2011年5月25日水曜日

接待

社会人になって四半世紀近くが経過したが、営業畑の仕事をしたことがない。だから世の中の営業マン達の営業ならではの感覚やセンスに感心することが多い。

編集というちょっと異質な畑にどっぷり浸かっていると、社会人としての常識からズレてしまうことも少なくない。もっとちゃんとしないといけない。

世の中の職業のうち、トップレベルでお行儀が悪いのが新聞記者連中だろう。専門新聞や中小ローカル紙ではなく、名だたる大新聞の連中がとくに悪い。

インターネットの動画中継のおかげで、連中のガラの悪さが随分と話題を集めるようになった。

東京電力とかの記者会見を動画で全編見てみれば一目瞭然だ。チンピラもビックリ、まさに「何サマ」である。自分達の後ろには何百万人の大衆が付いているんだという奢りが、オトナとして、社会人として異常な言動につながる。

世の中で急速に進む新聞離れの原因が、自分達の傲慢不遜な姿勢にあるという認識が欠如している。ネットにあふれる情報を「信頼性に疑問」だとか言いながら、自らは記者クラブ制度の巧妙な仕組みによる御用報道に励む。

原発問題でも独自の現地調査報道を展開する動きはない。安全神話を醸成するようなムードを煽りながら、一方で自分達の社内ルールでは、原発周辺への立ち入り制限範囲を拡大する。一説によると今では各社とも50キロ圏内には立ち入らないよう自己規制を徹底しているらしい。

エラそうに書いてはいるが、私自身、営業畑の経験がないせいで、ついつい「態度XL」みたいな状態になってしまっていることがある。反省。

接待された翌日、早々にお礼の連絡をすべきなのにモタモタしていて、相手から先に連絡をもらっちゃうようなヘマをしでかす。

接待という日本的な習慣は、ごく一般的な商行為といえるが、接待する側、される側によって、その意識や心構えというか、真剣度合いが随分と異なる。

私の場合、仕事柄接待をする側になるケースがあまりなかった。それに近いとすれば、懇意になった人から有益な情報を聞き出すために一緒に呑みに行くぐらいだ。接待という言葉のイメージよりはフランクな感じだ。

数字が絡んでくる商談的な接待ではないので結構いい加減にワイワイやるだけ。それはそれでこっちは真剣だが、やはり売上に直結する営業系接待に比べればヌルいのは確かだろう。

接待されるケースの方が多いのだが、これにしても相手方が持ち込んだ商談を決済するとかしないとかではない。だからピリピリするようなものでもない。

この話を記事にしてくれ、大きく取り上げてくれ、あっちの勢力を批判する論調の記事を書けないか、アノ話は書かないでもらえないか等々、相手方の求めていることは大きく分ければそういうジャンルだ。

こればかりは是々非々でしかない。記事としての価値があるか否か、読者に有益かどうか、編集の方向性と合致しているか否か、基本的にはそれがすべて。

それ以外に、その場では具体的な要求や希望はないものの、親しく付き合うことで何かの際にはヨロシクというパターンも多い。

こういうパターンはこちらとしても、日頃からの情報交換につながるから有難い話だし、そういう機会はこっちから作る必要もある。

夜の席だと酔うのが困る。ついつい口もなめらかになりがち。さすがの私も余計なことを口走らないか気を使う。一応、ポジションもある。「あの会社はバカがイバっててやがんな」と思われたら困る。そういう緊張感は一応ある。でも、結構そう思われているような気がする。困ったものだ。

20代の頃、社内の急な世代交代によって、どうやっても経験・力量不足のポストに就いた。会合に呼ばれても周囲は2~3世代年上ばかり。あの頃はキツかったし、さっさと年を取りたいというのが偽らざる本音だった。

オッサンぽい身なりを意識したし、オッサンぽい歌もカラオケのレパートリーになった。実に面倒くさかった記憶がある。

若造だとナメてかかるオッサンと激しくケンカもした。まさに若気の至りだが、対個人ではなく、会社の看板を背負って出ていく以上、会社自体がナメられるのは避けねばなるまい。当時はちっとも武器にならない若さがやるせなかった。

気付けば結構なオッサンになり、そういう気負いも無くなった。気負いが無くなりすぎてかえってマズいぐらいだ。年を取るって素晴らしいと本気で思う。

でも、そろそろ年を取りたくないとか思っているわけだから実に図々しい私だ。

先日もかなり年上の御仁に招待されて一席ともにした。最初こそおとなしく殊勝な顔をして座っていたが、ものの5分でとっとと足を崩し、上着を脱ぎ捨て、いつのまにかタバコも吸い出した。しまいにはゲヘヘと笑ってだらだら呑む。

いやはやガラが悪い。こうなると人間性の問題かもしれない。冒頭で散々、行儀がヒドくてガラの悪い連中のことをエラそうに書いたが、どうやら私も似たようなものだ。

日々反省だ。

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