2012年1月6日金曜日

新しい年の干支は竜。十二支の中で唯一空想上の生き物だ。実在しない生き物なのに、自然界には「竜の子ども」は存在している。

一応、今日の更新は新年1発目なので、それっぽいことを題材にしようと、過去に撮影してきた水中写真の中から「タツノオトシゴ」の画像を探してきた。「竜の子ども」だ。

この画像は、フィリピンのプエルトガレラというダイバー天国に行った時に撮影したもの。


浅瀬の草場のようなエリアにわんさか生息していた。きっと、ドラゴンがそこに産み落としていったのだろう。

写真を撮るダイバーの好みもお国柄によって違う。基本的に欧米人は小物より大物狙いだ。大型回遊魚やサメを見て大喜びする。

そうした生き物が少ない海では、彼らの好みはウツボ。会うたびにいちいち喜ぶ。カリブ海とかの欧米人リゾートのダイビングスポットでは、餌付けされてアホほど太ってしまったウツボを見ることが多い。

巨大化したウツボはかなり気持ち悪いが、アメリカ人などは目を細めてナデナデしている。

タツノオトシゴなんか見向きもしないのが彼らのスタイルだ。ヘンテコ系の小物が好きなのは日本人の写真派ダイバーだろう。私も、どちらかといえば、チビっこい変なヤツにレンズを向けているのが好きだ。


こちらは、バリ島の海で撮影したピグミーシーホースだ。シーホース、すなわち英名ではタツノオトシゴは、竜の子ではなく、「海の馬」と称されている。

この可愛いヤツは、名前の通り凄く小さなタツノオトシゴだ。全長が2センチあるかないか。生息環境に見事なまでに保護色となって同化している。地元の目利きガイドに教えてもらわないと見つけることは至難のわざ。

教えてもらって撮影を始めても、露出をいじったり、構図を変えようと動いたりする際に、ヤツから目を話すと、もうどこにいるのか分からなくなる。

肩は凝る、目は疲れる。ピントは合わない。結構シンドイ思いをしないと、それっぽく撮影できない魚だ。だいたい肉眼ではこんな顔の表情など分からない。

写して見て拡大してはじめて可憐な表情に出会える。ついつい激写したくなるわけだ。


こちらの画像はニシキフウライウオだ。海シダという水中植物に同化して隠れている変なヤツで、これもタツノオトシゴの近接種だ。英名をゴーストパイプフィッシュという。フワ~と漂う姿は確かにゴーストという表現が似合う。

英名よりも、風来坊のフウライと名付けた日本人のセンスが好きだ。フウライだ。凄い名前だ。

ブラブラと根無し草のように生きてるイメージだ。本人?にとっては迷惑なネーミングかも知れないが、風来坊になってみたい私としては、妙に可愛く感じる。

新年早々、どうでもいい話を書き殴ってしまった。

まあ、辰年にちなんで、タツノオトシゴの画像を載っけてしまった時点で、書くことはちっとも思い浮かばなかった。

仕方がないから、わが社の発行物に仕事で書いた新年用のコラムを転載してみる。


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何かと暗い話題を取り上げたり、ブツクサ文句ばかり書いている当欄だが、今回ぐらいは、前向きな気分、楽天的な気分になれるように努めたい。ちょっと強引に干支の話を書く

▼新しい年の干支は辰(竜)。十二支の中で唯一、実在しない生き物だ。現実から目を背けたくなった2011年の日本。新しい年は空想上の生き物、それも神格化された竜に引っ張っていってもらいたい
▼竜にまつわる伝承や言い伝えは世界中に存在する。ヨーロッパでは神の敵役である悪の象徴として描かれることが多いが、アジアでは尊い存在とみなされてきた。農耕民族的な視点では、水の神を大事に扱ったのが理由なんだろう
▼風水でも竜は最も格上の聖獣という位置付け。すべての気の源であり、運を左右するパワーを持つ特別な存在だ。疲弊したわが国を奮い立たせるにはもってこいのシンボルと言えよう
▼中国では太陽に一番近い惑星(水星)を辰星と呼ぶそうだ。日本では時刻を表わす辰は午前7時から2時間の間を指す。まさにスタートとか再生を連想するには竜は適任だ。のぼり竜にあやかった1年を目指したい

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