2021年5月24日月曜日

大谷翔平のことが書きたい


弱小軟式野球部だったが、一応私は「投手出身」である。野球が好きな子供はまずピッチャーをやりたがる。自分が投げないとゲームが動かない。これが醍醐味。受け身ではなく能動的に野球を楽しめる感じがした。

 

ピッチャーにはピッチャーの練習がある。当然、バッティングは二の次だ。ピッチャーを任されるヤツはもともと野球が得意だから、打つほうもそこそこはこなせる。

 

でも、打撃を必死に練習しているヤツにはかなわない。ピッチャーは練習中はもちろん、試合の時は完全に投げることに集中してそのことばかり考えている。

 

弱小軟式野球部の子供だってそれが現実なのに、世界最高峰の野球の地で楽しそうにニコニコと二刀流をこなす大谷翔平は類い希なる超人だ。

 



 

野球が詳しくない人にはピンと来ないかもしれないが、サッカーのゴールキーパーがスーパーセーブをした後に、そのままドリブルで相手選手をすべて抜き去ってシュートを決めてくるような話である。

 

もっと分かりやすく言えば、ウサイン・ボルトがトラック競技だけでなく重量挙げでもメダルを取るような話だ。

 

もっと分かりやすく言うなら大阪ナオミが卓球でメダルを取るような話だと思う。

 

いわば、ボクシングの井上尚弥が大相撲の横綱を投げ飛ばすぐらい想像を絶するスゴさである。

 

どんどん例えが脱線しそうだからやめる。簡単に言うならアントニオ猪木がフィギュアスケートで活躍するぐらいの話である。

 

投げては160キロを超える剛速球、打ってはホームランを連発。それだけではない。走塁能力の高さも一流だ。

 

ホームランも剛速球も素晴らしいが、私がとにかく興奮したのがショートへの内野安打を二塁打にしてしまった走力とセンスだ。ぜひ動画で見て欲しい。

 https://www.youtube.com/watch?v=rheEKtG5XiA

 

こういう卓越した走塁を見せる選手は他にもいるが、たいていは小技がウリの選手だ。このプレーをした選手がホームラン数でメジャーリーグのトップに立ち、投げてはメジャートップレベルの三振奪取率をマークしているわけだ。

 

リアルタイムで彼の活躍を見られる時代に生きていて良かったと思う。大袈裟ではなくそれぐらいの存在だ。ベーブルースの記録と比較される選手だから文字通り100年に一人の逸材である。

 

その昔、日本のオールスター戦で、当時売り出し中のイチローがピッチャーに起用されたことがあった。パリーグの仰木監督が繰り出した一種のファンサービスだ。

 

バッターは松井秀喜である。球場は大いに盛り上がったが、対するセリーグの野村監督は松井を交代させ、ピッチャーが本職のヤクルト・高津を代打に送った。

 

ノムさんとしては、真剣勝負の場で日本を代表するバッターに対して外野手・イチローを投手として起用するのは失礼という哲学からの交代劇だった。

 

これまたYouTubeで見られます。

 https://www.youtube.com/watch?v=dgpgjhdGEwo

 

何が言いたいかはお分かりだろう。プロの世界では、ピッチャーと野手とはそのぐらい立ち位置が別である。両方を高いレベルでこなす選手は皆無だ。

 

打撃が得意なピッチャーももちろんいる。かの400勝投手・カネヤンは代打で出てきてホームランを打ったことが何度かあったらしい。それはそれで凄いが二刀流とは違う。

 

あくまでたまたまであり、チームの戦略に攻撃力として加味されることはない。だから「9番ピッチャー」という打順になる。

 

大谷は二番バッターだ。現在のアメリカ野球では2番に最強クラスの選手を置く。「2番ピッチャー」という現実がもはやマンガみたいである。

 

先週も2DHとして3試合連続でホームランをかっ飛ばした翌日に先発投手としてマウンドに立っていた。傑物ぶりにアメリカのメディアが「もはや称賛する言葉がない」と表現していたのももっともだろう。

 




 

バッティング、ピッチングともに立ち姿が美しい。あんな構えで打席に立たれたら対戦するピッチャーは自分が投げた球が大谷の打ちたい所に吸い込まれていくような恐怖を感じるはずだ。

 

ホームランバッターといえば、どちらかといえばガッチリ重量系の体型で俊敏さのイメージからは遠い。凡ゴロを打てば一塁に向かってドタドタと走っていく感じだ。

 

かたや大谷は凡ゴロを打っても、まるで忍者のようだったイチローばりに颯爽と一塁を駆け抜けて内野安打にしてしまう。野球の神様がいるとしたら大谷翔平は間違いなく神に愛された選手だと思う。

 

あれだけ身体を酷使しているから故障するのが心配だ。逆に故障しないのが不思議だと考えた方がいいかもしれない。

 

なんとかケガなくフルシーズン活躍して欲しい。そして願わくばオールスター戦で先発投手になり、先頭打者ホームランをかっ飛ばして欲しい。

 


 

  

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