2019年10月18日金曜日

売春師?


今日は載せる画像が無かったから、私が毎週コツコツ書いているコラムを写してみた。

長年、文字を書く仕事をしてきたから言葉にはそこそこ敏感である。時代によって変化するのも興味深いし、マトを得た若者言葉にも感心させられる。

ジワる、エモいなどは高校生の娘が普通に使っている。良し悪しに関係なくニュアンスを伝えるには絶妙な言い回しだろう。

いきがっていることをイキる、風呂に入ることをホカる等々、なかなか面白い。さすがに自分では使わないが大いにアリだと思う。

大人の世界、とくにビジネスの世界に飛び交うわけの分からないカタカナ言葉は好きではない。なんだかゾワゾワした気持ちになる。

リテラシー、ガバナンス、リマインド、コミットメント等々、どうして普通に日本語で言わないのか不思議だ。

ヒューマンエラーだのマンパワーだの、失敗、人材と言えば済む。カタカナにするとカッチョイイ気分になるのだろうか。

カッコつけたい気分で言い換えるパターンはただ薄っぺらいだけだ。良識ある中高年としてはなるべく避けたい。

配慮が背景にある言い換えも多い。自殺を自死、強姦を暴行と言い換えるようなパターンだ。後進国を開発途上国、痴呆症を認知症と表現するのもそうした趣旨だ。

これもあまり神経質になりすぎると違和感がある。看護婦さん、婦人警官もいつの間にか使われなくなった。ごく自然に世の中に溶け込んでいた言葉も時代の流れで変わっていく。

とはいえ、中年の看護師さんの中には自らを看護婦と称していることも珍しくない。それでいいと思う。

「婦」が使えないのなら売春婦は「売春師」になるのだろうか。情婦はなんと呼べばいいのだろう。「情女」か。意味不明である。

ウサンくさいのが物事の本質を隠したり、ごまかすための言い換えだ。かつて全滅を玉砕、撤退を転進と言い換えた日本軍の悪しき慣習は今も脈々と続いている。

ごくごく単純に言えば海上自衛隊は海軍、陸上自衛隊は陸軍、終戦記念日だって敗戦記念日だ。

まあその辺は戦後日本のデリケートな部分だからブツクサ言ったところでしょうがない。

そういう大原則みたいな話はともかく、安倍政権によると、戦闘はあくまで衝突で、武器輸出は防衛装備移転である。ここまで来るとお見事といいたくなる。

防衛装備移転。実に巧みな用語だ。言い換えの見本みたいなものだ。言い出しっぺが誰だか知らないが、ボキャブラリー豊富な優秀な頭脳の持ち主だろう。

国民をバカにした言い換えといえば原発関連だ。原子力発電自体を核発電と言うべきという指摘もあるぐらい、すべてがすべて言葉のゴマカシである。

あの原発事故でさえ事故とは呼ばない。事象と言い続ける。何じゃそれ?って感じである。でも確かに言い換え用語を聞かされた側の印象は操作されてしまう。

老朽化は高経年化である。汚染水は滞留水だ。よくもまあ屁理屈みたいな言葉を堂々と使うものである。

「老朽化が原因で事故が起きて汚染水が溢れ出した」

「高経年化にともなう事象で滞留水が発生」

まるで雰囲気が変わる。ボーッと聞いていたらコトの重大性を見失う。恐いことだと思う。

今の政権は「一億総活躍」など言葉遊びが好きだから、いくつものウサンくさい言い換えを編み出してきた。

森友問題で問題になった資料の「改ざん」は「書き換え」である。書き換えと言われれば書き換えだが、改ざんをそう言ってしまったら単なる屁理屈だし限りなくインチキだ。

最近は何かと話題の徴用工を労働者と呼び始めたし、移民という言葉へのアレルギーを気にして外国人材なる言葉も出てきた。

なんでもかんでもオブラートに包んで印象操作に励んでいる感じだ。どうにも気持ち悪い。

先日、とある会話の中で「あのコはPJだから・・・」と言われた。意味が分からず解説してもらうと「パパ活女子」の略なんだとか。

援助交際という表現の進化形がパパ活だ。要するに売春婦の言い換えである。いや、売春師といわないといけないのかもしれない。

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