2012年4月4日水曜日

イケてる街とイタい街

最近、街の変化が気になる。勝ち組負け組とでも言おうか、街の雰囲気、街のクラス感みたいな格差が以前よりクッキリしてきたような気がする。

俗っぽく言えば、イケてる街とイタい街の二極化みたいな話だ。

わが家のある豊島区なんてイタい街の濃度が濃くなってきている。ごくごく一部の高級住宅地は別として、どうもダメダメ感が漂う。

引っ越してきて丸7年が経つ。最近の周辺環境は確実に後退している。小汚い店は大汚い店になり、ガムシャラに安さだけをウリにするチンケな店が増殖。

新しく建つ家やアパートも安普請ばかりで、洒落っ気のカケラもない。気付けば道行く人の様子も垢抜けた気配はなく殺伐とした感じ。

ほんの10年、20年前は、都内でももう少し街ごとの平準化が保たれていたように思う。急激に格差が拡がっているのは確かだろう。

その気になって眺めれば、歩いている人の服装、それなりのレベルの店の有無、高級車の遭遇率など「街のクラス感」を判断する材料には事欠かない。

○×区とか△×区あたりのビミョーな空気が濃い街では、ベントレーとかマセラッティ、ポルシェなんかをを見ることはない。レクサスすら珍しい。タクシーも少ないうえに、流しているのは昔のセドグロばかり。

道行く人を眺めても、100円ショップで売っているようなバックを抱えて、着古した量販スーパーのセール品みたいな服をまとって歩く疲れた様子の人ばかり。とくにお年寄りの身なりに街ごとの格差を感じる。上品そうな雰囲気の「おばあさま」が優雅に歩いている街と、あらゆることから完全撤退したような「バアチャン」がノシノシ歩いている街とに明確に分類される。

お年寄りだけでなく、生まれたての赤ちゃんに関しても違う。新米ママさんの格好だけでなく、ベビーカーにも昔ハヤった表現で言えば、「マル金」と「マルビ」がしっかり反映されている。

住宅地だけの話ではない。繁華街も同じだ。中央区、千代田区あたりはきっちりと安定しているが、品川、恵比寿周辺が伸長するのに呼応するかのように池袋あたりの凋落は激しい。

スカッとしたビジネスマンより、目つきの悪いアジア系の異人さんや胸のボタンを五個ぐらい空けた茶髪のあぶく銭兄さんみたいな人との遭遇率が高い。簡単に違法薬物が手に入りそうな気配がプンプンだ。

書き始めるとキリがない。私自身、職場も家もどうにか現在地からの脱出を真剣に考えたいものだ。もっと気分が上向くような場所を拠点にしたい。ついでに言えば、家だけでなく、家族からも脱出できないものだろうか・・。

おっと、いけない話がそれた。

以前から思っているのだが、私の願望のひとつが「神楽坂に平屋を建てて住みたい」というもの。老後の目標だ。マンションではなく庭付きで純和風の平屋だ。相当な贅沢だと思う。

そうは言っても、あの辺は道路が細く震災時にはかなり危険らしいからよほど広大な土地を手に入れないとなるまい。

うーん、真面目に働いていたら難しそうだから、悪の道にでも手を染めようか。そんな才覚もないから困ったものだ。

神楽坂とか市ヶ谷、麹町、九段、一番町あたりは、私にとって、「東京の濃い場所」だ。東京っぽいところという意味である。地方出身のお洒落な方々が目指す港区系とは一線を画す落ち着いた雰囲気が好きだ。個人的な思い込みだが、ドシッとした雰囲気があるように思う。

なかでも神楽坂近辺はは古くから商人や職人が多く暮らした街だから、堅苦しい感じではなく、どことなく粋で風流な感じがする。一部は観光地化してしまっているが、適度な高級感と気安い感じが同居しているような印象がある。一言で言うならば「はやりすたりとは無縁な東京」って感じだ。

麹町、市ヶ谷周辺も「江戸城のお膝元」というDNAのせいだろうか、流行に左右されるとんがった街とは一線を画す落ち着いた雰囲気が魅力だ。うろうろ散歩しても変な緊張とは無縁。指名手配された人が隠れ住むような街ではない。変な例えでスイマセン。

先日もあてもなく神楽坂を歩いてみた。本多横町から裏路地に抜ける道とか、坂を上り毘沙門天を左に折れた一角とか、そぞろ歩きには楽しい。さすがに昔の花街だ。妙に酒が飲みたくなる街でもある。

ウマい店を探すのにも困らないし、小さいエリアに名店がたくさんある。銀座あたりより値段も良心的で、しっかり矜持を保った店も多い。

最近、飯田橋寄りにある老舗「志満金」に行ってみた。過去ウン十年、目の前は通っていたが大箱っぽい雰囲気に魅力を感じずに素通りしていた。



割烹料理屋だが、元々はウナギ屋だ。いまもウナギがウリらしい。白焼きに鰻重、それぞれ期待していた以上にウマかった。今まで行かなかったことを後悔する。

ウナギの他に一品料理もたくさん用意する店といえば、たいてい、ウナギ自体がマズかったりするが、こちらは問題なし。

あれこれ季節のツマミを食べながらまっとうなウナギを食べたい私にとっては天国みたいな店だ。

旬の刺身、煮物、揚げ物、塩辛などの珍味もあって、それぞれが真面目に作られている。ウナギだって肝煮もあるし、まさに「全方位外交」みたいな世界だ。足繁く通ってみたいと思った。

神楽坂は、イタリアンやフレンチの人気店も多く、寿司の名店もあるし、ウマい焼鳥屋とか、小料理屋もたくさんある。しゃべったら怒られるような静かな酒亭とか、子どもお断りの甘味処なんかもある。

私も以前、小粋な風情の寿司屋を見つけて、ふらっと覗いたら、一見さんはお断りだと丁重に告げられてたじろいだ経験がある。

少しばかり閉鎖的な感じもあの街の魅力だろう。追いやられる側にとっては嬉しくないが、なんでもかんでも開けっぴろげのイマドキの飲食店よりは「ワビサビ感」があって良い。

「アウェーな感じ」を気持ちよく楽しめるところが神楽坂の面白いところだと思う。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

富豪記者様

神楽坂特集、楽しく拝読させて頂きました。つかぬ質問ですが、「カド」というお店をご存知でしょうか?
http://kagurazaka-kado.com/
今はもう閉店してしまいましたが、現在はその古民家がまだ空家のままです。
平屋ではないですが、なかなか風情のある室内造りでした。是非ご近所になって頂きたいなと思いまして(笑)。
にわか住人ではありますが、肩の力を抜いて風の声に耳を傾けると、かつてここで活気良く人生を生きた人々の声が聴こえる感じがして、とても気に入っています。
唯一、赤城神社がコンクリート化してしまった事だけが無念でなりませんが。。。

富豪記者 さんのコメント...

玉さま

カドというお店は知りませんでした。
良さそうなお店だったのに閉店ですか。。

いにしえの神楽坂は、情緒とか風情が今とは全然違ったんでしょうね。