来年度改正に向けた税制審議がスッタモンダしている。民主党政権になって初の政府税制調査会での議論が大詰めを迎えているが、今週末の結論取りまとめまで揉め続けそうだ。
さきの総選挙での勝利は、あくまで民主党に吹いた突風が原因であり、マニフェストが評価されたわけではないという屁理屈もあるようだが、あれだけ高々と掲げられた政権政策は、当然守られるべきもの。
まさに最低限の信義の問題だろう。
ところが政権を取って半年も経っていないこの時期に、堂々とマニフェストに掲げた公約をホゴにしようという動きが強まっている。
中小零細のオーナー系同族会社を狙い打ちにした「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の廃止」は、わざわざマニフェストに取り上げられていたシロモノ。
税制関係のマニフェストの中で制度名まで明記されていただけに、税界関係者にとっては民主党政権のトピックとして認識されていた。
ところが同制度廃止による減収額(約670億円)を補充する見合いの財源がないという理由で、廃止が見送られる公算が強まってきた。
やはりマニフェストに得意げに掲示されていた「中小企業の法人課税の軽減税率引下げ」に関しても同様の理由で見送られる可能性が強まっている。
なんだかなあ~って感じだ。
見合いになる財源がないから見送ります、などと言っていたらすべての新しい政策は実行されないという意味だろう。
民主党内では「今やるべき課題なのか、明日の生活に困ってる人に財源を回すほうが優先」という理屈を、いけしゃあしゃあと約束を破る理由にしている。
信用して投票した有権者に対して説得力を持つ理由には思えない。
税制調査会の議論をオープンにして、記者にも公開しはじめたのはとても画期的だが、肝心な部分は密室協議になっている点も見逃せない。
経験不足のせいで結局は官僚の支配下で動いているという指摘もあながち的外れではない。今週末にまとまる税制改正大綱でマニフェスト違反が堂々と成り立つようだと、税制以外の政策も迷走しはじめることは確実。
マニフェストに違反しようと、もっともらしい理屈をこねれば通用するという意識が強ければ、ウソツキ政権という批判は強まるはず。
子ども手当にしても所得制限をつけないといいながら、既に反対派の声が強まっており、なんらかの制限が用意されることは容易に想像がつく。
わが社の新聞では、今後どのように動いていくか読みにくい税制展望やその影響、また課税強化に対する防衛策なども次々に企画中だ。読者から寄せられる不安は「どれが本当の情報か分からない」という内容が多い。的確な情勢分析が専門報道の使命だと思う。
なんか全部が行き当たりばったりの日和見的な感じで、信頼という言葉からもっとも遠い印象がある現政権。
鳩山首相がオバマ大統領に言った「TRUST ME」。どうにもうさん臭い言葉に思える。
2009年12月15日火曜日
ウソツキ
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