歳をとると歴史が好きになる。そんな話をよく聞く。なぜだかは分からないが、私自身、最近読んでいる本やムックはほとんど歴史モノだ。
長く生きてくると自分の中にも歴史が生まれて、その影響もあって古い時代へのロマンが駆り立てられるのだろうか。
私は子供の頃から歴史がわりと好きだった。大河ドラマの影響で忠臣蔵にハマったのは小学4年生の頃だし、他にも源義経に関する子供向けの本はたくさん読んだ。
あの頃、巨人の高田選手と源義経は私にとって同じような憧れの存在だった。
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では菅田将暉が源義経役だ。義経は間違っても長男キャラではない。なんとなくヤンチャな雰囲気の菅田将暉の義経役はなか興味深いキャスティングだ。
義経、弁慶、静御前ばかりに夢中になっていたから頼朝、頼家、実朝やその後の北条執権時代には興味がなく、いまになってようやく勉強中だ。
歴史の面白さは連続性だろう。比較的誰もが知っている戦国時代も元をたどっていけば平清盛や源頼朝が武家政権を誕生させたことからの続きみたいな側面がある。
一つの時代を面白く感じてアレコレと本などを読むと、その前の時代やその後の時代との関連や継続性に気付いてフムフムと感じる。へー、あの話は今のこの辺りで起きたんだといった土地勘を絡めた親近感も楽しい。
旅行ばかりしていたせいもあって私は一応47都道府県を制覇している。だから何となく歴史上の事件とその場所を想像しやすいのも楽しい。
義経が平家を滅ぼした屋島・壇ノ浦あたりだって、その昔、ウマい讃岐うどんを食べるために屋島まで行ったことがあるからピンとくる。
鹿児島にも何度か行ったから、その昔、京都や江戸に進軍した薩摩軍の“フッ軽”ぶりに感心するし、函館を旅するたびに榎本武揚や土方歳三の負けじ魂に感心する。あの時代に江戸から船で北海道まで行って五稜郭を拠点にしたわけだからそのエネルギーは物凄いと思う。
名を残した人はもちろん、そこには名もない下級武士や関係者が大勢いたわけだから、そんな人たちのことを思うと壮大なロマンを感じる。
小説に関しては歴史モノを読むようになったのはほんの数年前からだ。きっかけは今の住まいに引っ越したせいだろう。近所に隅田川が流れ、時代劇によく出てくる八丁堀あたりの地名が身近にあったせいで、そんな場所を舞台にした歴史小説に親近感を持った。
当たり前だが歴史小説は古くならない点が良い。昭和初期ぐらいに書かれた山本周五郎などの短編を読んでもそもそもの設定が大昔だから違和感なしに楽しめる。
私は偉人の話よりも市井の人々を描いた人情モノみたいな説が好きなのだが、アナログの極みみたいな話ばかりなのが良い。電気も電話もクルマも無い時代の人と人とのすれ違いやもどかしさが切ない。
歴史と言っても幅は広い。聖徳太子とか奈良時代とかにはあまり興味が無い。古すぎてピンとこない。どうしても鎌倉時代以降に興味が集中してしまう。
鎌倉、室町、戦国の世、江戸、そして幕末から維新のそれぞれに面白さがあるが、最近は、維新後から昭和の軍国主義につながっていく時系列に興味を覚える。
出てくる人物が絵から写真になっているというベタな点も良い。想像しやすくなる。このあたりは実に安直かつド素人歴史論でごめんなさい。
維新という名で美化されてはいるが、血みどろのクーデターというか権力闘争によって江戸時代は終わった。それはそれでストーリーとしては面白いが、新政府が出来た後の混迷ぶりが興味深い。
必死に一等国になろうと奮闘した当時の日本人の熱量には独特な魅力がある。言い方は悪いが壮大なドタバタである。悲喜劇は山ほどあったようだ。岩倉具視を中心にした欧米視察団なども異国の地で一体どれほどドタバタしたのだろう。
新政府を作った主役達が2年も国を留守にして西洋事情を見に行ったわけだから凄い話だ。留守を任された西郷さんとかが何もしないという約束を破って勝手に国がひっくり返るような重要政策を実行しちゃう吹っ切れた感じも凄いと思う。
先日読んだ歴史雑誌のコラムでは昭和の満洲国と現代の日本との連続性が興味深く考察されていた。満州国の経営手法が日本の高度経済成長期と密接に繋がっていたという話で毎度のごとく一人フムフムと感心した。
話がまとまらなくなってきた。
私の歴史に関する知識など全体から見れば鼻くそ程度である。もっともっと面白い話が私の今の知識の千倍万倍もあるはずだから今後も脈略無く歴史の小ネタを知っていきたい。老後の趣味としても悪くなさそうだ。
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