基本的に和食党の私だが、さすがに年末年始の和食攻めに飽きてしまい、無性に中華料理が食べたくなった。先週某日、銀座にある「麒麟」というレストランに入ってみた。
6丁目界隈をぶらぶらしているときに、いつも綺麗な店構えが目に入っていたので開拓精神で訪ねた。
いくつもの選択肢から好きな品物を一定の値段で注文できるプリフィックスコースを頼んだ。選べる料理の種類もかなり豊富で、一応フカヒレの姿煮や北京ダックあたりの人気モノも選べる。

そのほかにも別のフカヒレ料理や大正海老の塩炒め、黒酢の酢豚やチャーシューを注文してガツガツ食べる。
お味のほうは別段悪くはないが感動もない。ブログでは、なるべく誉めたいと思っている私だが、正直言ってごくごく普通。価格帯を考えたらもう一息頑張って欲しいレベル。
チャーハンとか麺類もしっかり完食したので、文句を言うほどではないが、いまどきの若者の味覚に合いそうなやたらとハッキリした味付け。そして中華系の店が好んで使う化学調味料の後味がいつまでも舌に残る。
ところで、銀座で中華といえば、福臨門や赤坂離宮、筑紫楼あたりの高級有名店が思い浮かぶが、以前、知人に連れて行ってもらった地味なお店が凄く美味しかったことが印象的だ。
店の名は「羽衣」。7丁目の地下に構える知る人ぞ知る店。特別豪華なわけではなく、気軽な雰囲気でお値段も至極真っ当。そして何を食べても美味しかった。
水餃子、スープ餃子など点心類などは延々食べ続けても飽きないほど味わい深い。その他の料理も、いわゆる一口目のファーストアタックでガツンとくるような強い味ではなく、滋味溢れる誠実な感じ。
銀座界隈に出没する機会がそこそこあるのだから頻繁に食べに行けばいいのに、だいぶ前に行ったきりだ。
ふと思い出したのは、最初にアレコレ書いた中華レストランに満足できなかったことがきっかけ。「もっと旨いところがあったよなあ」とボケッと考えていた時に脳裏に浮かんだ。
店探しの探求心も必要だが、確実に美味しい店にしつこく通うほうが賢明。いつも和食系、とくにお寿司屋さん探訪でそれを実践しているのにこの日の中華はちょっと残念。
食後の腹ごなしで新年の“檀家まわり”。まずは8丁目の「C」へ。タイムスリップしたかのような女性をパチリ。さすがに夜の銀座も正月気分。
この日、夜の街には、和服姿の女性がやたら目に付いた。男性の着物姿もチラホラ見かけた。粋な姿を目指して檀家まわりに精を出す中高年男性客だ。
わざわざ和装するなんてナンダカナーと思って眺めていたのだが、それはそれで格好良く思えたりもする。
今の時代、「わざわざ」って大事なのかも知れない。化学調味料にたよらず丁寧に深い味を出す中華料理の店だって「わざわざ」の部分が美味しさにつながっている。
ホステスさんの日本髪だって、「わざわざ」の労力が客を楽しませる(ギョッとすることもあるが・・・)。わざわざ着物をまとってきたお客さんも、きっと店側から見ればその心意気が心地よいはず。
新しい年、私も「わざわざ」を大事にしよう。今年も「わざわざ」銀座まで行って酒を飲んだりしようと思った。
2009年1月14日水曜日
「わざわざ」って大事
2009年1月13日火曜日
「天地人」 直江兼続と経営者
今年のNHK大河ドラマ「天地人」が高視聴率発進をしたらしい。主人公の直江兼続は、上杉家の智将。「愛」を重んじ「義」を貫いた立派な人。私とは大違いだ。
アチコチで直江さんの話題が取りあげられているが、どっかの雑誌だか夕刊紙で読んだ記事には少し違和感があった。
要は“いまどきの経営者は直江兼続を見習え”という趣旨の記事。ありがちな「ヒーロー礼賛企画」だ。
