2009年1月26日月曜日

ムダ遣い

税金ってすべての国民に影響するにもかかわらず、想像以上に知られていないことが多い。難解な税金の仕組みはともかく、周辺事情なども世間一般にほとんど馴染みがない。

「税金のムダ遣い」というテーマも、週刊誌やテレビが表層的な現象を報道するぐらいだ。ムダ遣いチェックの専門機関である「会計検査院」については、国民にとって物凄く大事な組織にも関わらず広くその存在が知られているとは言えない。

会計検査院は、内閣や裁判所、国会のいずれからも独立した特殊な国家機関。独立しているということは、それらに対しても検査権限を持つことを意味する。いわば国家に対するマルサみたいなもの。

特殊かつ強力な機関の割には一般的に認知度は低い。実際の活動規模が大きくないこともその理由だろう。国税庁が6万人程度の陣容であるのに対し、会計検査院は、1300人ほどの組織であり、直接検査に関わっているのは、900名程度。

毎年一度、決算検査報告が総理大臣あてに提出され、その時だけはメディアもこぞって取り上げるが、それ以外に話題になることはない。

組織規模からして活動に限界はあるのだろうが、基本的に不正に対する刑事告発が行われることもなく、不正な公務員への懲戒権があるわけでもないため、行政機関のムダ遣いは一向に減らない。

税金のムダ遣いが減らないという事実自体が会計検査院の存在価値をビミョーなものにしているような気もするが、一応、会計検査院の年間予算より遙かに大きい金額のムダ遣いを毎年見つけてくるため、とりあえずその働きは貴重ではある。

会計検査院の働きによって発覚する税金のムダ遣いは、毎年、ある一定金額を超える。「今年はどこの役所もマジメだったようで、ムダ遣いはあんまり見つかりませんでした」といったことはなく、“実績”は安定している。

毎年毎年安定的にムダ遣いを見つけられるのだから、組織規模を2倍、3倍にすれば、ムダ遣いの指摘も2倍、3倍になると考えて間違いない。そうであるなら、会計検査院だけは行政のスリム化などどこ吹く風で、どんどん肥大化させればいいと思う。

会計検査院が税金の使われ方を検査する際には「正確性、合規制、経済性、効率性、有効性」の観点がポイントになる。正確であるだけでなく、効率性や有効性もチェックポイントになるということは、“バカげた使い方”もターゲットになるわけだ。

今日のブログで、こんな堅いテーマを書き始めた理由は実はこの部分がポイント。わが社の関係者のブログ(http://blog.livedoor.jp/shun1101/)を読んでいて、改めて例の定額給付金のトンチンカンぶりにイラついたことがきっかけ。

いわゆる所得税減税ではなく、バラマキ型の定額給付金という方式が選ばれたことは、納税すらしていない人々をも対象にするため。

しっかり納税している人なら、自分が納めた税金の一部が戻ってくるというイメージだが、納税ゼロの場合、タダでお金をもらうという意味でしかない。頑張って納税している側から見ればアホみたいな話ではある。

ついでにいえば、税金を滞納しまくっている人であっても定額給付金をもらうことに制限はない。

意識して税金を納めない人、悪意を持って滞納している人だろうとお構いなし。マジメな人が納めた税金をそういう輩にもバラまくのが定額給付金というスタイルだ。

このトンチンカンな税金の使い道は、会計検査院が言うところの「不適切な支出」に該当するんじゃないだろうか。マジメにそう思う。

さっき紹介したように「効率性」や「有効性」の観点も会計検査院の着眼点だ。だとすると定額給付金の「非効率性」や「非有効性」は国の財政支出として「不当」に該当するのではなかろうか。

会計検査院の検査報告は、支出が済んだ会計年度のものが対象。何年か後の検査報告で「定額給付金は不当でした」という指摘が盛り込まれたら面白いかも。

ちなみに会計検査院から不当事項を指摘されても罰則があるわけではない。それゆえにムダ遣いが減らないという見方もある。だったらだったで、変な財政支出はどんどん「不当」と指摘されて欲しい。罰則がないのだからせめてそのぐらいしてもらいたい。

今日は感情論に走ってしまった・・・。

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