専門新聞社の編集局長という立場上、時には編集現場にストレートに紙面編成の指示を出す。先日伝達したのは、どうにもヘロヘロの民主党が打ち出した迷走政策への批判記事の企画だ。
~~~「ビンボー大好き国家を目指す民主党政権の愚!!」
富裕層をねぎらうより取りやすいところから取る発想しか出てこないお粗末な大衆オモネリ路線で国の税源はあっという間に枯渇する!!~~~
要はそういう内容の見出しに沿った記事を特集すべきだという打診というか指示だ。
来年度税制改正論議がヤマ場を迎えるなか、漫然とその論議を報道するより、大衆迎合メディアとは別な視点で大局観無き政策を批判すべきだろうと強く感じた次第だ。
少し専門的になるが、民主党が進めている税制改正のうち、個人の税金に関するものは、まさに増税一直線。とくに中堅・高所得者層への攻撃は想像以上に下品。
端的に言って、高所得者層を締め上げるより、そういう階層の人に積極的に消費や投資を促すほうが景気刺激には効果的。ごく自然なことだし、経済活動の牽引役として高所得者層をもっと上手にノセない手はない。
バカのひとつ覚えで、取りやすいところ取る発想しか出てこない今の状況は悲劇的だ。
民主党が声を枯らして言っていた「生活者目線」は「貧乏目線」でしかなく「国民の生活が第一」というフレーズも「貧乏暮らしが第一」と言っているように見える。
相続税の増税については「ピーク時より課税される人が減ったから」という摩訶不思議な理由が大義名分として使われている。バカなんじゃないだろうか。
ピーク時とはバブルの頃であり、その頃、相続税重税を苦にした自殺とかがあったりして都市の社会問題に発展したから減税をしたのであって、「課税される人を減らすため」に改正しただけの話。
その目的が達成されことを理由に今度は元に戻したいという理屈は一体なんなんだろう。
お粗末なのは給与所得控除の上限導入だろう。企業勤めをしている人は社長から新入社員まで「給与所得者」だが、所得税を計算するにあたって収入に応じた一定の控除額がある。
「みなし必要経費」みたいな考え方だが、高収入を得るような人は当然、低収入の人より控除額が多いのは当然の話。それを年収2千万円で打ち止めにしましょうという話。
一説によるとそのラインを超える給与所得者は全体の数パーセント、18万人程度だとか。そこを増税して一体どれだけの財源が出てくるのか大いに疑問だ。
単なるイヤガラセ。稼ぐことは悪ですよと国家が宣告しているお粗末な話。
給与所得控除の上限導入は、極論すれば、収入2千万円を超える人だけは違う税制を適用しますと言っているようなもの。税率5%の消費税を高収入の人は10%にしますと言われるのと変わらない。
企業経営者などある程度自分の給与収入をコントロールできる人ならどうするか。結局、自分の収入を2千万円以下に抑えて、抑えた分は奥さんを専務かなんかに据えて、そっちで支出するみたいな“調整”をするだけの話。
もしくは、表面上の給与収入は抑えて、会社経費での消費活動を増やすことになる。
いずれにせよ、高収入を得るような人物がそうした後ろ向きな作業や知恵出しにせっせと励むような非常に非生産的な空気が蔓延することは間違いない。
中途半端な富裕層ではないスーパーリッチはますます海外に拠点を移して、結果、納税階層の空洞化だって現実的になる。
笑っちゃうのは、普段は「金持ち優遇」を徹底批判することが大原則の一般メディアまでもが「金持ちイジメ」というフレーズを使っていること。
“ブルジョワ鳩山”を“豪腕小沢”を前面に出して政権を取っておきながら、二人を追っ払ったあとは“お里が知れる”旧社会党系勢力が大ハッスル。
民主党政権の実態は、しょせん「金持ちは憎い敵、みんな平等に貧乏暮らしを楽しもう」という路線だ。
つくづくおぞましい。
2010年11月29日月曜日
民主党のバカ
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