簡単に言うと、リストラばやりの昨今、人員削減をしなかった直江さんは素晴らしく偉かったから、経営者も派遣切りなどしちゃいけないといった内容。
直江さんは確かに陣頭指揮を執った米沢藩の人員削減をしないで頑張ったそうだ。立派だ。でもよくよく読んでみるそんな単純な話でもなかった様子。
会津120万石から米沢30万石に転封になった上杉家。財政事情が4分の1になったものの、積極的なインフラ整備や産業振興で難局に立ち向かった。ついでにいうと家臣、すなわち従業員の禄高も3分の1にして頑張ったらしい。
フムフム・・。収入が4分の1になったのに人員削減しないで乗り切った。凄いことだが、従業員の給料も3分の1にしていたという部分はチョこッとしか紹介されていない感じが気になる。
インターネットの世界で直江兼続の功績を調べてみても、リストラをしなかったことばかりが強調され、家臣の禄高カットについては触れていないものまであった。
今どきの経営者だって、売上げが激減しても、社員の給料を3分の1にするぐらいの大胆な対策が講じられれば、立ち直りに向けて頑張れる人は多いと思う。
歴史の美談を引用して現代社会の問題を指摘するのは良くあるパターンだが、歴史の引用があんまり恣意的に過ぎるとチョット気持ち悪い。
誤解のないように補足するが、直江兼続の実績や考え方は掛け値なしに素晴らしいことは間違いない。石高が4分の1になったにもかかわらず、発想として人員削減を優先しなかった部分は、さすがに「愛の人」ならでは。世知辛い時こそ「愛」の力って大事なんだろう。
あくまで家臣の禄高も同様に激減させたからそれが可能だったとはいえ、普通の思考回路なら、やはり人員削減に真っ先に取りかかる。あえて雇用維持を優先したという点は、凡人と偉人の違いなんだろう。
なんだかんだ言って、結局、歴史に学べ的な結論になってしまった。
2009年1月9日金曜日
派遣切り、派遣村・・・。本音は。

相も変わらず派遣切りをめぐる情緒的報道が多い。企業経営者向けの新聞を各種発行しているわが社では、あえて紙面で「派遣切りで経営者が悪者視されるのはおかしい」という特集を組んだ。
経営者の責任として、いわゆるゴーイングコンサーンは重要事項。当然、企業を継続させていくには雇用維持も課題のひとつだが、情勢によって雇用調整するのは当然の策。企業防衛の観点から普通の話。法制度として確立されている派遣人員を活用するのは、雇用政策上当たり前であり、業績次第では、まっさきに削減対象になる。
したり顔の経済評論家は、“昔の経営者は血のにじむ努力をして最後の最後まで人員削減などしなかった”などと語っているが、そりゃそうだ。昔は人材派遣という制度がなかったのだから今とはまったく事情が異なる。経営側の問題ではなく制度上の問題だという実態がウヤムヤになっている。
紙面での特集の際、各方面に取材した記者からの報告が興味深かった。著名な評論家に記事の企画趣旨を説明したところ、帰ってきた返答は次のような内容。
派遣切りで経営者が責め立てられるのは筋違いという趣旨に対して「大いに賛同するし、共感する。でもコメントの掲載は遠慮したい」というもの。
“派遣切りは悪”という昨今の風潮を前にわざわざ実名で反論コメントを掲載することにためらいがあるわけだ。
時代の空気を象徴しているような印象を受けた。本音では、「ナンダカナー」と思っていても「派遣切りは好ましくない」という弱者(ニセモノ含む)側の立場に立ってないと面倒という心理だ。
総務省の政務官が「派遣村」についての発言を撤回、陳謝した。「本当に真面目に働こうとしている人が集まっているのか」との発言が物議を醸したので、政府サイドは沈静化に躍起。
