世の中に溢れる経営者向けの説教的ビジネス書がどうも好きになれない。作っている人間が経営者でなければ、どうしたって「経営者目線」とは異なる仕上がりになる。
昨年、わが社が創刊した経営者向けの月刊紙は、その点に特に配慮をしながら編集作業にあたっている。
抽象的な精神論を力んで掲載するより、社長さんにとって有益で実践的な情報を提供するほうがとっつきやすいし、実際そうした内容に徹しているため、着々と発行部数は増加中。
タイトルは「社長のミカタ」。経営者にとっての“味方”でもあり、経営者独自の“見方”を掲載しているという趣旨だ。
経営者階層の方々からの直接購入の他、経営者をお客さんに持つ各業種の営業職の人々から顧客配布ツールとして利用してもらっている。
人気コーナーが「賢者の言霊」。著名経営者の金言をエピソードとして紹介する欄だが、このコーナーへの問い合せが結構な数に上っている。
先日も全国ネットの某ニュース番組から紹介したいという連絡を受けた。ダラダラと著名経営者の評伝を読まされるより、その人の発した生きた言葉こそが求められているのだと思う。
いくつか過去の掲載分を紹介したい。
●「慎重とは急ぐことなり」
ヤマハ発動機創業者・川上源一
●「1日にメシは4回食え。3回は食事で、1回は読書」
日本ツーリスト創業者・馬場勇
●「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」
阪急東宝グループ創業者・小林一三
それぞれ味わい深い言葉だと思う。経営者が現場に求めているものがすべて当てはまる。「大胆なスピード感」、「教養と知識」、「基本を疎かにしない地道な努力」。すべて大事な要素だろう。
これ以外に印象的だったのが日清食品創業者でカップラーメンの父と呼ばれた安藤百福氏の言葉だ。
●「遅い出発とよく言われるが、人生に遅すぎるということはない」
ごく当たり前のようでいて、その背景を知ると説得力が格段に違う。安藤氏はそれまで手がけてきた事業が46歳の時に破たん、それからわずか2年後、48歳の時に畑違いの即席メンを完成させたという。
その負けん気、バイタリティーは想像を絶する。ヤワな中年としてボンヤリ生きている私にとって実に刺激的だ。
中年になるとついつい何事に対しても分かったような顔をしてしまう。分別顔とでも言うのだろうか、自分自身の狭くて小さい感覚の中に閉じこもって固まってしまう。
ここで新鮮な発想と新鮮な心を持てるかが、中年以降の人生が盛り上がるか否かを決めるのだろう。
先日、漠然と暖めている新しい仕事について協議する機会があった。同じような構想を抱いている妙齢の女性を紹介してもらい、初対面にもかかわらず数時間にわたって考えを披露し合った。
その仕事、テーマとしては実は「エロ方面」だったのだが、大真面目に初対面の男女がケンケンゴウゴウと意見交換。端で見ていたら不可思議な光景だったかも知れない。
まだブレストの入口みたいな段階なのだが、そんな一歩ですら踏み出さなければ何も始まらない。それこそ遅すぎることはないし、自分の凝り固まった固定観念を打ち破るいい機会だと思う。
まあ、本業の大ピンチをさておき、そんな構想にかまけてばかりではいけない。それはそれ、これはこれでケジメをつけて邁進しないとなるまい。
そんな時、冒頭で紹介した『社長のミカタ』・「賢者の言霊」コーナーの最新掲載原稿が回ってきた。
●「社長と副社長の距離は、副社長と運転手の距離よりも遠い」
元帝人社長・大屋晋三
自分の名刺の肩書きを「副社長」ではなく「“福”社長」にしようかとシャレで考えているようなフラチな私だ。
やっぱり最後の最後、後ろに誰もいない「社長」という重いポジションとは随分緊張感が違うのだろう。
反省しないといけない。
2010年12月8日水曜日
賢者の言霊 社長のミカタ
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4 件のコメント:
経営者は大変ですね
コメント有難うございます!
何はともあれ健康に注意ですね。。
ブログを拝見して共感した中小企業経営者です。早速「社長のミカタ」の申し込みを致しました。いつか銀座界隈でお会いでする日を気長に楽しみにしております。
コメント有り難うございます!
ミカタのお申込もいただいたようで恐縮です。
中小企業経営者目線の媒体ってありそうで無いのが現状です。ひと味違う「ミカタ」にご期待下さい!
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