2010年9月29日水曜日

石垣島 リベンジ

8月後半の潜水旅行では、天候の関係で沖縄本島の本部エリアで潜る予定を急きょ変更して石垣島にマンタを見に行った。

石垣島・川平エリアには世界でも稀なマンタとの高い遭遇率で知られるダイビングポイントがあり、8月、9月ならその確率は「ほぼ100%」と言われる。

15年前に訪ねた際には、実際に「ほぼ100%」マンタに遭遇したが、先月行った際には想定外の惨敗。マンタポイントに3回潜って1度も遭遇しないというアンラッキーな結末だった。

実は15年前にマンタを撮影した写真はネガごと無くなってしまった。当時一緒に旅行に行った”前の奥さん”が家を去る時に捨てたらしい。

ビミョーな話だ。

一応、四半世紀にわたってアチコチの海を潜ってきたベテランフォト派ダイバー?としては、マンタの画像ストックがないことは耐えられない。どうしても撮影したい。

8月にマンタに会えなかったイライラは想像以上に私の心をむしばみ、食欲減退をはじめ自律神経にも異常を来たし、幻覚まで見るようになってしまった(ウソです)。

というわけで石垣島にリベンジに行ってきました。

8月の惨敗から1ヶ月。東京が急に寒くなった週末と祭日を絡めて出かけた。この1ヶ月、毎晩毎晩、寝る前に両腕を左右に広げて上下にヒラヒラする「マンタダンス」を欠かさず、毎朝近所の神社に願掛けに出かけてマンタとの遭遇を祈願してきた(ウソです)。

潜水初日の2本目にいざマンタポイントへ。
透明度が悪く、すぐにでも現れそうな予感むんむん。エントリーしてすぐにこの日の水平透明度ギリギリあたりの20メートルほど先にやたらとデカいマンタ登場。

ただ、ちらっと見えただけでヤツは消えた。やばい。これでも一応見ちゃったことになる。このまま終わったら水中写真家が本業(大ウソです)である私にとってリベンジにならない。

しばし、マンタをじっと待つ。そしてヤツは音もなく現れた。嬉しくて涙チョチョぎれだ(半分ホントです)。腹にコバンザメをくっつけて堂々の登場だ。何度見てもあの雄大さは素晴らしい。海を羽ばたく怪鳥のようだ。

(画像をクリックすると拡大します)




世界にも稀なポイントだ。さすがに出る時は出る。その後も続々登場。このエリアがクリーニングステーションになっているため、身だしなみを整えに彼らはやってくる。

この地域では地元ダイビング業界の申し合わせ事項がある。マンタがホバーリングする根に上がってはダメだとか、追ってはいけない、進路妨害は禁止だとか、もちろん触ってはダメだとか様々なルールがあるので、なかなか撮影のために大胆な行動が取れない。

私と一緒に潜ったグループだけでなく、水中でマンタ待ちをしている大勢のダイバーの目が気になる。図々しい私もさすがにルール違反撮影は無理。実際にマンタが留まる根に上がりかけて、見知らぬショップの引率ダイバーに怒られてしまった。

この日、マンタポイントにはダイバーを乗せた船が17艘来ていた。ざっと200人から300人は数百メートル四方に潜っているわけだ。マンタ待ちをする場所は皆さんそれぞれ。どれだけマンタが近くに来てくれるかはあくまで運次第だ。

今回それなりに「証拠写真」は撮れたが、もし他のダイバーの目線がなければ、プロ級の画像が簡単に撮れるのは間違いない。

まあそんなワガママは言えない。いかにマンタの通り道にいられるかという運とマンタの移動コースをどう読むかで撮影できるかどうかが決まる。



触れられるほどではないが、運良く私から2メートルぐらいの場所をマンタが通過してくれた。連日のマンタダンスと神社通いの成果だ。太陽を入れてそれなりに撮影できた。

水面にはシュノーケルのツアー客も写っている。水深12~3メートルあたりにいるマンタを水面から見ても黒い背中がボンヤリ見えるだけだろう。ちょっと気の毒だ。私が追い回せば、マンタはバク転の一つもしてくれるはずだから追っかけようかと思ったがさすがにガマンした。