とはいえ、当の政務官の個人ホームページを覗いてみたが、寄せられていたコメントの多くが、発言を肯定的に捉えていた。多くの支持者に肯定されているのに陳謝するという構図がなんとも不思議だ。
派遣村については、この目で見たわけではないので、何とも言えない。もちろん、救済が必要な深刻なケースも確かにあるだろう。だとしても派遣人員を削減した経営側を悪者視することとは別な話だ。
ちなみに派遣村問題については、“集まった人の中には世相に便乗したグータラ組が少しは混ざっているんじゃないの”という意識を多くの人が持っていた。これって正直な感覚だろう。
このあたりの話は、立場、考え方でいろんな捉え方があるので、一概にどうこう言えない。ただ、NHKやテレビ朝日あたりのメディア報道とは明らかに温度差を持って捉えている人が相当いることは間違いない。
いずれにしても、このところの派遣切り問題を見ていると、いにしえのイデオロギー闘争を甦らせようという勢力がやたらとハッスルしているように見えて仕方がない。
2009年1月8日木曜日
銀座で九州
年末に山陰に行ったことは先日書いたが、実は当初行こうと思っていたのは大分・別府。濁り湯の温泉と冬が旬の関サバを狙って計画していた。
結局、カニの誘惑のせいで山陰に行ったわけだが、年末のある日、大分の郷土料理を高いレベルで食べさせる店があると聞いて訪ねてみた。
銀座にある「竹の子」というお店。並木通り、三笠会館そばの地下に隠れ家風に構える。
大分・佐賀関漁協の承認店だそうで、いわゆる関モノには定評があるらしい。当然、関サバと関アジの刺身を注文してみた。
想像以上に美味しい。関モノを名乗る刺身は結構アチコチで食べているつもりだったが、こちらの魚は脂のノリはもちろん、味の濃さ、食感ともにすこぶる上等。目からウロコ。カボスを絞って食べてみても実に風味豊か。当たり前のようにこんな刺身が出てくるから、やはり銀座は恐るべし。
あえて残念な点をあげれば、わさびがダメ。練り物を使っていることが非常に惜しい気がした。
この時期は、フグ(この店では「ふく」と読んでいる)が看板メニューらしいが、単品でも頼めるようなので、唐揚げを注文してみた。豊後水道のトラフグだ。まずいはずがない。実際に美味しい。食感がしっかりしており、正しいフグって感じ。揚げ方が少し私好みではなかったが、それなりに満足。
自家製さつま揚げを頼んでみる。これが大当たり。すり身を揚げたお馴染みのものだけでなく、素材そのものに衣を付けて揚げたラインナップが実に味わい深くて気に入った。
椎茸や海老、変わり種では、チーズもさつま揚げの衣をまとって出てくる。素材そのものを衣で揚げるというと、天ぷらとか串揚げのイメージだ。私も半信半疑で食べてみたのだが、しっかりとさつま揚げの味わい。ショウガとちょろっと醤油で味わえば、疑いようもなくさつま揚げだった。熱々で美味しい。
このほかに印象的だったのが「ふく大根」。フグと大根の炊き合わせのようなもの。柔らかく煮られた大根がしっかりしたダシ汁から顔を出している。その上に大ぶりのフグの唐揚げが鎮座している。
さっき食べた唐揚げとかぶっちゃったなあと思ったが、食べてみたら意外にも感じが違う。ほぐした唐揚げフグがダシ汁と混ざり合って味に広がりが出る。
唐揚げ単品で食べた時に少し油がしつこい感じがしたのだが、フグ大根の場合、油が適度にダシ汁と混ざって、淡泊な大根の煮物にアクセントを加える。OK牧場って感じだ。
九州の食べ物には焼酎がバッチリ。焼酎の品揃えが特別多いわけではないが、お店の人がオススメを教えてくれる。居心地も良い。
一品一品の値段は安くはないが、大人がノンビリ過ごすには適度なクラス感は必要。また行きたくなる店がひとつ増えた。
