2023年11月13日月曜日

寒くなってきたら…


いつまでも生暖かい日が続いたからスーツの衣替えは11月の2週目の週末になった。先週まではヘンテコな気候だった。大地震でも来るのかと心配になってしまう。

 

ようやく秋も深まり冬が近づいてきたが、人間の体は不思議なもので季節によって食べたくなるもの、美味しく感じるものが変わってくる。

 



イクラと並べてみたのは寒い季節のヒーロー!?である白子だ。新富町のお寿司屋さん「なか山」で出された逸品。白子ポン酢も気の利いた店だと温かい状態で出してくれるのが嬉しい。口の中で広がる旨味がより強く感じる。酒のアテとして殿堂入りの逸品だろう。

 

カツオも今の季節はとくにウマい。適度に脂の乗った鰹の刺身や握りは秋の楽しみだ。マグロが魚業界の王様のように思われているが、ウマいカツオの香りや味わいはそこらへんのマグロが太刀打ち出来ないレベルだと思う。下の画像はサッパリめのカツオ。これはこれで夏場には良かった。

 



カツオといえばタタキが人気だ。私も大好きである。藁焼きのカツオにスライスした生にんにくを加えて豪快に頬張るのは日本人ならではの楽しみ方だ。それはそれで素晴らしいが、脂の乗ったカツオは単純に刺し身でも充分に美味しい。生姜醤油との相性も抜群だ。

 

握りのネタとしては目立つ存在ではなく、二番手扱いみたいな印象もあるが、今の時期のカツオは握りにしても最高だろう。上等なマグロの赤身と適度に脂の乗ったカツオ、それに穴子に茹で海老、小肌があればそれだけで寿司大会は充分かもしれない。個人的にはそのラインナップだけあれば満足しちゃうほどだ。

 

カツオついでに銀座のおでん屋さん「おぐ羅」のカツオタタキに話題を移す。この店の定番がカツオのたたきを食べ終わった皿におでんの豆腐を入れるパターンだ。

 



カツオのたたきには薬味が妙にたくさん入っているのだが、後で追加投入する豆腐のことを考慮しているからだろう。カツオが大好きな私はタタキだけでもハッピーなのに残り汁(タレ?)に熱々の豆腐が投入される二度楽しい感じが好きだ。

 

思えば15年以上前からこの店に出かけるようになった。本来私はおでんが嫌いだ。でもこの店の銀座っぽい空気感と風情、気の利いた一品料理に魅せられて通い続けている。

 



私は育ちがすこぶる良い!?からいまだに猫舌である。おでんの豆腐などその熱さにイライラしてしまう。しかし、カツオに使ったポン酢ダレのおかげですぐに豆腐は冷めてくれる。残しておいた薬味をトッピングして味わえば至極の一品になるから堪らない。

 

15年ぐらいに渡ってカツオのある季節にはこの組み合わせを食べ続けている。「丸椅子のくせにやたらと高い店」というのがこの店に対する私の第一印象だったのだが、一品料理のレベルの高さはテキトーな割烹料理屋より上だから今ではコスパを気にすることも無くなった。

 




クジラベーコンも上等なものを出してくれるし、枝豆の端っこをカットして出すような細かい気配りも銀座の名店ならではだ。アジフライなどもそこら辺の定食屋や居酒屋と違って実に丁寧に作られている。

 

嫌いだけどおでんをまったく食べないのもカッチョ悪いので、ぜんまいやつみれ、揚げ物系や玉子などを注文して野菜から逃げるようにしている。このあたりは味覚がお子ちゃま的である私の弱点である。

 


 

それでもこの店のおでん出汁は無条件に美味しい。永遠に飲めそうな気になる。シメに茶飯を軽く茶碗に盛ってそこにたっぷりとおでん出汁を浴びせ倒すと世界中のグルメウンチクがアホらしく思えるほど崇高な一品になる。

 

寒くなってくると混雑してなかなかふらっと入れなくなるのが玉にキズだが、それもそれであの店の特徴だから仕方ない。いつもガラガラだったらウマいものもウマく感じないのかも知れない。

 

人間の感覚や味覚なんてそんなもんだろう。

 

 

 

 

 

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