2009年1月9日金曜日

派遣切り、派遣村・・・。本音は。


相も変わらず派遣切りをめぐる情緒的報道が多い。企業経営者向けの新聞を各種発行しているわが社では、あえて紙面で「派遣切りで経営者が悪者視されるのはおかしい」という特集を組んだ。

経営者の責任として、いわゆるゴーイングコンサーンは重要事項。当然、企業を継続させていくには雇用維持も課題のひとつだが、情勢によって雇用調整するのは当然の策。企業防衛の観点から普通の話。法制度として確立されている派遣人員を活用するのは、雇用政策上当たり前であり、業績次第では、まっさきに削減対象になる。

したり顔の経済評論家は、“昔の経営者は血のにじむ努力をして最後の最後まで人員削減などしなかった”などと語っているが、そりゃそうだ。昔は人材派遣という制度がなかったのだから今とはまったく事情が異なる。経営側の問題ではなく制度上の問題だという実態がウヤムヤになっている。

紙面での特集の際、各方面に取材した記者からの報告が興味深かった。著名な評論家に記事の企画趣旨を説明したところ、帰ってきた返答は次のような内容。

派遣切りで経営者が責め立てられるのは筋違いという趣旨に対して「大いに賛同するし、共感する。でもコメントの掲載は遠慮したい」というもの。

“派遣切りは悪”という昨今の風潮を前にわざわざ実名で反論コメントを掲載することにためらいがあるわけだ。

時代の空気を象徴しているような印象を受けた。本音では、「ナンダカナー」と思っていても「派遣切りは好ましくない」という弱者(ニセモノ含む)側の立場に立ってないと面倒という心理だ。

総務省の政務官が「派遣村」についての発言を撤回、陳謝した。「本当に真面目に働こうとしている人が集まっているのか」との発言が物議を醸したので、政府サイドは沈静化に躍起。

とはいえ、当の政務官の個人ホームページを覗いてみたが、寄せられていたコメントの多くが、発言を肯定的に捉えていた。多くの支持者に肯定されているのに陳謝するという構図がなんとも不思議だ。

派遣村については、この目で見たわけではないので、何とも言えない。もちろん、救済が必要な深刻なケースも確かにあるだろう。だとしても派遣人員を削減した経営側を悪者視することとは別な話だ。

ちなみに派遣村問題については、“集まった人の中には世相に便乗したグータラ組が少しは混ざっているんじゃないの”という意識を多くの人が持っていた。これって正直な感覚だろう。

このあたりの話は、立場、考え方でいろんな捉え方があるので、一概にどうこう言えない。ただ、NHKやテレビ朝日あたりのメディア報道とは明らかに温度差を持って捉えている人が相当いることは間違いない。

いずれにしても、このところの派遣切り問題を見ていると、いにしえのイデオロギー闘争を甦らせようという勢力がやたらとハッスルしているように見えて仕方がない。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

派遣切り報道はまさに扇情的な報道の極地。
劣悪な週刊誌の三面記事レベル。富豪記者に一票! By:Coyote

富豪記者 さんのコメント...

昨夜NHKの番組で派遣の身分に見切りをつけて、自らの判断で未経験である介護の職場で正社員になった女性を取り上げていました。女性いわく、派遣が不安定なのは当然であり、自分もそのリスクがイヤだったので、収入は下がったが、新しい職場にチャレンジしたと語っていました。扇情的なレフティー報道の多いNHK社会部もこういう角度からの報道をもっとやってほしいものです。