2009年1月7日水曜日
ミッチージュニア

いきなり変なイラストでスイマセン。社内のデザイナーが遊びで書いてくれた私の似顔絵だ。いうまでもなく真ん中が私。麻生さんとオバマさんと会談中というふざけた構図だ。実物の私はもう少し二枚目だと思っているが、はたして真相はどうなのだろう。
イラストついでに今日は政治ネタを書きます。
渡辺喜美元行革担当相が暴れている。父親であるミッチー氏もその昔、離党するしないで一悶着したことを思い出す。
現政権のヘボ低空飛行に付き合っていられない気持ちは当然なのだろうが、選挙が圧倒的に強いからこそ可能なパフォーマンスという見方が支配的だ。
別にミッチージュニアを応援するわけではないが、政治の世界って、どこかでノロシを上げるか否かでその後の運勢が変わる傾向がある。
麻生首相だって、ほんの10年前には誰も将来の総理候補という認識はなかった。あの小泉さんだって懲りずに何度も何度も総裁選の泡沫候補を続けた結果、突如吹いた風によって権力の座を手にした。
ミッチージュニアが何を狙っているのかは分からないが、遠からず必ず起きる政界再編の際には、いま暴れていることが基本的にプラスになると信じるからこその行動だろう。
早いうちから大声を上げていたという事実は、改革派のイメージを色濃くするし、陣笠議員ではなく、すでに大臣経験もあるという点も、とりあえず薄っぺらさを感じさせないキャリアになる。少なくとも再編時にキャスティングボードを握るには、自民党反主流派のままでは苦しい。
政界における「早めのノロシ」で一種の先駆者なのが鳩山由紀夫民主党副代表だろう。弟の邦夫氏の方が政治の世界では大先輩だったが、遅咲きデビューの由紀夫氏、まだヒヨッコ議員時代に「新党さきがけ」を結成。中心的役割を果たして一気に大物議員に昇格して現在に至っている。
民主党政権が誕生した場合、首相の座は小沢氏ではなく、鳩山副代表という見方が永田町を中心にひとつの定説になっている。小沢氏の健康問題や菅副代表のカラーなどの理由で党の実質的オーナーである鳩山氏がトップの座につくという見方だ。
もちろん、まだ紆余曲折はあるだろうが、鳩山氏が遅咲きデビューのまま自民党でくすぶっていたら、こんな話は出てこない。「早めのノロシ」がうまく作用した典型的な例だろう。
気概、信念、明確な国家観を持つ若手中堅議員は多い。ただ、多くが選挙に不安を抱えている以上、党人としての常識を無視してノロシをあげることは不可能。必然的にノロシを上げられるのは、選挙地盤が盤石な二世、三世議員に限られるという構造的な問題が気になるところだ。
オバマ氏を選んだ米国のような「CHANGE」は日本の政治システムでは難しい。この点だけは米国の仕組みが羨ましい。
いやらしい見方をすれば、日本人の頭の良さ、ズルさ改めて感じる。米国とは違い、権力を簡単に手放さないで済むシステムを権力側が営々と築いてきたからこそ、転換が必要な時代になっても転換が出来ない。そんな気がする。
どう転んでも今年は総選挙が行われる。果たしてどういう結果になるのか、ついでにどんな人物、どんな新しい名前がノロシを上げるのか、なかなか興味は尽きない。
2009年1月6日火曜日
山陰カニ旅行
山陰へのカニ旅行2日目。泊まった皆生温泉の湯は塩水系の泉質。入浴後、肌が温泉でコーティングされたような感じで、いつまでもポカポカ。結構いい感じ。源泉温度が高いせいで、旅館の湯は加水してある。
泊まった宿の東光園、日帰り入浴した旅館・華水亭の湯も悪くなかったが、意表を突かれたのが、皆生の外れにある日帰り入浴施設の温泉だ。
