大人と子どもの根本的な違いは、物事を短絡的に捉えるか、多面的に捉えるかだろう。場当たり的なのか、中長期的な視野なのかも大きな違いではある。
能力の差こそあれ、大人であれば、一を聞けば二とか三ぐらいは考える。どんなマヌケでも子どもよりはアレコレ思案する。一が一でしかないような短絡的な感覚では、バカとか無能とか呼ばれる。
なんか説教じみた前振りになってしまったが、大人の社会でバカとか無能と呼ばれるのは中々セツナイことだろう。
多少のバカでもそう呼ばれないように一生懸命思慮深いフリをしている。私自身もそうやって何とか日々をやり過ごしている。
さて、1億ウン千万人の国民を引っ張る立場の政権与党が、くだらない内輪モメでガタガタしている。
素晴らしい学歴や経歴、ご見識をお持ちのセンセイ達だ。やれ小沢が嫌いだ、やれ大臣になりたいとかの下世話な理由で短絡的に騒いでいるわけではないだろう。
きっと中長期的な深謀遠慮のなか、われわれ凡人が及びもつかない考えあってのご立派な行動なんだろう。
じゃなきゃ、ただのバカで無能だ。きっとそんなはずはあるまい。バカで無能な人達に率いられているとしたら悲しすぎる。
さてさて、そんなビミョーな人達が構成メンバーである国会では、いろいろと法案が通らなくてスッタモンダしている。
予算しかり、予算関連法案しかり。かつてないイレギュラーな事態だろう。
税金関係メディアの仕事について20年以上経つが、年度税制改正法案の成立見込みが立たないという状態は記憶にない。
とはいえ、日切れ法案などの期限切れで国民生活にマイナス影響が出るのは誰でも分かるので、一応、次年度改正案は成立前提で対処方法を考える必要がある。
今度の改正では相続税の大増税が大きなトピック。いままではお金持ちや資産家だけに関係する税金というイメージだったが、首都圏に一戸建てを持っているぐらいで充分にターゲットになりえる内容だ。
持ち家促進を散々あおっておいて、持ち家には相続税をかけましょうという実にケシカラン話でもある。
そんな感情論はともかく、相続税が「身近な税金」になったという意味では、今回の改正は歴史的と表現しても過言ではない。民主党という政党の体質を端的に表わしている。まさに正体見たりって感じだ。
さて冒頭の話に戻る。短絡的か中長期的視野かの話だ。
優秀な人々が集まって組織されている政権与党サマのことだ。相続税増税もきっと中長期的視野に立ったスンバラシイお考えの中で生まれたのだろう。
短絡的にこんな政策を打ち出したのなら、バカで無能だ。
生前に所得税などをしっかり払って残った遺産にまたまた相続税をガッポリかける仕組み自体が違法ではないかという「そもそも論」で国を相手に訴訟を起そうという動きもあるらしい。
感覚的には相続税は二重、三重課税の最たる制度のように思えるが、今回の大衆課税化でそう考える人が増えることは間違いない。
俗に「三代続けば資産は無くなる」と言われ続けてきた。これまでの資産家相手の相続税制度の中で生まれたフレーズだ。こんな言葉も重税感が強まれば様変わりするかもしれない。
頑張って資産を持っても、死んでしまったら国が収奪することが当たり前のようにまかり通る国。資産家になった人、これから資産家になる人達は、その現実をどう捉えるだろうか。
答えは簡単。「見切りを付ける」。この一点だ。人材の海外流失は加速する。そうなれば、国は尊い税源を失う。だれでも理解できる流れだろう。
政権与党サマがバカで無能じゃないのなら、こんな理屈は分かりきっているはず。分かりきった上で社会主義的なそういう方向を目指すのなら物凄く恐ろしいことだと思う。
変な話、今回の相続税増税はバカか無能が場当たり的に考え出した政策だと信じたい。
2011年2月25日金曜日
バカか無能
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