2021年6月7日月曜日

酒を出す店は悪いのか


世の中に漂う空気ほどよく分からないものはない。曖昧で頼りないものに思えて、その一方で結構なパワーを持っている。

 

いわゆる同調圧力ってヤツもそのひとつだ。インターネット社会は私刑社会とも評されるが、その流れがコロナ禍で一層強まっている。

 

神経質に相互監視が行われ、異質な行動や意見、目立った存在はすぐに攻撃の対象になる。事なかれ主義が正義かのように勘違いされ、結果、自ら考えるという当たり前のことがおざなりにされる。

 

お上にとっては好都合だろう。飲食店への“要請”はその最たる例だ。東京では夜8時には閉めろ、酒は出すなという話が今や常識になっている。

 

リモートワークの奨励だけでなく、今度は出社した人は夜8時にまでに仕事を終わらせろなどと言い出した。根拠不明、まさに「やってる感」のためだけの号令だ。

 

大事なことは何か。本来はその一点を考えればいい話だ。人が密に集まらないこと。それこそが感染予防の目的である。

 

それなのに「酒を飲むな、夜は街にいるな」がメインの目的のようになってはいないか。実にトンチンカンだろう。

 



 

見回り隊の人々が、堂々と営業している風俗店を素通りして隣にあるガラガラの飲食店が酒を出していないか必死にチェックしていたという話を聞いた。もはや喜劇だ。

 

感染防止措置なのか禁酒法なのか、目的は何なのか。実にトンチンカンだ。

 

昼時に混雑する定食屋でグループが大声で騒いでいても問題ナシ。かたや夜に一組、二組程度の客が静かに酒を飲んでいる店は悪の権化のように扱われる。

 

要請に応じた飲食店への補償金がスピーディーに手当てされているならまだしも、多くの店が今年初めの分すら受け取っていないそうだ。

 

死活問題に直面する飲食店が要請に応じなくなっているのも当然だろう。

 

なんだか重苦しい書きぶりになってしまった。

 

というわけで、私は混雑している店は避けているが、今もアルコールを提供する店にちょくちょく通っている。どの店もしっかり感染予防に努めているので呑気に晩酌を続けている。

 



 

お酒を出す店もトラブルを避けるために、電話問い合わせの際には酒は出さないと答えたり、混雑していない時に限って酒をOKにしたり、中には外からの視線を気にしてウーロンハイや緑茶杯だけを出すなど臨機応変に対応している。

 

なんだかその臨機応変に対応させているエネルギーが無駄なことに思えて仕方がない。

 

時短営業要請だけでアルコール禁止ではなかった頃と、アルコール禁止にした今とを比べて明確に感染状況に差が出ているならともかく、よく分からないムード、雰囲気で右往左往させられる人たちがとても気の毒だ。

 

聞くところによるとオリンピックの選手村ではコンドームが無償配布され、酒の持ち込みも認められるそうだ。

 

そんな話を聞けば、必死に苦境に耐えている飲食関係者や一般国民が不快に思うのも無理はない。


まあ、選手村は宿泊施設だから酒を飲むのは問題ないのだろうが、飲食店への酒の持ち込みすらお上から規制されているご時世だから、ツッコミたい人が続出するのも理解できる。

  

いずれにせよ、すっかりオリンピックが“鬼っ子”みたいになってしまい、現場で頑張っている人やアスリート達はやたらと肩身が狭い思いをしているらしい。まさに負の循環だろう。

 

未知のウイルスであるコロナが原因だから仕方ないという理屈もあるが、はっきり言って詭弁だ。

 

政府による後手後手かつ細切れの政策、外交の失敗など、今の混沌とした状況は人災という側面が大きいことは間違いない。



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