その名も「オーシャン」。聞くからに安っぽい名前だ。健康ランド風の施設だが、海沿いに巨大な露天風呂もあり、しっかりサウナもあって穴場。ここの温泉が、今回の皆生温泉の中で一番濃かったのが嬉しい誤算。サウナのためだけに行ったようなものだったが、露天風呂のトロリとした泉質が抜群だった。
さてさて2日目の話。夜もカニ攻めを考えていたので、適度に体力を消耗させて空腹バリバリにしておくことが、この日の私の使命。散歩を徹底しようと計画。米子市内をうろついてもしょうがないので、急きょ、ガイドブックで勉強し、行先を決定。
米子から特急でわずか30分の倉吉に向かう。昔ながらの白壁土蔵の町並みが残っているそうなので散歩にはもってこい。おまけにそこから30分ほど奥まったところには山陰の名湯・三朝(みささ)温泉もある。米子駅から特急に乗り込み、駅で売っていた島根の銘菓「若草」と温かいお茶で、おじいさんのようにくつろぎながら倉吉に向かう。
倉吉では風情のある街を散策し、昼飯はどうでもいい店でどうでもいい手打ち蕎麦で済ませた。すべて夜のためだ。
足も疲れた頃、タクシーを拾って三朝温泉に向かう。山あいの鄙びた一角に温泉宿が集まっている。古くから不老長寿の湯として人気の温泉地だ。どこの旅館も日帰り入浴ができるらしく、今回は評判の良い老舗・「依山楼岩崎」を選んだ。
午後早めの時間帯だけあって、宿泊客はいない。ほぼ貸切状態で温泉を満喫。世界有数のラジウム含有量を誇るここのお湯は、ラジウムの気化でラドンが発生し、呼吸によって取り込まれたラドンが免疫力を格段に向上させるらしい。
ラジウムもラドンもなんだか知らないが、そういうことらしい。ラドンをいっぱい吸い込めるミストサウナ室のような場所で長時間過ごしてみた。人がいないせいで大きな声でハマショーの名曲をうなった。
このお陰で私の肺はラドンを相当摂取したようで、その後、気分爽快、身体は軽やかになった。わずかな時間しか三朝温泉にはいなかったが、温泉効果は実感できた。
入浴後、ローカルバスで倉吉に戻り、特急で米子に戻る。この日の宿は皆生温泉の「皆生シーサイドホテル」。夕食の付かない宿泊プランで広めのシングルルームを予約した。
シングルといえば、たいてい圧迫感があって困るが、このホテルは適度にスペースがあり、ベッドも大きめ。何より海っぺりに建っているため、ベランダの向こうは遮ることのない景色。穴場だろう。
またまた温泉に浸かってから米子の街に出る。目星を付けておいた料理屋でカニを攻める。
店の名は「味楽」。居酒屋と料理屋の中間ぐらいの雰囲気。カウンター席の端を陣取って店主とカニ攻めについて相談。便利なことにこちらの店では、この時期、松葉ガニを定価で一杯売りしてくれる。おかげで、一杯は茹でガニ、もう一杯は半分を刺身、半分を焼ガニで食べたいという私の希望は、ごくスンナリと通用した。
カニを待つ間、刺身を盛り合わせてもらった。カニの陰に隠れてしまいがちだが、こっち方面の魚はさすがに旨い。白身系の刺身がとくに味が濃く甘い。バッチリ。これだけを目的に旅行してもいいぐらいだ。
さてさてカニ刺し登場。タグ付きのカニではないが、まったく遜色のないレベル。甘い。本来なら、焼くが茹でるかしたほうがカニの旨味が引き出されるが、やはり、この時期には、ついカニ刺しも欲しくなる。
茹でガニ登場。ミソもしっかり。幸せ。バンザイ。カニの冥福を祈る。包丁の入っていない細い足の先っぽまで、噛みついて砕きながら中味をすする。ヤッホーって感じだ。
焼ガニがまた美味。茹でガニとはひと味違う香り高い味わい。それにしてもカニの姿を見るにつれ、アイツは絶対に自分が旨いことを知っているのだと思う。あんなにいかめしい姿形でハサミまでつけて全身を鎧で覆っているわけだから、確信犯だろう。
