アチコチから反感を買いそうな話だが、コストパフォーマンスという言葉が嫌いだ。何かの価値を単純に経済的な尺度だけで測ることはあまり意味が無いと思う。
そりゃあ、吉野家の牛丼が300円で松屋の牛丼が800円なら、コストパフォーマンスを考えて選ぶのは当然だが、そういう単純な話は別だ。
若者が恋愛や結婚をしない理由の多くが「コストパフォーマンスが悪いから」だとか。
なんとも淋しい話である。
恋愛、色恋といった人間関係の基本みたいな部分にコストパフォーマンスという考え方を持ち込まれるとイラッとくる。
若者なんて後先考えずに異性に興味を持って熱くなっているのが正しい姿である。生き物としてそれが自然だ。
恋愛の価値って若造どもが経済的に割に合わないと思うほど低下しているのだろうか。なんともモッタイナイ話である。
すぐに恋をしちゃう寅さんが聞いたら、頭を抱えて嘆くはずだ。
その人のことを想うと夜も眠れない、目に入る美しいもの、聞こえてくる心地良い音、かぐわしい香り等々、五感のすべてが敏感になって、その人と共有したいと思い、許されるなら食べちゃいたいぐらい?に相手のことが愛おしくなる感覚。
そんな感覚になれるだけで大儲け、丸儲けみたいな話である。両思いならもちろん、片思いだって、そんな気持ちになれるだけで大脳が発達した人間に生まれて良かったと思うべきである。
そりゃあ、色恋に励めば、色恋に無縁な時よりお金はかかるだろう。自分の身だしなみだって気になるし、相手を喜ばそうと奮発してプレゼントを選んだり、滅多に行かないような店に食事にも出かける。
それをコスパのひと言で斬って捨てるのは愚かだし、情けないし、無粋である。相手が喜んでくれるのは自分の喜びである。
だいたい、人間がお金の使い方のなかで最も充実感を感じるのは「人のために使う」ことである。古今東西、いろんな調査でそういう結果が出ている。
「寄付こそ最高の贅沢」という考え方もある。
愛という言葉が的確かどうかは分からないが、「人を想うことイコール自己犠牲」だから、そこそこ散財したって仕方ない。ある意味、それを喜びに感じるぐらいじゃないとダメなのだろう。
女性を喜ばせようとあれこれとお金をかけても結果がともなわないこともある。それはそれ。負けである。早めに気付かなかった自分の間抜けさを反省すべきだ。
「お前のためにいくら使ったと思ってるんだ」などと逆ギレする男もいるが、そんな発言を平気でしちゃうようだからコトがうまく運ばないわけだ。
まあ、純粋な色恋と、ただ単に気に入った女性を攻略したいという欲求は別モノなのも事実である。
後者のほうは「遊び」の範疇だから、成功(性交?)しなかった時にコスパが気になるのも分からなくはない。
それでもカネのかからない遊びなどない。ゴルフするにも旅行するにも趣味に没頭するのもお金はかかる。女遊びだって同じ。ましてや純愛じゃない遊びならコストパフォーマンスは悪くて当たり前である。
遊びたいなあと思えるような女性はたいていが魔物である!?。
突進すべきか撤収すべきかの判断を間違えればコストパフォーマンスは際限なく悪化する。魔物の罠は男が思っているほど甘くはない。怖い怖い。ギャンブルと同じだ。
まっとうなギャンブラーはギャンブルそのものに恨み言など言わない。負けて当然という潔さが身についている。わかった上でなおギャンブルを愛するわけだ。
オンナ遊びがしたい人は、正しいギャンブラー精神を旨に頑張らないといけない。負けて当然だと思ったほうがいい。
ギャンブルと違うのは「大穴」は狙わないという点だけである。
下品でスイマセン。
さて遊びじゃない色恋の話に戻る。
自分の気持ちが浮き立って、いろいろな感度が鋭敏になって、充実感すら覚えるのが恋愛である。この感覚って無理して作り出せるものではない。
そんな状態に陥ったら儲けものである。贅沢な時間と言っていいだろう。
これをコスパが悪いといって逃げてしまうのは「贅沢」と「無駄遣い」が混同されているからだと思う。
「贅沢」には高揚感や充実感がともなう。自らの活力源、エネルギー源になる。
無駄遣いは文字通りムダである。心が疲れる。後悔でいっぱいになる。
言うまでもなく、同じ散財するにしても大きな違いがある。ここを勘違いしてはいけない。
粗末な服を着ている時より、自分が気に入ったパリっとしたものを身につけている時のほうが姿勢や表情が良くなる。もちろんモチベーションがまったく変わる。
そんな服を買うことは無駄遣いではない。必要な贅沢である。例え安くても粗末な服を買うほうが自分の気持ちをドンヨリさせるなら単なる無駄遣いである。
なんだかまとまりがなくなってきた。
無駄遣いなのか、建設的な贅沢なのか。色恋に向けるエネルギーや労力は後者だと思う。
2015年10月26日月曜日
色恋の価値
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