「どんどん吸って早く死ねばいい」。どっかのお医者さんがタバコ問題でこんな発言をして問題になっている。
禁煙が進むと結果的に医療費がかさんで大変だという話のついでに出た発言らしい。
そんなに問題だろうか。厚生労働大臣が言ったわけでもないし、前後の話の流れからすると、過激な話だとも思えない。
このお医者さん、喫煙者だそうだ。あくまでタバコは自己責任であり、禁煙政策よりも医療や介護を受けられない人への対応が大事という持論があるとか。立派な主義主張だと思う。
言葉尻を捉えて、やたらと糾弾したがる風潮って何だか気持ち悪い。麻生首相を擁護するわけではないが、昨年12月、「たらたら飲んで喰って何もしない人の医療費をどうしてオレが払うんだ」と発言して結構なバッシングを受けた。
仕事もせず健康維持の努力もしないで病気になった人の医療費も、節制して働いている人が負担していることへの批判だ。首相というポストでの発言がまずかったわけで、話の内容は正論だ。
冒頭で紹介したタバコの話も同じだろう。頑張って節制して働いている人にしてみれば、ヘビースモーカーの病気治療に自分の医療費が湯水のように使われたら堪ったものではない。
そんなこと喫煙者の私でも同感できる。喫煙者の私が納得しちゃうのだから、お医者さんの発言がことさら責め立てられることが気の毒だ。
いまどき、喫煙が健康に悪いことを知らない人はいない。そう考えると社会保険料負担だって、喫煙者と非喫煙者で格差をつけてもいいと思う。
民間の生命保険であれば、加入時に非喫煙者への割引があると聞く。社会保険料にも同様の考え方があっていい。喫煙者の私が言うのだから説得力がありませんか。
さてさて、言葉狩りの風潮だ。冒頭のお医者さんの発言が講演会で飛び出したように、やはり話し言葉だと、噛み砕いて説明する際に多少の脱線はありえる。
例えそれが、誰もが本音では思っていることでも、発言者のポジションによって大きな問題になる。
子どもの頃だったか、有力政治家が戦時中の日本の占領政策について「日本は良いことだってした」と発言して大問題になったことがある。なぜ問題になるのか分からなかった。歴史に詳しいわけではないが、そりゃあ統治していたら、善行の一つや二つ無いわけがない。
いまインターネット上のブログが新しいメディアとして機能している。社会的信頼度の低さは今後も変わらないだろうが、旧来型メディアとの根本的な違いが見逃せない。
旧来のメディアでは不可能な「本音の部分の正論」が、どんどん発信される。既にこのスタイルは確立されつつある。
変な話、冒頭のお医者さんの発言に肩を持つ既存メディアは存在しない。でも、実際には、私のように擁護したいと考える人は物凄い人数にのぼるはずだ。そんな話がどんどん発信される。
もちろん、インターネットという魑魅魍魎の世界では、やたらと右や左に偏った話、弱者差別を助長するような話が増長する怖さがある。その点では、既存メディアの予定調和的論調の意義も否定されるものではない。
ただ、既存メディアのお約束事的な物事の捉え方だけでは限界に来ているのも事実だろう。このバランスが保たれれば、大げさな話、言論の世界における大革命だろう。
ちなみに、ひと頃に比べて、企業の派遣切りを悪者視するようなメディアの論調が減った気がする。推測だが、ネット世論が確実に影響しているのではなかろうか。
派遣切りを肯定する論調がネット上では思った以上に多かった。多数派だったかもしれない。なかには単なる弱いものイジメみたいな類もあったが、論理的に主張が展開されているものも多かった。
企業側を悪者視するお決まりの大メディアの論調は徐々に勢いを無くしていった。そこにネット世論が関係していたことは間違いないように思う。
「済州島を買っちまえ」。小沢民主党党首の発言だ。国会や公的な場で発言したわけではなく、労組の親分との会話らしい。
お決まりの「報道」を引用してみる。
●●「済州島を買っちまえ」。前連合会長の笹森清氏は11日夜、都内で開かれた会合であいさつし、かつて民主党の小沢一郎代表と会った際、小沢氏からこんな話をされたと明かした。笹森氏は面談の時期には触れなかったが、韓国の国民感情を刺激する話題だけに同国の反発を招きそうだ。●●
これは時事通信の記事。最後の2行が特徴的。「近隣諸国」からの反発を煽りたがる旧来型メディアお得意の表現だ。
発言を一部だけ抜き取ってセンセーショナルに報道するのも特徴的だ。上で引用した記事の続きはこうだ。
●●笹森氏によると、面談では小沢氏が「(長崎県の)対馬のことをどう思うか」と質問。笹森氏が「わたしは対馬のことを心配している。(韓国の)ウォン経済に買い占められそうだ」と答えると、小沢氏は「今は絶好のチャンスだ。円高だから(韓国領の)済州島を買っちまえ」と語ったという。●●
なるほど、経済力という種類の話の流れだったのかと言うことが分かる。でも最初の引用だけをインプットすると「小沢さん、気でも狂ったか!」という印象だけが残る。
記事の作り方という点で、イヤらしい意図がプンプン臭ってくる感じだ。こういう旧来型メディアの姿勢こそがネットメディアからすると不愉快に映ることも多いのだろう。
今日はタバコの話を書こうと思っていたが、どんどん話がそれてしまった。長々失礼しました。
2009年3月13日金曜日
言葉尻
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