包丁とカニフォークなどという天敵が地上に存在するとは知らなかったヤツらの冥福を改めて祈りたい。
焼ガニとセットで出てくる甲羅焼きがカニ攻めのハイライトだ。上等なカニのミソは、珍味の王様だと思う。謹んで味わい尽くす。食べ終わった甲羅には、熱々にしてもらった燗酒を注いで甲羅酒。2日続けてもちっとも飽きない。3日でも4日でも飽きないと思う。バンザイ。
合間には酒の肴としてイカの沖漬けを注文。これがまたすこぶる美味。鮮度抜群の漁師料理的な風情で、やたらと酒に合う。こういう浮気みたいなひと口、ふた口がカニ攻めの大事なポイント。カニに舞い戻った時にカニの偉大さを改めて実感できて嬉しさが倍増する
前日は、カニすき鍋が出てきて最後に雑炊でしめたが、この日は、茹でガニ、焼ガニを少しづつ残しておいて、白ご飯をもらってぶっかけご飯にしてみた。少しだけイカの沖漬けもまぶして、かっ込んでみる。単純明快に幸せが口の中に広がる。これだけで、その年一年が素晴らしい年だったように錯覚する。われながら単純な思考に驚く。
ズワイガニといえば、越前や橋立方面の地名を冠したブランドガニのほか、兵庫でも香住、間人エリアでは、やはり地名がブランドになっている。鳥取では、松葉ガニという呼び名こそあるものの、他のエリアほどブランド化の波は押し寄せておらず、手頃な値段で美味しくむさぼれる。
結局、前日とこの日の夕食で松葉ガニを5杯も食べてしまった。二食で5杯。これってかなり幸せだが、お値段的には大したことはない。鳥取バンザイって感じだ。
2009年1月5日月曜日
カニと温泉と私
年末、山陰にカニを食べに行った。正月の家族サービスの前にふらっと一人で忘年旅行をする習慣がある私だが、こういう「無所属の時間」って大事だと思う。一人で哲学的に過ごすことで、脳みそが活性化する、というのは真っ赤なウソで、単にカニのことだけを考えていた。
目的地は米子・皆生(かいけ)温泉。ここに2泊しながら、境港に足を伸ばしたり、ふらふら別の温泉を訪ねた。
出発日、出発時刻の40分ほど前に羽田空港に着いたが、さすがに年末で大混雑。なぜか私の予約方法では、自動チェックイン機が使えず、並んでいた時間が無駄になった。ネットで予約しただけでまだ購入していなかったので、時間が迫ってくるとキャンセル待ちの方が優先されちゃう恐れがあったので、ちょっと焦った。ほげほげしていたら、出発15分前になってしまった。
さすがに係員を捕まえて、クレーマーに変身してみる。株主優待券を利用した予約だったので、「株主としてこの段取りの悪さは問題だと思う」とかなんとか言ってみる。
おかげで個別に購入、搭乗手続きをしてもらえた。おまけに人が並んでいるゲートをよそに出発検査場まで別誘導もしてもらえた。優待券だけ持っていたニセ株主だったので、ちょっと恐縮する。
わずか1時間ちょっとで米子空港に到着。とりあえず、タクシーで境港まで行ってみる。魚天国のイメージがあった境港は、実際は鬼太郎天国だった。水木しげるの故郷ということで、町おこしに鬼太郎が大活躍。町中に鬼太郎に出てくる妖怪のブロンズ像があり、土産物屋をはじめすべてがとにかく鬼太郎。ちょっと変な感じ。
昼時だったので、やはり港町では寿司屋だろうと思って適当に探してみる。古い建物が歴史を感じさせる外観の「I鮨」に入ってみた。昭和レトロというより、大正レトロな感じで妙に渋い。でも客がいない。静まり返っている。妖怪ハウスのような雰囲気だ。ボーっとカウンターにたたずんでいた年齢不詳の男性が、元気のない感じで私を見つめる。それこそ鬼太郎にでてくる「ぬらりひょん」とか「一反もめん」的な様子に少したじろぐ。
