中学生の娘が絶賛していたので、私の味覚がズレているのかもしれない。

ということで、今回の旅行話はオシマイです。

ちなみに、最後の夜のレストランでメニューの小さな文字が読めなかった。いや見えなかった。いよいよ老眼鏡が手放せなくなったことが今回の旅の一番のトピックである。

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