接近撮影できた個体はさほど大きくはない。それでも「翼」を広げれば軽く3メートルぐらいはありそうだ。優雅に舞う姿にしばし見とれる。

レンズはトキナーのフィッシュアイズーム。銀塩時代の表現だと「16~24㎜」相当の画角だ。これほどマンタ狙いに適したレンズはないと思う。

15年前には、超広角系でズームが可能なレンズなど無かったので、16㎜を装着するか、20㎜レンズを装着するか大いに悩んだものだが、いまではオールマイティーに撮影可能。

正直、今回程度の接近では28㎜クラスがベストだったようにも思うが、水面と太陽も入れるとなるとフィッシュアイは威力を発揮する。



24㎜側にズームしておけば、離れた場所でマンタと接近するダイバーの様子も一応記録に撮っておける。人物が入るとマンタの大きさも伝わりやすい。

と、言いながらこれを撮っている時はマンタの近くにいるダイバーがうらやましくて地団駄を踏んでいた私だ。

今回もマンタポイントには3回潜った。2回目は45分ほど待機したが現れず、あきらめてボートの下の水深4メートル付近で浮上前の安全停止をしていた。それでもキョロキョロと周囲を見回していたら遠くから2枚(マンタはなぜか一匹二匹ではなく一枚二枚と数える)一緒に泳いでくる姿が目に入った。


安全停止をやめて再潜行。なんとか撮っては見たもののチョット遠くて良く分からない。残念。今回の目標は1枚ではなく、2枚以上のマンタを同じフレームに捉えることだったので、せっかくのチャンスを逃して悔やむ。

でも見られただけで喜ぶ。また潜りに行く言い訳が出来た。

マンタポイントに3回目に潜った時は水平透明度が15メートル弱と濁りが強く浮遊物も多かった。撮影環境としては劣悪だったが、それでも小一時間のうちに7回ほどマンタ登場。透明度が悪い分、登場する感じも突然「ヌボ~」という雰囲気。萌え萌えだ。地元のガイドさんによると個体数では4枚だったそうだ。

接近遭遇できたマンタもいたのだが、濁りの関係でバッチリの写真は撮れず。それでもなぜか周りに他のダイバーがいないタイミングだったので、その迫力を堪能できた。見つめ合えたからOK。


まあ遭遇、撮影した私自身は大感動なのだが、こうもマンタの画像ばかり並べるとやっぱり少し不気味に思う人もいるかもしれない。

どこかの国の昔の漁師は、「マントをまとった悪魔」とか呼んでマンタを忌み嫌ったという話もある。マンタの語源もそこにあるらしい。いまでも「デビル・レイ」という呼称もある。メジャーリーグの球団名にもあったような気がする。

実際のマンタちゃん達は、エイにしては珍しく尾っぽに毒針もなく、プランクトンを補食する穏やかな生き物だ。悪魔と呼ばれるのは気の毒。

汚い画像で終わるのはイヤなので、濁りの中でストロボの加減と光の向きを一生懸命考えて何とかそれなりに撮った画像を並べてみます。




一応、念願のマンタリベンジは達成した。しかし、人間はワガママなもので、会えただけで満足すべきなのに、もう次回の構想を練り始めてしまった。

もっと迫力のある画像を撮りたい。ワンフレームに3~4枚のマンタが乱舞している画像が撮りたい。いまどきのデジカメなんだから、ついでに動画にも収めてみたい。欲求はつのるばかりだ。

石垣のマンタシーズンは風向きの関係でそろそろ終了。来年5月ぐらいから改めてシーズンを迎える。梅雨明けあたりにまた行ってしまいそうだ。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

マンタとの遭遇、おめでとうございます。
まるで、ゆったりと飛んでいるようにみえます。

まめ