この男性、最初は店員さんかと思いきや、店の主のようだ。のそのそ準備を始める。とりあえずビールを頼んで様子を伺う。街場のお寿司屋さんで客もいなかったのに、カウンターは禁煙と事務的に言われ、たじろぐ。
期待できそうな気配は皆無だったので、ちょろちょろ刺身をつまんでから握ってもらおうという考えを中止して、私には珍しく、素直に1人前を握ってもらうことにする。
いきなり店選びを外したなあと落胆しながらビールをあおっていたのだが、出てきた鮨がかなり美味しい。年齢不詳の店主(たぶん30代後半ぐらいだろうか)、結構あなどれない感じだ。ただ、なんとなく私には気分の乗らないお相手と見えたので、黙って食べ続けた。でも率直に旨い。ちょっと悔しい。甘エビとボタンえびの中間のような感じのオニエビとやらが印象的。そのほか白身の魚が絶品。
こっち方面は、醤油がいわゆる煮きりではなく、たまり醤油のような濃い目のものを使うのだが、この店の場合、少し甘めのツメも混ざっているような風味で独特な味わい。ただの濃い目の醤油よりは寿司に合っている感じがする。相当こだわりと自負を持った寿司屋に見えた。
後から入ってきたお客さんがバッテラを注文。その場で作っているところを見ていたのだが、さすが関西に近いエリアだけにてきぱきと旨そうな寒サバをあっという間に押し鮨に仕上げている。
勝手がわかったら良そうそうな店だが、なんといっても、「ぬらりひょんん」な感じが強いので一言で言うなら、ビミョーな感じ。結局、1人前の握りに追加で4貫ほど別な魚を握ってもらい、ビールを2本飲んで退散。
ぷらぷら「水木しげるロード」なる不気味な道を散策して駅に向かう。途中にあったパン屋まで、売っているパンが妖怪ばかりだったのには笑った。
境港駅から米子まで電車で移動。1両だけの文字通りローカル線。Ipodをごそごそ取り出す。選曲したのは、黛じゅんの「天使の誘惑」とか奥村チヨの「恋の奴隷」あたり。そんな気分と景色だった。
米子から皆生温泉まで移動して、この日泊まる「東光園」へ。伝統のある温泉宿らしいが、いまをときめく星野リゾートの手によって再生されたらしい。綺麗な庭園を持つそれなりに情緒のある宿だ。
大浴場も悪くは無いが、サウニストの私には、サウナが無いことが大減点。歩いて10分ほどの距離にある「華水亭」という高級旅館に日帰り入浴に行く。ここの大浴場はかなりの水準。露天風呂の広さや景観が高得点。日本海を目の前に気持ちの良い湯浴みが可能。サウナに何度も入って、火照った身体を海風にさらすと1年の疲れが飛んでいく感じ。
サウナが無いのに「東光園」を選んだのには理由がある。一人で泊まれて、松葉カニてんこもりの夕食プランがあったことがそれ。個室食事処でカニ三昧。この時期ならではの松葉ガニ(ズワイ)が3杯も付く。
1杯はまるまる茹でガニで味わい、あとは刺身、焼き、てんぷら、カニすきになって出てくる。おまけに刺し身や焼きガニにはタグつきの活ガニが使われるということで、カニ好きには嬉しい内容。
とにかく全部美味しかった!とくに甲羅みそ焼きが涙があふれそうになるぐらい旨い。食べ終わったらチンチンに燗をつけた日本酒を注文。甲羅に注いでうなりまくる。(ちなみにチンチンに燗酒を注いだわけではない。。。)

悪い癖で別注料理のメニューを見ると何か頼みたくなってしまい、この日もイカ刺しを頼んでしまう。これが失敗。味は絶品だったが、丸々一杯分のイカが登場。多すぎる。焼きガニの炭火にゲソも乗っけて焼いてみたりしてなんとか食べつくす。
強いて言えば、てんぷら、カニすきはどうでもよい感じだった。茹でガニか焼きガニがハイライトだ。次の日も別な場所でカニ三昧予定だったので、この判断は翌日の参考にする。
つづく。